グループA
            突破確率
ブラジル         90%
メキシコ         50%
クロアチア       40%
カメルーン       20%

地味に実力国の揃うグループだけれど、さすがに開催国であり優勝候補でもある
ブラジルがここで敗れることはないだろう。
そんなことがあったら、大問題である。
当然1位通過を狙ってくるだろうし、当然1位で通過してくるはずだ。
なぜなら、グループAは決勝トーナメント1回戦でグループBのチームと当たる。
そしてグループBには優勝候補の一角であるスペインがいるのだ。
いくらブラジルでも、この段階でスペインと当たりたいとは思わないだろう。
スペインが1位通過をしてくるかどうかはわからないが、やはりその確率は高い。
B組2位は恐らくオランダかチリになる。
相性を考えると、チリが相手ならブラジルはベスト8ほぼ間違いなしだろう。


選手の顔ぶれはコンフェデレーションズカップ2013から不動。
DF陣はCBチアゴ・シウバを中心に、世界最高峰だろう。
中盤から前も基本的に穴がなく、メンバーが固定されているため戦術も浸透している。
やはり注目は左サイドアタッカーのネイマールだろうか。
戦術的なキーは、ルイス・グスタボとパウリーニョのコンビ。
この二人が中盤をきっちり締められるかどうかが、重要になってくるだろう。
地の利もあり、地元のバックアップも期待できるブラジル。
後は大きすぎる期待に潰されず、萎縮せずに戦えるかどうかだ。



実力的に見れば2番手はクロアチアと見る。
モドリッチ、ラキティッチを中心とした豪華な中盤に、前線にはブンデスリーガ得点ランク2位のマンジュキッチを抱えている。
ただ、この国は代々安定感というものがない。強豪国に勝ったかと思うと、あっさり弱小国に負けてしまうことがある。
また、過去ワールドカップでクロアチアはブラジル・メキシコにいずれも敗れており、アルゼンチンやエクアドルといった他の中南米のチームにも勝ったことがない。どうも、中南米相手には分が悪そうなのだ。
一方、同じ欧州同士の対戦では、主要大会でイタリアに1勝1分、ドイツに2勝、オランダにも勝利しており、
なかなか不気味なのだが……。


となると、実力的には僅差で3番手と思われるメキシコに突破の芽が出てくる。
じわじわと試合のペースを握るのが巧いこの国は、94年から数えて実に5大会連続でベスト16に進出している。
……そして5大会連続でベスト16で姿を消しているのではあるが……。
今大会も2位で突破、トーナメント1回戦でB組1位のスペインと当たり敗退、というシナリオが目に浮かんでしまうのである。
ドス・サントスのテクニック、グアルダードの突破力、チチャリートの決定力は、十分ベスト16に値する力を持っている。


カメルーンは厳しい。実力的にも見劣りする上、この国は2002・2010と過去2大会連続して内紛を起こしており、実力を発揮しきれずに大会を去った。
そしてどうやら今回もまた、内紛の噂が聞こえてくるのである。
エース格はかつて世界屈指のストライカーだったエトーと、
バルセロナで中盤……の控えを務めるソングだろうか。

ちなみに、前回大会ではこのエトー派とソング派に分かれて派閥ができていたという話だが……。


 グループB

スペイン         84%
オランダ         58%
チリ            57%
オーストラリア       1%


メジャー大会3連覇中の王者スペイン。
主力の高齢化もあり、やや衰えが見え始めたと言われているものの、優勝候補に挙げられて然るべき国である。
中盤の顔ぶれは未だ世界最高であり、頼りになるFWがいない前線を除けば不安要素はない。
頼りになるFWがいないのは、2012年に行われた欧州選手権以来の事であり、
その2012年は結局FWをほとんど使わずに優勝してしまった。
特に守備力はパーフェクトに近く、2010年ワールドカップでは7試合で2失点。
2012年欧州選手権では6試合で1失点。
コンフェデ2013では5試合で4失点だが、そのうち3失点はブラジル戦で喫したもの。
残りの4試合(タヒチはともかく、イタリア・ウルグアイ・ナイジェリアが相手)では1失点だ。
またPK戦にも強く、Euro2008ではイタリア、Euro2012ではポルトガル、コンフェデ2013でもイタリアにPK勝利。
失点しない上に0-0で終わってもPKで勝ってしまうのだから、強い。
その秘訣は中盤のキープ力にある。
相手にボールを渡さずひたすら回し続ける、ポゼッション技術は世界で紛れもなくナンバーワンである。
そのぶん攻撃に時間がかかり、相手チームは守備陣形を整えてしまえるため、得点能力の面では(優勝候補にしては)割とお寒い感じなのだが……。
スペインとしては突破云々よりも、きちんと1位で突破して、トーナメント1回戦でブラジルと当たらないことを祈るだけだろう。
不安なのが、不可解なデルボスケ監督のフェルナンド・トーレス優遇策。
トーレスという選手、かつては偉大なストライカーだったのだが、ここ4年ほど、大事な試合では全く結果を残せていないのだ(弱い相手や、大差のついた試合ではゴールを決めることもあるのだが)。
にも関わらず、デルボスケ監督はトーレスにこだわり続けている。
スペインにはネグレドやジョレンテ、ビジャといった優秀なストライカーが他にいくらでもいるというのに、
やはりというべきかネグレド、ジョレンテを落選させ、トーレスを選んだデルボスケ監督。

……トーレスの大活躍、もしくは優勝という結果を得ない限り、大会後に怒りの矛先が向かうのは
避けられないだろう。



そのスペインと、前回大会決勝で死闘を繰り広げたのがオランダ。
何と前回大会決勝のカードが、予選リーグ初戦で早くも実現してしまうのである。
とはいえ……今大会のオランダに、どの程度期待していいものか。

2010年、世界2位となったオランダだが、母国のファンは総じて冷たかった。
なぜなら、彼らのサッカーは『美しくなかった』からである。
オランダと言えば、『1-0で勝つよりも、3-4で美しく散れ』と言わんばかりの、攻撃サッカー全盛の国。
ところが2010年、ファンマルバイク監督に率いられたオランダは、相手の攻撃を潰して潰して潰しまくる、肉体派のチームだった。
結果、準優勝という立派な成績を収めたオランダだが、2012年の欧州選手権では惨敗を喫してしまう。
予選リーグ3戦全敗での敗退である。美しくない上に、全敗。
ファンマルバイクは解任され、原点回帰とばかりに攻撃サッカー大好きのファンハール監督が後を継いだ
(ちなみにこのファンハール監督。来シーズンからは香川選手のいるマンチェスター・ユナイテッドで指揮をとる)。

戦力に目を向けてみると、世代交代に失敗しており、守備陣は無名の若手ばかりである。
国内リーグ、フェイエノールトとアヤックスで主軸を勤める彼らだが、オランダリーグはお世辞にも強豪リーグとは言えない。
一方攻撃陣はと見ると、30歳を迎えたロッベン、ファンペルシーという二大スターは今大会も健在。
同世代のスナイデルを含め、攻撃陣はなかなか豪華である。
だが、その下の世代にめぼしいタレントが全くいない。素晴らしいタレントは皆、30前後なのだ。
今大会はまだいいかもしれないが、先行きが非常に不安な顔ぶれである。
唯一、期待できる大物MFストロートマンは負傷で今大会不参加が決まっている……。

よって、今大会のオランダを優勝候補に挙げることはできない。
ただし、前回大会よりも『攻撃的に・美しく』戦ってくれることは、これはもう間違いないと言っていいだろう。
一サッカーファンとして、注目に値する国ではある。


前回大会、期待はずれだったオランダとは対照的に『攻撃的に・美しく』戦ったチームがチリである。
ビエルサ監督が率いた彼らの果敢なフットボールは、多くのサッカーファンを虜にしたことだろう。
その後監督が変わったものの、チリ代表は今も変わらず、守備のことなど考えない突貫サッカーを続けている。
今大会でもきっと楽しいサッカーを見せてくれるに違いない。

ただ……チリはそのスタイル故、ファウルが多い点が一つ。
そして強豪国にも守備を気にせず向かっていくため、案外あっけなく負けてしまう事が多く、
特にブラジルを大の苦手としている点は抑えておきたいところだろう。
98・2010、共に決勝トーナメント1回戦でブラジルとあたり、共に大量失点で敗れている。
今大会でも2位で突破した場合、恐らくトーナメント1回戦で当たるのはブラジル……。
スペイン、オランダのグループでチリが1位通過というのは正直考えにくく、チリの命運はベスト16までとなるかもしれない。
注目選手は名門ユベントスで存在感を見せる中盤のビダルと、バルセロナで活躍中のFWアレクシスだろう。
ここにバルディビア、ボセジュールらが加わるアタックは意外性に溢れ、サッカーの面白さを教えてくれるのではないだろうか。


オーストラリアは残念ながらノーチャンスだろう。他3カ国とはあまりにも実力に差がありすぎる。
メンバーは2006年の頃からほとんど変わっておらず、主力は高齢化が進む一方だ。
エース格である唯一の若手クルーズも負傷で大会参加ならず。まさに踏んだり蹴ったりの状況である。