欠場者(ブ) CB チアゴ・シウバ(出場停止) SHネイマール(負傷)
    (ド)  SB ムスタフィ(負傷)   

ブラジル   1-7           ドイツ

主審  B
試合内容  A
MOM  OH トニ・クロース(90)(ドイツ)

GK ジュリオ・セーザル(60)  マヌエル・ノイアー(75)
CB ダンテ(50)          マッツ・フンメルス(60)
   ダビド・ルイス(45)      イェロメ・ボアテンク(45)
SB マルセロ(30)        ベネディクト・ヘーベデス(60)
   マイコン(45)        フィリップ・ラーム(85)
DH ルイス・グスタボ(45)    サミ・ケディラ(85)
   フェルナンジーニョ(30)   シュバインシュタイガー(70)
SH フッキ(40)          メスト・エジル(85)
    ベルナール(40)       トマス・ミュラー(75)
OH オスカル(50)         トニ・クロース(90)
CF フレッジ(45)         ミロスラフ・クローゼ(75)

監督 スコラーリ C        レーブ  S

(ブ)

フッキ(40)→ラミレス(55)
フェルナンジーニョ(35)→パウリーニョ(55)
フレッジ(45)→ウィリアン(50)

(ド)
フンメルス(60)→メルテザッカー(45)
クローゼ(75)→シュールレ(70)
ケディラ(85)→ドラクスラー(?)


【ドイツ】 

全てが完璧だった。
チームの完成度の違いをまざまざと見せつけ、ブラジルを相手にフットボールのレッスンを施した。
特に輝きわたっていたのがクロース。
4ゴールに絡む大活躍を見せた上、中盤でも最高のパス成功率・パス成功本数を記録。
チームのコンダクターとして、ドイツ代表を自在に操ってみせた。
中盤の底で攻守に大活躍したケディラ、主に攻撃面で相手を幻惑したエジル、
本職のSBで正確なセンチメーターパスをピタリと通したラームなどなど、チーム全員がファンタスティック。
美しく強いドイツ。優勝へ向けて、あと1勝を残すのみだ。




【ブラジル代表まとめ 3勝2分1敗  11得点 10失点 攻撃 A- 守備 B- スペクタクル A-】

注目選手  
       OH オスカル 平均採点 61.6/6試合
       SB マルセロ 58/6試合
       CB ダビド・ルイス 60.8/6試合
       SH ネイマール 75/5試合 
       
ネイマールが負傷した時から、懸念はあった。ドイツには勝てないかもしれないと。
だが、この結果は誰も予想はできなかったはずだ。1-7。
こともあろうに自国開催のワールドカップで、ブラジルは史上最悪の惨敗を喫した。

大会全体のブラジルの評価と言えば、一にも二にもネイマールのワンマンチームというものだろう。
ベスト4に残ったチームはドイツを除いてワンマンチームばかりなので、それ自体が悪いとは言わないが、
ワンマンチームにおいて、肝心のワンマン。
ネイマールが負傷でいなくなった時、攻撃の形をどう作るかというのは大きな課題だった。
オスカル、フッキも期待はずれだったが、何よりもフレッジだ。
この攻撃陣でどうやって点を取ればいいのか、ベンチにはジョー、ウィリアン……攻撃のタレントは絶望的なまでにいなかった。



そして、ネイマールがいようが、7失点という守備の崩壊ぶりではどうすることもできなかった。
ドイツの攻撃も素晴らしかったが、あそこまで自由に中盤を作られてしまうのは、やはり中盤の構成力で
ブラジルとドイツに雲泥の差があったからだろう。
中盤のボール奪取力に欠けていたし、そこからパスを構築する力にも欠けていた。
特にフェルナンジーニョの酷さはドイツ戦に限らず目に余るものがあり、ラフプレイでしか目立てないこのプレイぶりは、普段のマンチェスター・シティでのプレイを知っている身にはまるで別人のように映った。
全く役に立たない相棒に比べれば、ルイス・グスタボはよくやっていたが、司令塔としては力不足だった。
そもそも攻撃能力を買われての起用ではないのだから、やむを得ないか。


最終ラインでは月並みではあるものの、チアゴ・シウバの存在は大きかっただろう。
2点差をつけられた後、ボロボロと失点を繰り返したのは、精神的な動揺によるものも大きい。
誰か、気持ちを奮い立たせるまとめ役がいれば……。

ボールを取られた後追いかけないマルセロ、致命的なミスパスを繰り返したフェルナンジーニョは、
完全に気持ちが切れていた。 


大会全体を通せば、今大会のブラジルはまずまずの内容・結果を残したと言えるだろう。
ベスト4という成績は、優勝候補筆頭と考えれば失敗かもしれないが、悲観するほどの失敗ではない。
内容も、多分にネイマール頼みの傾向が強かったが準々決勝のコロンビア戦では相手を上回っていた
(カメルーン戦は言うに及ばず)。

一方、メキシコやチリのように中盤で激しいプレスをかけるチームを苦手としている節はあったし、
大会を通じて無闇にPKをもらいにいく「ダイブ癖」は非常に醜く、シミュレーション行為にイエローカードを出さない今大会の謎基準もあいまって、クロアチア戦では御祝儀PK、コロンビア戦でも微妙なFKをもらうなど猛威を振るうかに見えたが……終わってみればそれもコロンビアのラフプレイを誘発し、まともな審判に当たったドイツ戦ではPKの笛を吹いてもらえずと、自業自得に終わった。

(一応言っておけば、チリ戦ではオフサイド見逃しによりブラジルはゴールを取り消されており、八百長云々の疑いをかけているわけではない。
審判のレベルが低く、シミュレーション、ラフプレイに対するカードの基準が極度に甘かった今大会において、そのアドバンテージを活かすかのような『マリーシア』が散見されたというだけの話だ)


それにしても、やはり最後の1-7である。
このスコアがあまりに酷すぎて、今大会のブラジルのイメージがこれ一色に支配されてしまった感すらある。
準々決勝までは幾つかの懸念はあれど、ネイマールの力もあって優勝候補の1~2番手の呼び名も相応しい戦いぶりだったのだが……