【ファイナルファンタジー7】






星の命を吸い取り、エネルギーへと変換する魔晄技術。この技術は人々の生活レベルを著しく改善した。
しかし一方で、魔晄エネルギーの採取によって土地は痩せ、星は悲鳴をあげている。
エネルギー産業を中心に幅広く事業を手がける、世界的大企業神羅カンパニーのお膝元ミッドガルで、
反神羅、反魔エネルギーを掲げるテロ組織アバランチが、絶望的な戦いを続けていた。


FFシリーズの中で、タクティクスを除けば最もストーリーが深いと感じた作品です。
本作からは、ガチのSF作品と言いますか、フィリップ・K・ディックの作品群に近い印象を受けました。
どこがディックっぽいかと言いますと、
主人公のクラウド、そして敵役のセフィロスともに、『自分』というものが希薄である点です。
「自分」とはなんなのか。本当に連続した存在なのか。
疑わしい「記憶」、作られた「過去」、周囲の人間から語られる「知らない自分」。
「自分とは誰なのか」、「クラウドとは何者なのか」。
星を守るという物語のメインストリームに寄り添うように、もう一つの謎が絶えず背後で動いていきます。

エアリス
「私……あなたを探してる」
「あなたに、会いたい……」


FF7をプレイしていると、要所要所で、どこか現実感が希薄で、奇妙な浮遊感が漂うマップがありました。
回想シーンのニブルヘイムなどが顕著ですが、現在時間のマップでもジェノヴァ関連やヴィンセント&ルクレツィア、そしてザックス、セフィロス、エアリス。
彼ら、彼女らの存在はどこか夢幻のようです。


セフィロス
「ひさしぶりの故郷なんだろ?どんな気分がするものなんだ?」
「オレには故郷がないから わからないんだ……」

 
一方で、「現実」に属するのがバレットや神羅カンパニーの面々。
そして、「過去(夢幻)」と「現在」を繋ぐのがティファということになりますでしょうか。
かなり大雑把な自己流解釈ですが、「過去(夢・幻)」に囚われたクラウドという主人公が
エアリス(夢幻)を失い、ティファ(夢幻と現実を繋ぐ存在)と結ばれ、セフィロス(同じく夢幻)を打倒するというストーリーラインには何か示唆的なものを感じます。
人は過去に生きるのではなく、現在を生きるというテーマ。
一方で、確かな過去の存在が人間に重みを与え、クラウドの人間性を回復してくれる。
そんな描写が光る作品だったように思います。


クラウド
俺、ソルジャーにはなれなかったよ。絶対になってやるなんて言って 村を出たくせに……」
「はずかしくて……誰にも会いたくなかった……」


主人公が「勇者」であったり「王族」であったりするドラクエとは違い、普通の若者が主人公を務めるケースが多いのもFFシリーズの特徴です。
このクラウドの独白は、「勇者になれなかった、主人公」の。
そして、「生まれついての勇者でなくとも、主人公になれる」希望を、子供の僕に与えてくれたシーンでした。
 



また、エネルギー産業の問題はそのままSF的な、そして現代的な問題でもあります。
日本でも大震災によって福島原発がクローズアップされましたが、石油や石炭といった古くからのエネルギーの乱用もまた、大気汚染など深刻な環境変化を引き起こしています(例としてはPM2.5など)。
しかし一方で、こうしたエネルギー燃料が人々の生活を支えていることもまた、事実。
ただ、魔晄炉を破壊すればいいのかと言われれば、そういうわけにはいかない。
けれど、星の命を守るにはどうにかしないといけない。そういった、明確な答えのない何か。答えの出ない何かを考えるという意味でも、FF7は優れた作品だったと思います。


 
バレット
「……こういう風景を見てるとよう 自然ってやつはホント、すげぇんだなって思うんだ。こんなところに住めって言われたら オレは、迷わずカンベしてくれって答えるぜ……でも、もし住むことになったら きっと、いろいろ工夫して居心地よくしようとすると思うんだ。
「そんな人間の工夫が行き届いたところが……ミッドガルなのか」
「そんなふうに考えちまうと神羅の何もかもが悪いとは言えなくなっちまう……」


(「星の命のためには、多少の犠牲は仕方なかった」というバレットに対し)

ケット・シー
「多少? 多少ってなんやねんな? アンタにとっては多少でも 死んだ人間にとっては、それが全部なんやて……」


プレイ当時、実はFF7で一番好きだったのはケット・シーでした。
人間くさくて、綺麗事だけではわたっていけないけれど、その中で自分に出来ることを、自分の良心に従って行う彼の行動は、あのような外見にも関わらず格好いいなぁと思わされました。

男性陣ではクラウド、それにセフィロスでしょうか。タークスの面々も好きでしたね。
女性陣ではエアリスもティファも大好きです。
エアリスは初恋の相手、ティファは現在の彼女的なポジですね。


FF7にもやはり欠点はいくつかあります。
個人的に一番気になるのは、序盤、ミッドガルを出るまでがやや単調なところですね。
FFというブランド名があるだけに投げたりはしませんでしたが、少々不安にさせられる立ち上がりでした。

また、良BGMが多かった前作のFF6と比べ、BGMがいかにも弱かったのも気になりました。
何かのインタビューで「敢えて、音楽の主張を抑えた」というコメントを見たのですが、それにしても抑えすぎじゃないか?という。
その中で印象に残っている曲はこの辺りでしょうか。


https://www.youtube.com/watch?v=8vCKFeO3nNs (エアリスのテーマ)

https://www.youtube.com/watch?v=oE0hgt_a_do (片翼の天使:セフィロス戦の曲)


後は、ラスボスのセフィロスが弱すぎる点とかかなぁ。
まぁ、僕はヌルゲーマーなので、強すぎるよりは弱すぎる方が良いのですが。
マテリアシステムは特に好きでも嫌いでもありませんでしたが、リミットブレイクのシステムはかなり好きでした。


ストーリーやキャラといった要素ではなく、純粋にゲーム的な要素だけで考えても、
FF7はFFの中で一番か二番に好きな作品です(その場合、7と同率で一位を争うのは「6」になります)







 
【ファイナルファンタジー10】








シンという怪物が災害をもたらしている世界、スピラ。
召喚士が自らの命を犠牲にして行う「究極召喚」によってのみ、シンは退けられ束の間の平和『ナギ節』が訪れる。
10年前、大召喚士ブラスカは護衛(ガード)のジェクト、アーロンと共にシンを倒しナギ節をもたらした。
今また現れたシンを前に、ブラスカの娘ユウナは旅に出る。
ジェクトの息子ティーダや父のガードを務めたアーロンらと共に。


とても綺麗な、しっとりとしたラブストーリーです。
ティーダとユウナの物語は、高品質なムービーも相まって、上質な恋愛映画のような感触があります。
真っ先に頭に浮かんだのは映画、『タイタニック』でしょうか。
ギャルゲー・エロゲ―ではしばしば『純愛』というフレーズが出されますが
本作を超える『純愛ストーリー』をギャルゲー・エロゲーでは見た事がありません。
そういう意味でも、唯一無二の作品となっています。


https://www.youtube.com/watch?v=LzKkePuS9K4 (メインテーマ曲:「ザナルカンドにて」)


物語の底流をなすのは、「悲愴」と「幻想」。
ユウナの背負う「使命」と「自己犠牲」が、全編に漂う「悲愴感」の根源だとすれば、
スピラの豊かな自然、そしてティーダの出自が、物語に「幻想」のアクセントを加えています。


ボーカル曲「素敵だね」も素晴らしいですね。
『行きたいよ、君の街、家、腕の中』という歌詞を思い出すたびに、ティーダに対するユウナの想いに胸が揺さぶられます。
エンディング、ユウナがティーダの身体を突きぬけてしまうシーン。
そして、ティーダがユウナを後ろから抱きしめるシーンは、涙なしでは見ることができません。


https://www.youtube.com/watch?v=ZlO_61MpXBE (マカラーニャの森:初めてのキス)

https://www.youtube.com/watch?v=C0UzBD97AnY (エンディング)


このように直球で「純愛」を描ききったFF10ですが、物語にはもう一つ、「世代間の共有体験」と「父超え」というエッセンスが入っています。
「世代間の共有体験」というのは……うまい言葉が見つからないのですが、要は「世代を超えて、同じ経験をする」という事です。


純愛作品として有名な『世界の中心で愛をさけぶ』では、
過去における祖父の悲恋物語と、主人公である朔太郎の悲恋物語が重なり合わさる構造をとっています。
『FF10』もまた、『ユウナの父ブラスカと、そのガードであるジェクトの旅』と、『ユウナと、そのガードであるティーダの旅』が重なるように出来ており、更に「ユウナ」が「父のブラスカ」を、「ティーダ」が「父のジェクト」を超えていくというテーマが内包されています。


こうした『父超え』のエピソードは、よく男性主人公に適用されることが多いのですが、女性キャラクターのユウナに適用されているのはとても珍しいように思います
(女性主人公の場合の超えるべき壁は、父よりも母の事が多い)。


『純愛』と『父超え』という二つの王道テーマを描いたFF10。
前述したFF7に比べると遙かにシンプルな物語ですが、非常に力強く印象深い作品でした。


バトル面、システム面に関しては、FF10ではスフィア盤と呼ばれるシステムが導入されています。
(一周しかプレイしていないせいか)あまり印象が強くないのですが、結構楽しめた記憶があります。

また、ミニゲームのブリッツボールが楽しかった記憶もありますね。
しかしティーダの必殺技「ジェクトシュート」、これ、キャプテン翼なみに反則技な気がww




その他、ベスト10に入れるか迷ったゲームたち (ネタバレなし)


【エリーのアトリエ】

世界を救うような壮大な物語ではなく、どこにでもいる女学生の楽しい日常を描いたRPGというのがお気に入りポイントです。
アイテムクリエーションも面白く、トップ10に入れようか悩みました。
僕がプレイした、マリー~ヴィオラートまでのアトリエシリーズ初期五作の中では確実に「エリー」がベストですね。


【ファイナルファンタジー6】

FFシリーズが既に3作も入っていたので泣く泣く外したけれど、こちらもベスト10に入れようかかなり迷った作品です。
僕にとってこの作品が初めてプレイしたFF作品であり、初めて「RPGをストーリーで見る」ことを教えてくれた作品でもあります。
キャラはセリスが好きでしたが、サブキャラの、たとえばレイチェルやカイエンあたりにも良いイベントがあったなぁ。
音楽も良曲揃いだったし……素晴らしいゲームでした。


【ドラゴンクエスト5】

少年時代から、青年、二児の父親へ至る、時間スケールの大きい物語。
FF10で触れた「父超え」のエピソードは、FFよりもむしろドラクエにおいてよく見られるモチーフで、
本作だけでなく「3」においても使われており、「やや変奏的なものも含めれば「2」も「先祖超え」の物語になります。
「5」に話を戻すと、主人公が勇者ではなく、勇者の父親というのが新鮮な驚きでした。
また、モンスターを仲間にするというのも当時としては斬新だったように思います。

ちなみにビアンカもフローラも好きなので、派閥に分かれて相手を貶しあうのは見たくないですね。
エアリスとティファにも言えることなんですけど。


【ドラゴンクエスト8】

本作は自由度を犠牲にした代わりに、ドラクエ中、最もストーリーが優れていた作品だったと思います。
映画「卒業」的なエンディングもお気に入りだし、ゼシカはエロかわいくてとても良かったです。
一周しかやってないので、いつかまたやりたいですね。


【アルトネリコ2】

ヒュムノスという異言語の物語詩が非常に素晴らしいです。
キャラの描き込みも水準を超えており、RPGとしての出来も悪くないです。
トップ10に入れるか非常に迷ったんですが、突き抜けた要素は『ヒュムノス』のみだったので外しました。
ルカが好きです。


【幻想水滸伝1】

深みのあるストーリーが楽しめる一品。シルバーバーグ兄妹が本当に好きです。
ベスト10に入れて当然のクオリティなんですが、トップ10にあげた幻水2と比べると全体的に見劣りするため、
ランキングを少しでも多彩にするため、今回は見送りました。
紹介記事で幻水2に興味を持ってくれた方は、1もやってくれると期待しています。


【ペルソナ3】

リア充生活が楽しめる楽しいRPG、それがペルソナ3。ベスト10に入れるか少し迷いました。
ペルソナ4に比べると、やや「楽しい青春度」が薄く「鬱屈した青春」に偏っているが、基本は同じです。
紹介記事でペルソナ4に興味を持ってくれた方は、3もやってくれると期待しています。


【キャプテン翼5】

非常に面白いサッカーRPG。だと思うんですが、これをRPGに入れていいのか相当迷ったので、外しました。
経験値とレベルと能力値があって、試合はコマンド入力式なので、僕の概念ではRPGなんですが。
1~5までいずれも面白いです。真面目にプレイしても楽しく熱中できるし、ギャグ的なツッコミ所も満載。
特に「2」、「4」、「5」が面白いですね。一つを選ぶなら「5」かなぁ。
オフサイドの概念や、パスで相手を揺さぶったり、相手の消耗を促したりと、より戦術的なプレイが行えるようになったので。
(1~4は、オフサイドがないのですw)


【ドラえもん ギガゾンビの逆襲】

僕がプレイした初めてのRPG。
当時は「そうび」というのが何の事かわからなくて、「どうぐとして使っていた」(←全く意味がない)
僕をRPGの世界に引き入れてくれた思い出深いゲーム。
「魔界大冒険」、「海底奇岩城」、「竜の騎士」、「日本誕生」の4つの世界で大冒険できます!
ベスト10かどうかはともかく、今やっても結構楽しいと思います。


【戦女神 VERITA】

エロゲ―RPGからどれか一つを選ぶとしたら、これ。
キャラクターが多彩でストーリーも分岐しますし、やり込もうと思ったら100時間覚悟コース。
エクリアさんが凄くかわいいんですが、ルナ・クリアも好きです。
戦女神シリーズはZEROもかなり好きですし、贔屓にしています。



最後に、今回のトップ10記事で紹介したゲームに、順位づけをして終わりにします。
(一か月後に聞いたら少し入れ替わっているかもしれませんが)


1 幻想水滸伝2
2 ファイナルファンタジータクティクス
3 ファイナルファンタジー7
4 ゼノギアス
5 ファイナルファンタジー10
6 ゼノサーガ
7 クロノトリガー
8 ペルソナ4
9 スターオーシャンセカンドストーリー
10 ドラゴンクエスト4



長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
また何かリクエストなどありましたら、よろしくお願いします。