ウェールズ 3-1    ベルギー

主審   C+
試合内容 A-
MOM CH アーロン・ラムジー(85)

GK ヘネシー(55)        クルトワ(55)
DF アシュリー・ウィリアムズ(65)  アルデルワイレルド(45)
  ガンター(55)         デナイエル(40)
  チェスター(45)        ムニエ(60)
  ニール・テイラー(80)     ジョルダン・ルカク(35)
  ベン・デイビス(50)    MF カラスコ(55)
MF アレン(65)         ナインゴラン(70)
   レドリー(60)        ヴィツェル(50)
   ラムジー(85)        アザール(60)
FW  ロブソン・カヌー(70)  MF デ・ブルイネ(60)
    ベイル(60)     FW ロメル・ルカク(60)

監督 コールマン A+        ヴィルモッツ  B-

【ウェ】
レドリー(60)→キング B-
ロブソン・カヌー(70)→ヴォークス B+
ラムジー(85)→コリンズ ?

【ベ】
カラスコ(55)→フェライニ(35)
ジョルダン・ルカク(35)→メルテンス C
ロメル・ルカク(60)→バチュアイ ?

【ウェールズ】

トーナメント1回戦、北アイルランド戦では相手に完全に抑え込まれ、ウェールズの勢いも落ちたかと思われたが、この日は予選リーグで見せた素晴らしいパフォーマンスを再び取り戻した。
ウェールズのサッカーは、英国系3チーム(北アイルランド、イングランド、アイルランド)に比べ、遙かにテクニカルであり、現在の欧州最先端でもあるスペイン、ドイツ系列のポゼッションサッカーだ。
善し悪しではないがそこが、同じく今大会に旋風を巻き起こしているアイスランドとの違いで、
アイスランドは「弱者のサッカーを突き詰め、突き詰めて結果を残している」のに対し、ウェールズはより洗練されたサッカーを志向している。
その中心軸となるのが中盤のアレンとラムジーの2人だ。
ウェールズが良い試合を見せる時は必ずこの2人が輝いている。
今日の試合のMOMはそのラムジー。2アシストでベルギー撃破最大の立役者となっただけに、次戦の出場停止は本当に痛い。
ラムジー抜きでポルトガルを崩せるのか。厳しいミッションだが、ベスト4という1つの奇跡をなしとげたチームに恐れはない。
この日はいまいち輝けなかった大エース、ベイルが再び勢いを取り戻すことを期待したい。
今大会では不調が目立った主将アシュリー・ウィリアムズにゴールが生まれたのも嬉しいポイントだ。
ラムジーの次に高得点をつけたのはニール・テイラー。
前半6分の大ピンチを2度にわたって防いだ彼が、ウェールズを救ったとも言えるだろう。
攻撃面でも素晴らしいクロスを見せた。
2点目を決めたロブソン・カヌーのゴールはビューティフル。
ベイルはともかくとして、ラムジーもアレンも、所属クラブでは絶対的なエースではない。
ましてロブソン・カヌーは2部リーグ所属の選手である。
しかし、ウェールズ代表での彼らは、所属クラブでの彼らとは違う。
卓越した戦術でチームの舵を取るコールマン監督の手腕も、賞賛すべきだろう。


【ベルギー】
   
タレントは優れているのにチームはバラバラ。2014の頃に比べれば少しはマシになっていたものの、
2012年から4年もチームを率いている割には、戦術の整備がされていない印象で、当然ヴィルモッツ監督の印象は悪い。
ただし、そうした面はともかくとして、この日の敗北に関しては一概にヴィルモッツだけを責めることはできないだろう。
ベルギーはCBコンパニ、ロンバーツという2人の主力DFを大会前に怪我で欠いた。
更にその2人の主力の代役となるエンヘルス、ボヤタまでも欠いた。
そしてハンガリー戦でイエローカードをもらったヴェルマーレンを出場停止で、ヴェルトンゲンを怪我で欠いた。
なんと6人もの主力DFを欠いたベルギーの最終ラインは、アルデルワイレルド1人を除き、5番手、6番手に位置するような選手たちなのだ。
この日は特に左サイドバックのジョルダン・ルカクの出来が壊滅的だったが、本来代表レベルの選手ではないのだと思われる。3失点も致し方なし、だろう。守備陣で唯一の及第点は右サイドバックのムニエで、2度ほど効果的なオーバーラップからゴールに結びついてもおかしくないクロスを上げた。

攻撃面に目を向ければ、
前半6分に訪れたビッグチャンスをウェールズ守備陣に止められたのは大きかったかもしれない。
そこにナインゴランのゴールが加われば2点をリードできたはずで、2-0ともなればこんな展開にはならな……かったと言いたいところだが、前半6分にゴールを決めていればナインゴランのゴラッソは生まれなかったような気もする。
ナインゴランのゴール後、完全にウェールズに主導権を明け渡した、ふがいない戦いぶりを観るに。

後半からはフィジカルモンスターのフェライニを投入。戦術フェライニのパワープレイに切り替える。
これが効を奏し、ウェールズ守備陣に脅威を与えたが、とはいえ……格上が取る戦術ではないというか、
こんな事しかできないのかという思いもあった。
フェライニはヘディングでは脅威となっていたものの、この日もラフプレイで悪目立ちしており、印象は良くない。
もっとも、アザール、デブルイネ、ルカクのトライアングルは限定的ではありながらもウェールズ守備陣を脅かしていたし、ナインゴランはゴールも含めて1人奮闘していた。
敗因はやはり守備陣。その守備陣は上述したように6人もの主力を欠いていた。

ベルギーほどのタレントがいれば、もう少し良いサッカーもできそうなものではあるが、
守備陣が崩壊するほどの怪我人、欠場者に見舞われたのは不運だったとも言える。