まずは点数から。
シナリオ110/150 キャラ 105/150 絵 70/100 音80/100 その他システム 80/100 印象 30/50
合計 475/650(総合93位/170ゲームぐらい中) ESにつける点 78
★前作との比較と、テーマについて
前作「月に寄りそう乙女の作法」が 500/650(65位)なので、それに比べると落ちます。
前作と比べて確実に劣るのが『恋愛描写』と『エロ』の部分ですね。
シナリオ面で比較しますと前作では『才能』と『努力』がテーマだったのに対し、
本作では『血(生まれ)』が大きなテーマになっていると思います。
具体的に言いますと、『大蔵一族としての血』の話と、
『日本人・フランス人』といった人種を語る上での『血』です。
『大蔵一族としての血』に関しては、家族大好きな総裁や、大蔵の血を引いていない衣遠。
そして「大蔵一族の跡取り騒動」のエピソードで表され、
『人種としての血』に関しては、度重なる人種差別の描写や、黒幕リリアーヌの存在に集約されていると思います。
★大蔵一族の跡取り問題について
本作では、『服飾グランプリでの入賞』というクライマックスに、『大蔵一族の跡取り問題』というイベントを掛け合わせておりますが、このかみ合わせがどうにも悪く、後者がやや茶番めいて見え、率直に言えば少々しらけてしまいました。
たとえば、りそなルートでは「兄弟三人力を合わせて服飾コンクールでグランプリを取ったりそな」が当主となりますが、スルガ&アンソニーの兄弟も傍から見れば十分家族愛に溢れているように見えます(総裁には伝わっていないかもしれませんが)。
メリルルートでは、従兄弟同盟が結成されたところで物語が終わってしまい、親世代の説得シーンが描かれておりませんし、ブリュエットルートは最もひどく、突然出てきた遊星から「僕を当主にしてよ」とせがまれて、
あっさり次期当主の座を遊星へ決めてしまう始末。
どのルートでもりそなか遊星、いずれかが次期当主になるわけですが、
大蔵一族の当主という大事にも関わらず、えらくテキトーなノリで決まってしまうため、印象がよくありませんでした。
★人種問題について
一方で、「人種(差別)の問題」に関しては、黒幕にリリアーヌを持ってきたことである程度描けていると感じました。
モブキャラの糸・生地屋の店主や、犬を散歩しているマダム、ロシア・ドイツ・中国・日本・フランスのメンバーが
同じ班員として交流を深めていくシーンなど、ゲーム全体でこのテーマを描こうという意図は伝わってきました。
度重なる人種差別の嫌がらせにめげず、グランプリで優勝してリリアーヌを見返すという展開自体は、
王道ではあれど、良かったと思います。
(もっとも、リリアーヌへの罰がほとんどない事については、少々納得がいきませんが。
あれだけのことをしたんだから、こちらの溜飲を下げるような罰を下してほしかった)
★恋愛描写とエロについて
プレイしていて違和感を覚えたポイントとして、遊星のHに対する姿勢が挙げられます。
前作「釣り乙」での遊星は、肉食系とまでは言わないものの、フツーにヒロイン達に性欲を覚えていたように記憶しています。
ところが本作では、草食系を通り越して絶食系と言えるほどのやる気のなさで、
「Hは半年に1回でいい」などとメリルに対してもブリュエットに対しても口走っています。
また、痛がるメリルに対して愛撫もせずに突っ込んで終わりにしようとするなど、エロ描写の退化を強く感じました。
普段そこまでエロを重視しない僕ですが、何でこんなにやる気がないんだろうというのはとても気になったポイントです。
また、エロの軽視と関連性があるのか、単にヒロインの性格の問題かはわかりませんが、
恋愛描写の質も前作と比べて大幅に落ちた感があります。
ブリュエットはまだいい方で、メリルとりそなは、最後まで『仲の良い妹(的存在)』の域を脱することはありませんでした。
何せ遊星自身、ちっとも「ドキドキしている・恋している」様子がないのです。
少なくとも僕には彼の恋心が全然、伝わってこない。
キャラクターとしては前作ヒロインと遜色のない魅力を持っているはずの本作ヒロイン陣ですが、
女の子として、恋愛相手としての魅力では完敗だったと思います。
また、桜屋敷の面々と、パリの下宿の面々を比べてもやはり前者の方により居心地の良さを感じました。
★衣遠について
ファンの方には申し訳ないのですが、僕はどうしても衣遠というキャラが好きになれませんでした。
一方で、スルガさんはすごく格好良くて好みのタイプでした。
そのため、衣遠に義理立てする遊星にどうしても感情移入しづらかったです。
義理立てと書きましたが、何というか、調教・洗脳されているなぁと感じました。
今まで散々恐怖によって相手を支配し、遊星やりそなの才能を潰すような接し方をしてきた兄と、
(悪い噂は立っているものの)実際には非の打ち所がまるでなく、紳士的なスルガを比べた場合、
どうしても当主の座にふさわしいのは後者だと感じます。
にも関わらず、兄だというだけの理由で衣遠を立てようとする遊星の事がどうしてもわかりませんでした。
りそなルートの終盤で仲間になってからは、頼もしい活躍ぶりを見せてくれた衣遠ですが、
今まで遊星たちにしてきたことを考えると、素直にいい男だとは言えない気がします。
★まとめ
批判気味の感想を書きましたが、決してつまらなかったわけではありません。
特に人種差別に関しては、あまりエロゲで取り上げられてこなかったテーマでもありますし、
割と面白かったと思います。
ちなみに前作の4シナリオと本作の3シナリオの好みを並べてみると、
前作ルナ>前作ユーシェ>本作りそな>本作メリル>前作瑞穂>本作ブリュエット>前作湊となります。
シナリオ110/150 キャラ 105/150 絵 70/100 音80/100 その他システム 80/100 印象 30/50
合計 475/650(総合93位/170ゲームぐらい中) ESにつける点 78
★前作との比較と、テーマについて
前作「月に寄りそう乙女の作法」が 500/650(65位)なので、それに比べると落ちます。
前作と比べて確実に劣るのが『恋愛描写』と『エロ』の部分ですね。
シナリオ面で比較しますと前作では『才能』と『努力』がテーマだったのに対し、
本作では『血(生まれ)』が大きなテーマになっていると思います。
具体的に言いますと、『大蔵一族としての血』の話と、
『日本人・フランス人』といった人種を語る上での『血』です。
『大蔵一族としての血』に関しては、家族大好きな総裁や、大蔵の血を引いていない衣遠。
そして「大蔵一族の跡取り騒動」のエピソードで表され、
『人種としての血』に関しては、度重なる人種差別の描写や、黒幕リリアーヌの存在に集約されていると思います。
★大蔵一族の跡取り問題について
本作では、『服飾グランプリでの入賞』というクライマックスに、『大蔵一族の跡取り問題』というイベントを掛け合わせておりますが、このかみ合わせがどうにも悪く、後者がやや茶番めいて見え、率直に言えば少々しらけてしまいました。
たとえば、りそなルートでは「兄弟三人力を合わせて服飾コンクールでグランプリを取ったりそな」が当主となりますが、スルガ&アンソニーの兄弟も傍から見れば十分家族愛に溢れているように見えます(総裁には伝わっていないかもしれませんが)。
メリルルートでは、従兄弟同盟が結成されたところで物語が終わってしまい、親世代の説得シーンが描かれておりませんし、ブリュエットルートは最もひどく、突然出てきた遊星から「僕を当主にしてよ」とせがまれて、
あっさり次期当主の座を遊星へ決めてしまう始末。
どのルートでもりそなか遊星、いずれかが次期当主になるわけですが、
大蔵一族の当主という大事にも関わらず、えらくテキトーなノリで決まってしまうため、印象がよくありませんでした。
★人種問題について
一方で、「人種(差別)の問題」に関しては、黒幕にリリアーヌを持ってきたことである程度描けていると感じました。
モブキャラの糸・生地屋の店主や、犬を散歩しているマダム、ロシア・ドイツ・中国・日本・フランスのメンバーが
同じ班員として交流を深めていくシーンなど、ゲーム全体でこのテーマを描こうという意図は伝わってきました。
度重なる人種差別の嫌がらせにめげず、グランプリで優勝してリリアーヌを見返すという展開自体は、
王道ではあれど、良かったと思います。
(もっとも、リリアーヌへの罰がほとんどない事については、少々納得がいきませんが。
あれだけのことをしたんだから、こちらの溜飲を下げるような罰を下してほしかった)
★恋愛描写とエロについて
プレイしていて違和感を覚えたポイントとして、遊星のHに対する姿勢が挙げられます。
前作「釣り乙」での遊星は、肉食系とまでは言わないものの、フツーにヒロイン達に性欲を覚えていたように記憶しています。
ところが本作では、草食系を通り越して絶食系と言えるほどのやる気のなさで、
「Hは半年に1回でいい」などとメリルに対してもブリュエットに対しても口走っています。
また、痛がるメリルに対して愛撫もせずに突っ込んで終わりにしようとするなど、エロ描写の退化を強く感じました。
普段そこまでエロを重視しない僕ですが、何でこんなにやる気がないんだろうというのはとても気になったポイントです。
また、エロの軽視と関連性があるのか、単にヒロインの性格の問題かはわかりませんが、
恋愛描写の質も前作と比べて大幅に落ちた感があります。
ブリュエットはまだいい方で、メリルとりそなは、最後まで『仲の良い妹(的存在)』の域を脱することはありませんでした。
何せ遊星自身、ちっとも「ドキドキしている・恋している」様子がないのです。
少なくとも僕には彼の恋心が全然、伝わってこない。
キャラクターとしては前作ヒロインと遜色のない魅力を持っているはずの本作ヒロイン陣ですが、
女の子として、恋愛相手としての魅力では完敗だったと思います。
また、桜屋敷の面々と、パリの下宿の面々を比べてもやはり前者の方により居心地の良さを感じました。
★衣遠について
ファンの方には申し訳ないのですが、僕はどうしても衣遠というキャラが好きになれませんでした。
一方で、スルガさんはすごく格好良くて好みのタイプでした。
そのため、衣遠に義理立てする遊星にどうしても感情移入しづらかったです。
義理立てと書きましたが、何というか、調教・洗脳されているなぁと感じました。
今まで散々恐怖によって相手を支配し、遊星やりそなの才能を潰すような接し方をしてきた兄と、
(悪い噂は立っているものの)実際には非の打ち所がまるでなく、紳士的なスルガを比べた場合、
どうしても当主の座にふさわしいのは後者だと感じます。
にも関わらず、兄だというだけの理由で衣遠を立てようとする遊星の事がどうしてもわかりませんでした。
りそなルートの終盤で仲間になってからは、頼もしい活躍ぶりを見せてくれた衣遠ですが、
今まで遊星たちにしてきたことを考えると、素直にいい男だとは言えない気がします。
★まとめ
批判気味の感想を書きましたが、決してつまらなかったわけではありません。
特に人種差別に関しては、あまりエロゲで取り上げられてこなかったテーマでもありますし、
割と面白かったと思います。
ちなみに前作の4シナリオと本作の3シナリオの好みを並べてみると、
前作ルナ>前作ユーシェ>本作りそな>本作メリル>前作瑞穂>本作ブリュエット>前作湊となります。