ブラジル 1-0  スウェーデン

欠場者(ブ) DFレオナルド(出場停止)、リカルド・ローシャ(負傷)

試合内容 B-
MOM  FWロマーリオ(80)(ブラジル)

GKタファレル(60)     ラベリ(70)
DFアウダイール(65)    ニルソン(50)
  マルシオ・サントス(60) パトリック・アンデション(60)
  ブランコ(65)       ビョークランド(50)
  ジョルジーニョ(70)   ユング(45)
MF ドゥンガ(65)      インゲソン(40)
   マウロ・シルバ(60)   ミルド(40)
   マジーニョ(45)     テルン(25)
   ジーニョ(55)      ブローリン(40)
FW ロマーリオ(80)    ダーリン(40)
   ベベット(60)      ケネット・アンデション(40)

監督  パレイラ B    スベンソン  C

【ブ】
マジーニョ(45)→ライー B+

【ス】 
ダーリン(40)→レーン ?


ベスト4に出場したチームの中で最も優勝に近いのは、24年ぶりの優勝を狙うブラジルだろう。
予選リーグ、決勝トーナメントともにほぼ危なげなくここまで駒を進めてきた。
唯一、悪癖の「油断」を覗かせたのが準々決勝のオランダ戦で、2-0とリードした後、守備陣の綻びから2-2と追いつかれた。
守備のキーマンはGKタファレル、中盤の底のドゥンガの二枚。前線には個の力で突出しているだけでなく、
抜群のコンビネーションで互いの力を更に引き出しあう、偉大な2トップ、ロマーリオとベベットを擁する。
懸念されたレオナルドの穴も、ベテランのブランコが見事に埋め、選手層も群を抜く。

チャンスメイカーのブローリン、2トップのダーリン&ケネット・アンデション。このトライアングルが猛威を振るったのが北欧の雄スウェーデンだ。そこまでネームバリューがあるチームではないが、2年前のEuro92でもベスト4に進出しており、確かな力を感じさせる。
予選リーグではカメルーンと引き分けたものの、ロシアを破り突破。
決勝トーナメントではサウジを苦もなく捻り、準々決勝ではルーマニアと死闘を演じPKの末突破した。


さて、準決勝に話を移す。結論から言えば、準決勝とは思えない、非常に物足りない試合内容だった。
簡単に言ってしまえば、決勝トーナメント1回戦ブラジルVSアメリカの焼き直し。
圧倒的に攻めるブラジルに、耐え凌ぐスウェーデンという構図が90分間続き、結果は1-0でブラジルが勝利した。
物足りないのはスウェーデンの姿勢だ。確かにブラジルは強豪であり、格上である。
しかし……90分を通してゴールチャンスと呼べるものが1つもないとはどうしたことか。
初めから0-0のPK狙いだったのだろうか。
サッカー後進国のアメリカが、完全に引いてブラジルを迎え撃つのなら解る。
しかしスウェーデンは、アメリカではない。2年前のEuroでは開催国というアドバンテージはあったものの、ベスト4に進出。今大会でもベスト4と、成績を見れば強豪と呼んで差支えない成績だ。
ピッチレベルでも、上述のトライアングルを中心に、ここまでの5試合で11ゴールを挙げている。
それがこの日は、まるで虎を前にした羊のように怯え、ゴールを守る事だけに死力を尽くした。

NHKの実況は「ブラジルのファンはフラストレーションが溜まっていることでしょう」と連呼していたが、苛立っていたのはスウェーデンを応援していたファン、そして中立の立場で応援していたファンの方だろう。
ブラジルのファンは余裕があったに違いない。何せスウェーデンからは全く得点の香りがしないのだから。
確かに決勝に向けて体力を温存したいという思いから、延長前に勝負をつけたいという気持ちはあったかもしれないが、スウェーデンに敗れることを恐れたブラジルのファンはほぼいなかったはずだ。
もちろんPKになればわからないので、延長後半にでもなれば焦ったかもしれないが……。

ラベリを中心にブラジルの攻撃をよく跳ね返したスウェーデンも、後半35分、とうとうロマーリオにゴールを割られ、万事休した。
よく頑張ったといえばよく頑張ったのだろう。
しかし僕がこの大会のスウェーデンを思い起こす時、それはやはりケネット・アンデションのクロスにダーリンが飛び込んだサウジ戦のゴールであったり、チャンスメイクするブローリンの勇姿であって、決してこの日の腰の引けた彼らの姿ではない。