真のヒロインは牡丹でも紅でもなく、撫子でした。



*本感想は、不満が多くなっております。
そういうのが苦手な方は、読まないでください。
よろしくお願いします。







本作を手に取った動機は、
・エロそう
・シナリオもしっかりしているらしい
・過去作「瀬里奈」が面白かった&「瀬里奈」と似た雰囲気、設定を感じたから

でした。


私がプレイした順は、
リュドミラ→(澄美)→綾→良子→藍→牡丹→菫→紅→撫子→ハーレムです。

サブヒロインをまず先に片づけて、そこからメインに入っていったわけですね。
撫子、紅、牡丹は割と核心に近いルートである、という事前情報をキャッチしていたこともあって、こういう順になりました。


【共通ルート】

館モノということで、おどろおどろしい展開を期待しながらプレイしたのですが……うーん。
まず第一に、緊迫感が全然ないです。
人が死んでいても、誰もビビらない。ヒロインたちは吸血鬼なのでビビらなくてもいいんですが、
主人公もビビらない。
なぜなんでしょうか。
俺なら「こんな危ないところにはいられるか!」と確実にトンズラをこくシチュエーションなんですが、
トンズラをこくどころか、逃げるという選択肢が浮かぶこともなく、怯えてもいない様子。


このシーン以外でも、主人公の大輔は悪いやつではないんですが、
いまいち彼の気持ちが伝わってこないので、感情移入はしづらかったです。
大体、次期当主になるという展開なのですから、現当主である隆臣さんの姿を注意深く観察する必要があると思うんですけど……。彼から話を聞こうと、もう少し努力をしてもいいと思いますし。
彼の現在のあの姿を見たら、もっと警戒心が湧いて当然だと思うんですが。


主人公だけでなく、各キャラそれぞれの思惑もいまいちわからないのもマイナスなんですが、それは追々書いていきます。


せっかく怪しげな使用人がたくさんいるのに、ヒロインたちの身に危機が及びそうにないのも、盛り上がらない理由の一つ。
何せ吸血鬼ですし、彼らのホームですからね。
しょぼい人間の使用人が襲ってきても返り討ちにできちゃいそうな面々です。


さらに言えば、「吸血鬼は適合者とのHでしか妊娠しない」らしいので、それも凌辱にいまいち恐怖が湧かない理由の一つ。いくら凌辱されても妊娠しないなら、そんなに怖くないですわ…という冷めた感じです。
そんなわけで、期待したスリルとサスペンス、凌辱への不安と興奮は全く感じることがないままに、プレイは進んでいくのでありました。


【サブヒロイン】


まず最初にクリアしたのはリュドミラでした。
理由は……全く興味がわかなかったからです。美味しいものは後回し。

リュドミラや綾をクリアするために、夜伽では誰も選ばず延々と進めていったんですが、なぜか
「くんくん、女の匂いがするわ」と言われて、「え、わかりますか?」と答えてみたり、
「『これからも』抱いてください」と言われたり、割と意味不明な展開に。
この辺、フラグ管理がうまくいってないんじゃないかなぁと思わされます。


リュドミラルートに入った理由すら、僕にはよくわかりません。
リュドミラを好きになった理由はなに? 全く伝わってきません。
というか、僕がプレイした大輔くんは、個別ルートに入る前日に澄美さんにモーションかけてました……。


リュドミラさん「仕事も暇だし、セフレ作るかー。大輔くんどう?」→
「え、マジになっちゃったの!? ちょっとちょっと、割り切った関係じゃなかったの!?」→「あーもう、大輔くんがマジになっちゃったおかげでこの家いられないよー。この家つぶすかー」的な……
セフレを募集している女に、マジになってはいけません。セフレとして楽しむにとどめてくださいな。




さて、リュドミラは牡丹を目の敵にしているようですが……霧谷家を倒すなら、澄美を狙うべきでは?
なんだかよくわかりませんが、牡丹と戦って、エンディング。
面白くないです。


大輔の語りで(だが、しょせん吸血鬼と人間。長期戦になれば、回復能力を持った吸血鬼の方が圧倒的に有利だ)
という文章が唐突に出たりするんですが、吸血鬼が回復能力持ちだという知識を大輔はどこから仕入れてきたんでしょうか……。
しかも回復能力が活躍するのはこのシーンだけじゃないっすか……。


次、澄美ルート。
ただでさえ興味がないおばさんヒロイン(撫子さんが28~32ぐらいと仮定すると、母である澄美の推定年齢は若くて50くらい……)、しかも人好きがするわけでもなく。
嫌だなーと思ってたんですが、そんなおばさんに主人公が調教されるという素晴らしい展開に、耐え切れずに未読スキップ。


綾ルート。
綾さんも澄美と同じ年頃だそうなので、おばさんなのですが、綾さんには嫌悪感なくいけました。
バッドエンドルートですが、結構好きです。
澄美ルートと綾ルートは、「澄美はヤバい」とプレイヤーに印象づけるために用意されたようなルートでした。


良子ルート。
良子ちゃんはかわいいんですが、これもバッドエンド。
良子ちゃん、なんで血ぃ吸っちゃったん?? と思うけど、毒島には調教されるし、ほんの気の迷いだったのでしょう。
上のルートと違って澄美さんの判断が妙に遅いのが気になりましたが、悪い話じゃなかったです。


というわけでサブヒロインルートは終わり。
いよいよメインヒロインルートに進みます。


【藍ルート】

さっそく藍ルートからプレイ。
うーん……
「藍が他人を好きになると、その相手が死んでしまう」という設定はいいと思います。
でもさー、そのことを皆は知っていたみたいじゃないですか。
それでいて、誰も大輔には教えてくれなかった、と?
藍を大事に思う気持ちはわかりますが、誰も大輔の命の心配はしていなかったということでしょうか。
藍自身も……まぁ隠したくなる気持ちは大いにわかるのであまり咎めはしませんが、結果的に騙していた形になりますよね。
ちょっとこの詐欺は酷いよなぁ。俺が大輔なら、妻選びのやり直しを嘆願すると思いますよ。


「俺は藍の伴侶だ。そんなことで藍を嫌ったりはしない!」は立派ですけど、たかだか10日ぐらい前に初めて会った女の子で、しかもこれといった愛を深めるエピソードもなかったのに、そんな決意を表明されても……。


「姉妹たちの中で牡丹にだけは能力が効かない」というのも謎。
牡丹に能力が効かないのはわかりますが、他の姉妹たちに能力が効くというのはどうやって確かめたんですか?
この辺、ライターは何も考えないで書いてるんじゃないの? と思ってしまいました。


ラストも、「二人の愛は永遠だから、死ばん(漢字忘れた)虫は大丈夫」とか、わけのわからないハッピーエンドになっていますが、全然大丈夫じゃねーから……。
藍ちゃんが少し不安になっただけで、主人公死ぬから……。


【牡丹ルート】


次、牡丹ルート。
牡丹ルートは、ルートロックがかかっています。リュドミラを攻略しないと選べないんですね。
なので、かなり気合の入ったルートを予想していたんですが……うーん……。


――引用

『良子「いやな予感がします。今まで人が死ぬことはあっても、遺体が消えることはなかったと思います」』

↑いやいや、良子ちゃんって新米メイドだよね??
今まで人が死ぬことはあっても……ってさらりと言ってるけど、短時間で何人死んでるんだよw
良子ちゃん、悪いことは言わないからこの仕事はやめなよ。


『3人は居間でくつろいでいた。
その表情は決して明るくない。
菫ちゃんは少しおびえたような様子で、紅も不機嫌そうだった』

↑あのー、おびえた人と不機嫌な人と無表情な人が居間にたむろしていることを
『くつろいでいる』と表現するのはどうかと思うんですが……


『霧谷家の雰囲気に慣れてきたのか、俺はあまり恐怖を感じていなかった』

↑お前最初から恐怖を感じてなかっただろwww


といった具合で、なんかもうツッコむところしかないです……。


牡丹姉さんは良いキャラしてるんですけどね。
こういうノリの良いお姉さんは好きです。
シナリオは……普通でした。澄美さんの性格なら、もっと躍起になって妨害しそうだけどなぁ。


【菫ルート】

毒島が外をほっつき歩いていたのに、
「これは本気で注意をした方がよさそうだな」とか言って、澄美さんや綾さん、牡丹などに報告することもなく
のほほんとしている大輔に相変わらずだなーと脱力してしまいますが、それよりも……。


菫ちゃん、病みすぎだからww
「姉の死を受け止め切れていない」とかそういう問題じゃねーから!!
毒島を『汚い蛹』呼ばわりはいいとして、大輔のことまで『汚い蛹』だと思ってんぞ、この娘……。

大輔は「共に罪を背負っていこう」とか言ってるけど、あのなぁ……。
上でも書いたけど、たかだか10日ぐらい前に出会ったばかりの子で、しかも大して絆を深めるエピソードもないというのに、その反応はおかしいって。
菫ちゃん、ただのキ印ですやん。


【紅ルート】

満を持しての紅ルート。
明らかにメインヒロインっぽい雰囲気を醸し出しているし、期待していいっすよね?
と思ったんですが……うーん、普通。
いや、藍や菫よりは良いですよ。読んでいて、そんなにハァ!?という部分はなかった。


しいて言うなら、澄美さんは紅の夢に気づいていたのだから、最初から紅を後継者候補から外しておけばいいのに、とは思いました。
ところで、後述の撫子ルートでは『澄美の姉妹たち』は生きているのに、紅ルートでは『一人しか生きていない』のはなんで?
まぁ、いいけど……。


【撫子ルート】

最後に回した撫子ルート。
真打ち登場というべきか、最後に回したこのルートは盛り上がります。
というか、このルートをプレイすると、他のルートは全部バッドエンドに見えますね。
澄美さんが生きている以上、選ばれなかった姉妹は粛清されてそうですし。


どのルートでも、最低のクズぶりをいかんなく発揮してラスボス格に君臨する澄美女帝。
それでいて、どのルートでも澄美を倒す展開はなく、拍子抜けもいいところだったのですが、
撫子ルートでは遂に、澄美と対決、これを倒します。

撫子の過去、ゴンのエピソードも良かったですし、撫子に寄り添う主人公の気持ちも理解できます。
撫子が澄美に銃をつきつけ、綾が撫子に銃をつきつけるシーンでは、思わず手に汗握りました。 
ルートロックがかかっている牡丹ルートや、メインヒロイン然とした紅ルートよりもよほどTRUEルートじゃないですか。
なんでこれが他のルートではやれないかなぁ……
メインヒロイン全ルートが撫子ルートクラスなら、80点も狙えたんですけど……。


やっと最後に面白いルートを読めて、読後感よく終わることができましたが、総合的に見るとやはり期待外れでしょうか。
 

……ハーレムルートは特に書くことないので、これで筆をおかせていただきます。
不満だらけの感想で失礼しました。