ポルトガル 2-0 ウェールズ
主審 B-
試合内容 C+
MOM FW クリスチアーノ・ロナウド(70)(ポルトガル)
GK ルイ・パトリーシオ(65) ヘネシー(45)
DF ブルーノ・アウベス(65) チェスター(45)
フォンテ(60) ガンター(55)
セドリック(60) ニール・テイラー(55)
ラファエウ(60) アシュリー・ウィリアムズ(55)
MF ダニーロ(70) DF コリンズ(40)
アドリエン・シウバ(55) MF レドリー(45)
ジョアン・マリオ(50) アレン(20)
レナト・サンチェス(55) キング(45)
FW クリスチアーノ・ロナウド(70) ベイル(65)
ナニ(65) ロブソン・カヌー(55)
監督 フェルナンド・サントス A コールマン B
【ポ】
レナト・サンチェス(55)→アンドレ・ゴメス B+
アドリエン・シウバ(55)→ジョアン・モウチーニョ ?
ナニ(65)→クアレスマ ?
【ウェ】
レドリー(45)→ヴォークス C
ロブソン・カヌー(55)→チャーチ C
コリンズ(40)→ジョナサン・ウィリアムズ C+
【ポルトガル】
しぶとい。そして勝負強い。ここまでの5戦、ポルトガルの成績は90分に限定するならば0勝5分0敗である。
運に恵まれた。アイスランド、ハンガリー、オーストリア、クロアチア、ポーランド、ウェールズ。
クロアチアは強豪だし、アイスランド、ハンガリー、ウェールズといった今大会を彩った名脇役達を過小評価するわけではないが、やはりドイツやフランス、スペインやイタリアとは違う。
つまらない。これもまた真理だ。クロアチア戦での120分間は、拷問のようだった。
それでもポルトガルは勝ち上がってきた。運だけで、決勝まで駒を進められるわけがない。
ポルトガル躍進の最大の立役者はフェルナンド・サントス監督その人だろう。
2014年のワールドカップで審判に暴言を吐き、数試合ベンチ入りが禁止されていた状況で、
それでも彼に白羽の矢を立てたポルトガルサッカー協会の英断も評価できるところだ。
予選リーグ、サントス監督は右SBにヴィエイリーニャを起用。
この時点でのポルトガルのサッカーは、トーナメント以降の「退屈さ」とは無縁の、攻めて攻めて攻めまくるチームだった。アイスランド、オーストリア相手に1得点しか取れなかったのは、前線の決定力不足によるもので、
試合を支配していたのは彼らだった。
その攻撃的な姿勢がピークを迎えたのは3-3の乱戦と化したハンガリー戦。
サントス監督は悟ったのかもしれない。この魅力的なサッカーでは、トーナメントは勝ちあがれない、と。
クロアチア戦、右SBには守備的なセドリックが起用され、ポルトガルは突如「退屈で硬い」チームへと変貌した。
怪我によるものなのかもしれないが、目まぐるしく変わるスタメンもまた、今大会のポルトガルの特徴だろう。
GKルイ・パトリーシオ、FWのナニとクリスチアーノ・ロナウド。
毎試合登場するのはこの3人ぐらいだ。
初戦のアイスランド戦、リカルド・カルバーリョとペペ、ヴィエイリーニャとラファエウのセットでスタートした最終ラインは、このウェールズ戦ではブルーノ・アウベスとフォンテ、セドリックとラファエウと一新されていた。
唯一変更の無いラファエウも、クロアチア戦やポーランド戦ではエリゼウが起用されていた。
ペペの怪我もあるが、全ての選手を起用している事になる。
中盤も、ダニーロ、アドリエン・シウバ、ジョアン・モウチーニョ、ウィリアム・カルバーリョ、ジョアン・マリオ、アンドレ・ゴメス、レナト・サンチェスと、目まぐるしく構成が変わるが、誰が出ても一定の力を発揮している。
前線ではジョーカーのクアレスマが存在感を見せつけた。
この分厚い選手層をもってすれば、ちょっとやそっとの怪我人や出場停止者で不安になる事はない。
選手の疲労も分散しており、コンディションも良好だ。
勿論、小国であるウェールズと、強豪国のポルトガルを比較するのも酷な話ではあるが、
これが、ラムジー1人を欠くと途端に機能不全となってしまうウェールズとは違うところだ。
ただ……そんなポルトガルの決勝進出は確かに素晴らしいのだが、やはり「つまらなさ」は問題だろう。
巷では2004のギリシャと比較する声もあるようだが、個人的には的外れのように思う。
まず、2004のギリシャは今大会のアイスランドやハンガリー、ウェールズのような立場の弱小国であり、完全なるアウトサイダーと目されていた。
しかしポルトガルは違う。絶対的な優勝候補ではないものの、ベスト4、ベスト8候補の強豪国である。
更に言わせてもらえば、明らかに2004のギリシャの方が面白かった。
これは「あのギリシャがどこまで行くんだ!?」的な興奮と混ざり合っているため、一概にサッカーの質そのものとの比較ではないが、
今までメジャートーナメントで1勝も上げていなかったギリシャが、開催国のポルトガルを二度にわたって下し、フランスも下した姿には、興奮を覚えたものだ。
しかし今大会のポルトガルの決勝進出には、興奮はない。
サッカーの強豪国が、つまらないサッカーで粛々と勝ち上がっていくのを、冷めた目で眺めているだけだ。
その選手層、サントス監督の手腕は見事だ。
誤審で勝ち上がったわけでもなく、ファイナリストに相応しくないとは思わない。
トーナメントの山だって、事前に決められたルール通りだ。
いくら向こうの山のドイツ、フランス、イタリア、スペインよりも質が低いのでは?と言ったところでどうしょうもない。
しかし……。
決勝で当たるのは、ドイツかフランスか。いずれにせよ、今大会でポルトガルが今まで当たってきたチームとは、
明らかに2ランクは上のチームである。
その決勝で勝利した時……ポルトガルは、「退屈だ」という声を堂々と跳ね返し、王者として認められるだろう。
できれば、ヴィエイリーニャを起用し、攻撃的サッカーを演じた予選リーグのポルトガルの姿を決勝では観たい。
そうなれば、たとえ敗北してもサッカーファンの記憶には美しい敗者として、良い印象が残るはずだ。
あるいは、退屈なサッカーでも勝利すれば、王者の称号が得られるだろう。
問題は、つまらないサッカーで敗北した時。
その場合は……「トーナメントの山の不均衡」を嘆く、サッカーファンの声がこだまするに違いない。
2010ワールドカップの、『退屈な準優勝者』オランダを人々は美しい記憶として覚えているだろうか?
答えは否だ。
1998ワールドカップの、『美しくベスト4』に散ったオランダに比べれば、2010のオランダなど語る価値もない。
【ウェールズ】
敗因はなんと言ってもラムジーの不在に尽きるだろう。
今大会ここまでウェールズの躍進を支えてきたのは、中盤のアレン、ラムジー、そして前線のベイル。
この三本柱の一柱でも欠ければ、彼らのサッカーは機能不全に陥る。
選手層の厚薄こそが、ポルトガルとの最大の違いであり、小国ウェールズ故の限界でもある。
この日はアレンも中盤で不用意なボールロストとファウルを連発するなど冴えがなく、
前線で一人ベイルが奮闘する姿だけが印象に残った。
しかし、ウェールズにとってベスト4進出は素晴らしい快挙。
敗色濃厚となったチームを最後まで支えたサポーターの、心を震わせる応援とともに、
彼らの魅せたフットボールは世界中のファンの記憶に残るだろう。
主審 B-
試合内容 C+
MOM FW クリスチアーノ・ロナウド(70)(ポルトガル)
GK ルイ・パトリーシオ(65) ヘネシー(45)
DF ブルーノ・アウベス(65) チェスター(45)
フォンテ(60) ガンター(55)
セドリック(60) ニール・テイラー(55)
ラファエウ(60) アシュリー・ウィリアムズ(55)
MF ダニーロ(70) DF コリンズ(40)
アドリエン・シウバ(55) MF レドリー(45)
ジョアン・マリオ(50) アレン(20)
レナト・サンチェス(55) キング(45)
FW クリスチアーノ・ロナウド(70) ベイル(65)
ナニ(65) ロブソン・カヌー(55)
監督 フェルナンド・サントス A コールマン B
【ポ】
レナト・サンチェス(55)→アンドレ・ゴメス B+
アドリエン・シウバ(55)→ジョアン・モウチーニョ ?
ナニ(65)→クアレスマ ?
【ウェ】
レドリー(45)→ヴォークス C
ロブソン・カヌー(55)→チャーチ C
コリンズ(40)→ジョナサン・ウィリアムズ C+
【ポルトガル】
しぶとい。そして勝負強い。ここまでの5戦、ポルトガルの成績は90分に限定するならば0勝5分0敗である。
運に恵まれた。アイスランド、ハンガリー、オーストリア、クロアチア、ポーランド、ウェールズ。
クロアチアは強豪だし、アイスランド、ハンガリー、ウェールズといった今大会を彩った名脇役達を過小評価するわけではないが、やはりドイツやフランス、スペインやイタリアとは違う。
つまらない。これもまた真理だ。クロアチア戦での120分間は、拷問のようだった。
それでもポルトガルは勝ち上がってきた。運だけで、決勝まで駒を進められるわけがない。
ポルトガル躍進の最大の立役者はフェルナンド・サントス監督その人だろう。
2014年のワールドカップで審判に暴言を吐き、数試合ベンチ入りが禁止されていた状況で、
それでも彼に白羽の矢を立てたポルトガルサッカー協会の英断も評価できるところだ。
予選リーグ、サントス監督は右SBにヴィエイリーニャを起用。
この時点でのポルトガルのサッカーは、トーナメント以降の「退屈さ」とは無縁の、攻めて攻めて攻めまくるチームだった。アイスランド、オーストリア相手に1得点しか取れなかったのは、前線の決定力不足によるもので、
試合を支配していたのは彼らだった。
その攻撃的な姿勢がピークを迎えたのは3-3の乱戦と化したハンガリー戦。
サントス監督は悟ったのかもしれない。この魅力的なサッカーでは、トーナメントは勝ちあがれない、と。
クロアチア戦、右SBには守備的なセドリックが起用され、ポルトガルは突如「退屈で硬い」チームへと変貌した。
怪我によるものなのかもしれないが、目まぐるしく変わるスタメンもまた、今大会のポルトガルの特徴だろう。
GKルイ・パトリーシオ、FWのナニとクリスチアーノ・ロナウド。
毎試合登場するのはこの3人ぐらいだ。
初戦のアイスランド戦、リカルド・カルバーリョとペペ、ヴィエイリーニャとラファエウのセットでスタートした最終ラインは、このウェールズ戦ではブルーノ・アウベスとフォンテ、セドリックとラファエウと一新されていた。
唯一変更の無いラファエウも、クロアチア戦やポーランド戦ではエリゼウが起用されていた。
ペペの怪我もあるが、全ての選手を起用している事になる。
中盤も、ダニーロ、アドリエン・シウバ、ジョアン・モウチーニョ、ウィリアム・カルバーリョ、ジョアン・マリオ、アンドレ・ゴメス、レナト・サンチェスと、目まぐるしく構成が変わるが、誰が出ても一定の力を発揮している。
前線ではジョーカーのクアレスマが存在感を見せつけた。
この分厚い選手層をもってすれば、ちょっとやそっとの怪我人や出場停止者で不安になる事はない。
選手の疲労も分散しており、コンディションも良好だ。
勿論、小国であるウェールズと、強豪国のポルトガルを比較するのも酷な話ではあるが、
これが、ラムジー1人を欠くと途端に機能不全となってしまうウェールズとは違うところだ。
ただ……そんなポルトガルの決勝進出は確かに素晴らしいのだが、やはり「つまらなさ」は問題だろう。
巷では2004のギリシャと比較する声もあるようだが、個人的には的外れのように思う。
まず、2004のギリシャは今大会のアイスランドやハンガリー、ウェールズのような立場の弱小国であり、完全なるアウトサイダーと目されていた。
しかしポルトガルは違う。絶対的な優勝候補ではないものの、ベスト4、ベスト8候補の強豪国である。
更に言わせてもらえば、明らかに2004のギリシャの方が面白かった。
これは「あのギリシャがどこまで行くんだ!?」的な興奮と混ざり合っているため、一概にサッカーの質そのものとの比較ではないが、
今までメジャートーナメントで1勝も上げていなかったギリシャが、開催国のポルトガルを二度にわたって下し、フランスも下した姿には、興奮を覚えたものだ。
しかし今大会のポルトガルの決勝進出には、興奮はない。
サッカーの強豪国が、つまらないサッカーで粛々と勝ち上がっていくのを、冷めた目で眺めているだけだ。
その選手層、サントス監督の手腕は見事だ。
誤審で勝ち上がったわけでもなく、ファイナリストに相応しくないとは思わない。
トーナメントの山だって、事前に決められたルール通りだ。
いくら向こうの山のドイツ、フランス、イタリア、スペインよりも質が低いのでは?と言ったところでどうしょうもない。
しかし……。
決勝で当たるのは、ドイツかフランスか。いずれにせよ、今大会でポルトガルが今まで当たってきたチームとは、
明らかに2ランクは上のチームである。
その決勝で勝利した時……ポルトガルは、「退屈だ」という声を堂々と跳ね返し、王者として認められるだろう。
できれば、ヴィエイリーニャを起用し、攻撃的サッカーを演じた予選リーグのポルトガルの姿を決勝では観たい。
そうなれば、たとえ敗北してもサッカーファンの記憶には美しい敗者として、良い印象が残るはずだ。
あるいは、退屈なサッカーでも勝利すれば、王者の称号が得られるだろう。
問題は、つまらないサッカーで敗北した時。
その場合は……「トーナメントの山の不均衡」を嘆く、サッカーファンの声がこだまするに違いない。
2010ワールドカップの、『退屈な準優勝者』オランダを人々は美しい記憶として覚えているだろうか?
答えは否だ。
1998ワールドカップの、『美しくベスト4』に散ったオランダに比べれば、2010のオランダなど語る価値もない。
【ウェールズ】
敗因はなんと言ってもラムジーの不在に尽きるだろう。
今大会ここまでウェールズの躍進を支えてきたのは、中盤のアレン、ラムジー、そして前線のベイル。
この三本柱の一柱でも欠ければ、彼らのサッカーは機能不全に陥る。
選手層の厚薄こそが、ポルトガルとの最大の違いであり、小国ウェールズ故の限界でもある。
この日はアレンも中盤で不用意なボールロストとファウルを連発するなど冴えがなく、
前線で一人ベイルが奮闘する姿だけが印象に残った。
しかし、ウェールズにとってベスト4進出は素晴らしい快挙。
敗色濃厚となったチームを最後まで支えたサポーターの、心を震わせる応援とともに、
彼らの魅せたフットボールは世界中のファンの記憶に残るだろう。