イタリア 2-1 ブルガリア
欠場者(イ) DFバレージ(負傷)、タソッティ(出場停止)、MFゾーラ(出場停止)
試合内容 B-
MOM FW ロベルト・バッジョ(75)(イタリア)
GKパリュウカ(55) ミハイロフ(65)
DFマルディーニ(60) フブチェフ(45)
コスタクルタ(40) イワノフ(55)
ムッシ(55) キリヤコフ(50)
ベナリーボ(45) ツベタノフ(55)
MF ベルティ(55) ヤンコフ(45)
アルベルティーニ(70) シラコフ(60)
ディノ・バッジョ(60) レチコフ(55)
ドナドーニ(55) バラコフ(35)
FW ロベルト・バッジョ(75) コスタディノフ(40)
カシラギ(55) ストイチコフ(45)
監督 サッキ B ペネフ C
【イ】
ディノ・バッジョ(60)→コンテ B+
ロベルト・バッジョ(75)→シニョーリ B
【ブ】
コスタディノフ(40)→ヨルダノフ C
ストイチコフ(45)→グエンチョフ ?
予選リーグの戦いぶりを見れば、この両チームがベスト4に勝ちあがる予兆は見えなかった。
イタリアは初戦アイルランドに敗れ、二戦目、GKパリュウカの退場とDFバレージの負傷を何とか乗り越えてノルウェーに勝利。
決勝トーナメントに入ってからも、審判の不可解なジャッジでゾーラが退場。
敗退スレスレに追い込まれた後半ロスタイムに、突然覚醒したのはロベルト・バッジョ。
そこからは、この救世主に引っ張られるようにナイジェリア、スペインを撃破しベスト4に駒を進めてきた。
DFラインはGKパリュウカ、DFマルディーニを中心に比較的安定しており、中盤にはディノ・バッジョという推進力溢れる若手が出てきた。
ただ一方で、攻撃面ではさほど見るべき点はない。
シニョーリの献身性を除けば、ロベルト・バッジョの得点力だけに頼りきりというのが現状だ。
中盤二列目のドナドーニ、コンテ、ベルティ。そして2トップの一角のマッサーロ。
この辺りがもう少し有機的に絡んでくれないと、イタリアの攻撃に迫力は生れないだろう。
守備は充実しており、中盤にはディノ・バッジョ、そして攻撃にもロベルト・バッジョがいるのだから、それで十分と言えなくもない……が。
当時、世界最強を誇ったACミランのメンバーを中心に組んだイタリア代表は、普通に考えれば欧州最強に最も近いところにいてもおかしくはないはずだ。
攻撃の核であるオランダ代表ファンバステンやフリットといったメンバーがいないのが響いているのだろうか。
ブルガリアの方も初戦はナイジェリアに惨敗。
24カ国の中でも最弱であったギリシャに勝利した段階では、その後の躍進は想像されていなかっただろう。
ちなみにこのギリシャ戦の勝利は、長いブルガリアサッカーの歴史にも関わらず、ワールドカップにおける初めての勝利である。つまり、大会前は全く注目されていなかったであろうチームだ。
それが、既に消化試合になっていたとはいえアルゼンチンに勝利し自信をつけたのだろうか。
あれよあれよとメキシコ、そして優勝候補のドイツまでを破りベスト4に進出してきた。
とはいえ……ここまでの戦いぶりを冷静に振り返ってみれば、そこまで強いチームにも見えないのが本当のところだ。
メキシコ戦は両者やる気のないままPKまで突入したようなショボい試合だったし、ドイツ戦は相手に押されまくりながらも隙を突いた2ゴールで「あれ?」と思っている間に勝ってしまった。
GKのミハイロフは守護神と呼んで差支えない。今大会のベスト4にはそれぞれブラジルのタファレル、イタリアのパリュウカ、スウェーデンのラベリと頼りになるGKが並んでいるが、ミハイロフもこの中に入れて申し分のない選手だ。
DFラインはイワノフを中心にまとめてきたが、ナイジェリアの身体能力に文字どおり吹っ飛ばされるなど、身体能力頼みの攻撃には不安が残る。また、汚いプレイは少ないものの細かいファウルが目立つ点も気になるところで、ゴール前で相手にFKを与えてしまうリスクがある。幸い、イタリア、スウェーデン、ブラジルとも身体能力頼みのチームではないので、まずは一安心といったところだが……ファウルの方はいかんともしがたい。
MFは比較的充実したセクションで、特にレチコフの運動量が素晴らしい。この選手、お世辞にも巧いわけではないのだが、フィールドのどこにでも出没し、好守に絡む仕事ぶりには拍手を贈りたい。
メキシコ戦では最後のPKキッカーを務め、ドイツ戦でも決勝ゴールを挙げた、何かとノっている選手だ
(まだ27歳なのに40代のような風貌で何かと目立つ……ゴホンゴホン)。
その他、バラコフ、ヤンコフ、シラコフといった選手たちもそれぞれ水準レベルのクオリティは備えている。
一方の攻撃陣では大会得点王まであと1ゴールと迫ったストイチコフ(もっともPKとFKが多く、流れの中からのゴールは多くないのだが)、そしてコスタディノフの2トップ。縦への抜け出しは巧い印象があるが、破壊力自体はそれなり、といったところ。
そんなブルガリアの武器はセットプレイ。ドイツ戦でも見せたストイチコフのFK、アルゼンチン戦でのCKからのコスタディノフのヘディングなど、セットプレイからの得点に関しては侮れない。
さて、試合前にこれだけの文章を書いてしまったが、イタリアとブルガリアの一戦についてはあまり書くことがない。
前半、救世主ロベルト・バッジョがこの日も鮮やかに2ゴールを決めて、早々に試合を決めてしまった感がある。
この日は中盤のアルベルティーニも好調で、素晴らしいミドルシュート、そしてバッジョへのアシストで本来の能力を見せてくれた。
ブルガリア側は、これはドイツ戦からだが、いかにも「フリーキックください!」という感じで、少しぶつかっただけで大げさに倒れるのが非常に印象が悪い。
ドイツ戦では審判を騙して得たフリーキックをストイチコフが決め、今日も何とも言えない感じのPKを手に入れたが、逆に言えばそれぐらいしか出来ないチームなのである。
そんなブルガリアがイタリアの堅陣を崩すことはやはりできず、ろくにチャンスもないまま試合は終了となった。
それにしても、ストイチコフ、コスタディノフを下げたペネフ監督の交代策は解せない。
まるで、追いつくことを諦めているようにも思えた。
決勝に向けて、イタリアの懸念材料はロベルト・バッジョの負傷だろう。
後半25分に交代したこの大エースが、決勝に無事戻ってくるのだろうか?
ロベルト・バッジョに頼りきりのイタリアにとって、このエースが出場できないようならば、優勝の芽はほぼないだろう。
敗れたブルガリアだが、力量を考えればベスト4に入っただけでも奇跡。
PKで3ゴールも稼いだこともあり、イマイチぴんとこないが、ストイチコフは大会得点王に輝き、
ワールドカップの歴史に名を刻んだ。
なお、ブルガリアはこの94年大会を例外として、今に至るまで国際大会でめぼしい成績は収めておらず、
現在も低迷を続けている。
欠場者(イ) DFバレージ(負傷)、タソッティ(出場停止)、MFゾーラ(出場停止)
試合内容 B-
MOM FW ロベルト・バッジョ(75)(イタリア)
GKパリュウカ(55) ミハイロフ(65)
DFマルディーニ(60) フブチェフ(45)
コスタクルタ(40) イワノフ(55)
ムッシ(55) キリヤコフ(50)
ベナリーボ(45) ツベタノフ(55)
MF ベルティ(55) ヤンコフ(45)
アルベルティーニ(70) シラコフ(60)
ディノ・バッジョ(60) レチコフ(55)
ドナドーニ(55) バラコフ(35)
FW ロベルト・バッジョ(75) コスタディノフ(40)
カシラギ(55) ストイチコフ(45)
監督 サッキ B ペネフ C
【イ】
ディノ・バッジョ(60)→コンテ B+
ロベルト・バッジョ(75)→シニョーリ B
【ブ】
コスタディノフ(40)→ヨルダノフ C
ストイチコフ(45)→グエンチョフ ?
予選リーグの戦いぶりを見れば、この両チームがベスト4に勝ちあがる予兆は見えなかった。
イタリアは初戦アイルランドに敗れ、二戦目、GKパリュウカの退場とDFバレージの負傷を何とか乗り越えてノルウェーに勝利。
決勝トーナメントに入ってからも、審判の不可解なジャッジでゾーラが退場。
敗退スレスレに追い込まれた後半ロスタイムに、突然覚醒したのはロベルト・バッジョ。
そこからは、この救世主に引っ張られるようにナイジェリア、スペインを撃破しベスト4に駒を進めてきた。
DFラインはGKパリュウカ、DFマルディーニを中心に比較的安定しており、中盤にはディノ・バッジョという推進力溢れる若手が出てきた。
ただ一方で、攻撃面ではさほど見るべき点はない。
シニョーリの献身性を除けば、ロベルト・バッジョの得点力だけに頼りきりというのが現状だ。
中盤二列目のドナドーニ、コンテ、ベルティ。そして2トップの一角のマッサーロ。
この辺りがもう少し有機的に絡んでくれないと、イタリアの攻撃に迫力は生れないだろう。
守備は充実しており、中盤にはディノ・バッジョ、そして攻撃にもロベルト・バッジョがいるのだから、それで十分と言えなくもない……が。
当時、世界最強を誇ったACミランのメンバーを中心に組んだイタリア代表は、普通に考えれば欧州最強に最も近いところにいてもおかしくはないはずだ。
攻撃の核であるオランダ代表ファンバステンやフリットといったメンバーがいないのが響いているのだろうか。
ブルガリアの方も初戦はナイジェリアに惨敗。
24カ国の中でも最弱であったギリシャに勝利した段階では、その後の躍進は想像されていなかっただろう。
ちなみにこのギリシャ戦の勝利は、長いブルガリアサッカーの歴史にも関わらず、ワールドカップにおける初めての勝利である。つまり、大会前は全く注目されていなかったであろうチームだ。
それが、既に消化試合になっていたとはいえアルゼンチンに勝利し自信をつけたのだろうか。
あれよあれよとメキシコ、そして優勝候補のドイツまでを破りベスト4に進出してきた。
とはいえ……ここまでの戦いぶりを冷静に振り返ってみれば、そこまで強いチームにも見えないのが本当のところだ。
メキシコ戦は両者やる気のないままPKまで突入したようなショボい試合だったし、ドイツ戦は相手に押されまくりながらも隙を突いた2ゴールで「あれ?」と思っている間に勝ってしまった。
GKのミハイロフは守護神と呼んで差支えない。今大会のベスト4にはそれぞれブラジルのタファレル、イタリアのパリュウカ、スウェーデンのラベリと頼りになるGKが並んでいるが、ミハイロフもこの中に入れて申し分のない選手だ。
DFラインはイワノフを中心にまとめてきたが、ナイジェリアの身体能力に文字どおり吹っ飛ばされるなど、身体能力頼みの攻撃には不安が残る。また、汚いプレイは少ないものの細かいファウルが目立つ点も気になるところで、ゴール前で相手にFKを与えてしまうリスクがある。幸い、イタリア、スウェーデン、ブラジルとも身体能力頼みのチームではないので、まずは一安心といったところだが……ファウルの方はいかんともしがたい。
MFは比較的充実したセクションで、特にレチコフの運動量が素晴らしい。この選手、お世辞にも巧いわけではないのだが、フィールドのどこにでも出没し、好守に絡む仕事ぶりには拍手を贈りたい。
メキシコ戦では最後のPKキッカーを務め、ドイツ戦でも決勝ゴールを挙げた、何かとノっている選手だ
(まだ27歳なのに40代のような風貌で何かと目立つ……ゴホンゴホン)。
その他、バラコフ、ヤンコフ、シラコフといった選手たちもそれぞれ水準レベルのクオリティは備えている。
一方の攻撃陣では大会得点王まであと1ゴールと迫ったストイチコフ(もっともPKとFKが多く、流れの中からのゴールは多くないのだが)、そしてコスタディノフの2トップ。縦への抜け出しは巧い印象があるが、破壊力自体はそれなり、といったところ。
そんなブルガリアの武器はセットプレイ。ドイツ戦でも見せたストイチコフのFK、アルゼンチン戦でのCKからのコスタディノフのヘディングなど、セットプレイからの得点に関しては侮れない。
さて、試合前にこれだけの文章を書いてしまったが、イタリアとブルガリアの一戦についてはあまり書くことがない。
前半、救世主ロベルト・バッジョがこの日も鮮やかに2ゴールを決めて、早々に試合を決めてしまった感がある。
この日は中盤のアルベルティーニも好調で、素晴らしいミドルシュート、そしてバッジョへのアシストで本来の能力を見せてくれた。
ブルガリア側は、これはドイツ戦からだが、いかにも「フリーキックください!」という感じで、少しぶつかっただけで大げさに倒れるのが非常に印象が悪い。
ドイツ戦では審判を騙して得たフリーキックをストイチコフが決め、今日も何とも言えない感じのPKを手に入れたが、逆に言えばそれぐらいしか出来ないチームなのである。
そんなブルガリアがイタリアの堅陣を崩すことはやはりできず、ろくにチャンスもないまま試合は終了となった。
それにしても、ストイチコフ、コスタディノフを下げたペネフ監督の交代策は解せない。
まるで、追いつくことを諦めているようにも思えた。
決勝に向けて、イタリアの懸念材料はロベルト・バッジョの負傷だろう。
後半25分に交代したこの大エースが、決勝に無事戻ってくるのだろうか?
ロベルト・バッジョに頼りきりのイタリアにとって、このエースが出場できないようならば、優勝の芽はほぼないだろう。
敗れたブルガリアだが、力量を考えればベスト4に入っただけでも奇跡。
PKで3ゴールも稼いだこともあり、イマイチぴんとこないが、ストイチコフは大会得点王に輝き、
ワールドカップの歴史に名を刻んだ。
なお、ブルガリアはこの94年大会を例外として、今に至るまで国際大会でめぼしい成績は収めておらず、
現在も低迷を続けている。