全体評価は A。
幅広く万人に薦められそうな、面白い短編集でした。
☆バビロンの塔 評価 A
中世ヨーロッパで信じられていた、「世界の果て」。
海をずっと進んでいくと、そこには世界の果てがあり、水は奈落へと落ちていく。
そんな概念は、世界一周によって崩れ去りました。
世界の果てをめざし進んでいった彼らは、いつの間にか元の場所へと戻っていたのです。
この「バビロンの塔」はそんな物語。
横方向の「世界の果て」を、縦方向に変換し、「バベルの塔」の伝説とくっつけたあたりが素晴らしいと感じます。
月や太陽を通り越して塔が伸び続けるその描写もグッド。
「バベルの塔」を知っているだけに、いつ神の怒りが下るのだろうとハラハラしましたが、そこは変えてきましたね。
☆理解 評価 A-
脳が活性化した新人類の物語。
このテの話を読むと「アルジャーノンに花束を」を思い出してしまうのですが、本作はそれとはだいぶ趣の違う物語でした。
新人類同士の頭脳バトルが、某マトリックスのような感じで燃えますね。
馬鹿バトルを真面目にやるのが面白いです。
☆ゼロで割る 評価 B+
数学の矛盾にとりつかれた女性が、狂気に蝕まれていくお話。
僕は数学が苦手なので、ちょっと読むのに難渋しました。
僕なんかからすると、「そんなことはいいから、楽しく生きようぜ」と言いたくなるのですが……大変ですねぇ。
☆あなたの人生の物語 評価 B+
未来を全て知ってしまった母が、亡くなってしまう子供について語る物語。
運命論的なお話ですが、途中「宇宙人」とのやりとりが挟まってきて、これがかなり読みづらいのがなんとも。
雰囲気づくりとしてはアリだと思うのですが、ちょっと冗長かなぁと。
「お父さん」の名前が注意深く隠してあるのが面白かったですね。
過度に美化されておらず、生意気だけどもかわいいという子どもの造形が
リアルでなかなか良かったです。
☆七十二文字 評価 B+
錬金術のような不思議な魔法科学が跋扈する世界での物語。
物語は二転三転するのですが、ちょっと急展開だったかなと思わなくもないです。
それでいてアクションシーンも含め、結構楽しめたのですが。
☆人類科学の進化 評価 C
この短編集で唯一、ちょっとよくわからないお話でした。
☆地獄とは神の不在なり 評価 A+
天変地異のような天使たちの降臨や、天国・地獄の概念がとても面白いですね。
レイプ犯が天国へ行ってしまったり、改心した主人公が地獄に落ちてしまったり……
シュールな不条理さがツボでした。
テッド・チャンは無宗教者だそうで、なるほど、キリスト教徒の作家にはないフットワークの軽さみたいなものが、この作品からは感じられました(キリスト教徒の作家だと、もっと説教臭く、重い話になると思う)。
☆顔の美醜について 評価 A
口語体で、この短編集で最も読みやすいお話。
ルックス差別から始まる物語ですが、ルックスに限らず「無から需要を作り出す」広告化社会への批判としても
面白く読めますし、恋物語としてもなかなか面白かったです。
幅広く万人に薦められそうな、面白い短編集でした。
☆バビロンの塔 評価 A
中世ヨーロッパで信じられていた、「世界の果て」。
海をずっと進んでいくと、そこには世界の果てがあり、水は奈落へと落ちていく。
そんな概念は、世界一周によって崩れ去りました。
世界の果てをめざし進んでいった彼らは、いつの間にか元の場所へと戻っていたのです。
この「バビロンの塔」はそんな物語。
横方向の「世界の果て」を、縦方向に変換し、「バベルの塔」の伝説とくっつけたあたりが素晴らしいと感じます。
月や太陽を通り越して塔が伸び続けるその描写もグッド。
「バベルの塔」を知っているだけに、いつ神の怒りが下るのだろうとハラハラしましたが、そこは変えてきましたね。
☆理解 評価 A-
脳が活性化した新人類の物語。
このテの話を読むと「アルジャーノンに花束を」を思い出してしまうのですが、本作はそれとはだいぶ趣の違う物語でした。
新人類同士の頭脳バトルが、某マトリックスのような感じで燃えますね。
馬鹿バトルを真面目にやるのが面白いです。
☆ゼロで割る 評価 B+
数学の矛盾にとりつかれた女性が、狂気に蝕まれていくお話。
僕は数学が苦手なので、ちょっと読むのに難渋しました。
僕なんかからすると、「そんなことはいいから、楽しく生きようぜ」と言いたくなるのですが……大変ですねぇ。
☆あなたの人生の物語 評価 B+
未来を全て知ってしまった母が、亡くなってしまう子供について語る物語。
運命論的なお話ですが、途中「宇宙人」とのやりとりが挟まってきて、これがかなり読みづらいのがなんとも。
雰囲気づくりとしてはアリだと思うのですが、ちょっと冗長かなぁと。
「お父さん」の名前が注意深く隠してあるのが面白かったですね。
過度に美化されておらず、生意気だけどもかわいいという子どもの造形が
リアルでなかなか良かったです。
☆七十二文字 評価 B+
錬金術のような不思議な魔法科学が跋扈する世界での物語。
物語は二転三転するのですが、ちょっと急展開だったかなと思わなくもないです。
それでいてアクションシーンも含め、結構楽しめたのですが。
☆人類科学の進化 評価 C
この短編集で唯一、ちょっとよくわからないお話でした。
☆地獄とは神の不在なり 評価 A+
天変地異のような天使たちの降臨や、天国・地獄の概念がとても面白いですね。
レイプ犯が天国へ行ってしまったり、改心した主人公が地獄に落ちてしまったり……
シュールな不条理さがツボでした。
テッド・チャンは無宗教者だそうで、なるほど、キリスト教徒の作家にはないフットワークの軽さみたいなものが、この作品からは感じられました(キリスト教徒の作家だと、もっと説教臭く、重い話になると思う)。
☆顔の美醜について 評価 A
口語体で、この短編集で最も読みやすいお話。
ルックス差別から始まる物語ですが、ルックスに限らず「無から需要を作り出す」広告化社会への批判としても
面白く読めますし、恋物語としてもなかなか面白かったです。