「こんにゃく」は全3章構成になっておりまして、
第1章(共通ルート)マラソン大会・凛奈加入まで
第2章(7割共通ルート)寮生活~ヒロインの一人と結ばれるまで
第3章 個別ルート

となっています。
で、今回は第1章をクリアしたので感想を書きますが……ハーーーッキリ言っちゃうと、ツラい。
僕の「こんにゃく」評価があまり伸びないのは、この第1章が足を引っ張っている部分が大きいです。


つぐみ寮に新しい仲間がやってきた。沢城凛奈、転入生。
寮に馴染もうとしない凛奈を、海己が、航が、仲間に入れようとする。
しつこくアプローチを重ねた結果、「マラソン大会で、航が凛奈に勝てば」寮の仲間に入るという約束を取り付けた。
そしてマラソン大会当日。
「航を勝たせたくない」学園長側の妨害などに遭いながら、それでも善戦した航だったが、最終的にはズルをして勝とうとする。
結局失格になってしまった航だったが、凛奈は航の必死さに打たれ、7人目の仲間として溶け込むのだった。


というのが大まかなあらすじだけど、なんつーか、酷い。

酷い点を列挙する。


学園長側の陰謀があまりにもショボすぎる    不満度 6(10が最高。1が最低)

これは、多分誰もが頷いてくれると思う。
普通に考えて、『生徒間の口約束』を鵜呑みにして陰謀を仕掛けるというのはあまりにもアホらしいし、学園長の陰謀によって死者が出たら、学園側の問題は追及され、当然学園長は責任を問われかねない。
実際、航は『骨折』しているが、『熱射病で死ぬ』可能性だってある。
そんな陰謀を企てるとは、『常識的に言って、あり得ない』。


航がウザい    不満度 9・5

しかし僕の不満は上記よりも、むしろこちらの方が根深い。
ちなみにこれについて、あまり他人に理解してもらった事はない(反論をもらった事もある)ので、
読者の方に共感してもらえるかどうかはわからないが。

僕は、一貫して『凛奈になったつもりで』読んでいたように思う。
転入生。友だちがいない。寂しい。荒れている。友だちがほしい。が、別に自分からは頼んでいない。
そんな時に、寮生の航が声をかけてきてくれた。というシチュエーションだ。

ところがこの航(含めてつぐみ寮メンバー)、性格なのか何なのか知らないが、下ネタはガンガン使ってくるし、かなり無神経で挑発的な上、
凛奈が大事にしている陸上競技に対してズルまでするのだ。


僕が凛奈なら、
『確かに友達はほしい。が、お前と仲良くしたくはない。他に友達を探したい』と思う。
別に寮以外で友達を作ったって構わないのだ。
凛奈はスカイフィッシュで、三田村兄と最低限の交流は持っていた。
それで良かった、という見方もできる。
そこから三田村茜に繋がる未来はあったし、茜に繋がれば少しずつクラスに溶け込める可能性はあった、と思う。


仲良くなりたくてアプローチをするのは良いと思うが、度が過ぎればストーカーだ。
更に言えば、真正面から「仲良くなりたい!」と訴えかけるならいいとして、下ネタは言うわ、挑発的な言動はするわではどうにも厳しい。
航が普通に、凛奈の神経を逆撫でしないような距離の詰め方をすれば、読んでいて不快にはならなかっただろうし、せめて最後のズルさえなければ流せたと思う。

僕が神経質なのかもしれないが、スポーツ観戦において、『ズル・アンチフェアプレー』に対してものすごい嫌悪感がある。
そのうえ、航のこれは、ハッキリ言って『必要ない』のだ。
なぜならズルをしなくても、凛奈は既に航に絆されかけていた。
真剣に凛奈に向かい合っていれば、もっと早く凛奈は航を認めていただろうと思う。
仲良くなりたい、という気持ち自体が悪いのではない。ただ、絶望的にやり方を間違えている
あれでは、仲間に入りたいと思えない。僕ならば。


『この青空に約束を』は、オトナになりたくない子供たちの楽園を描いた作品だと思う。
南栄生島や、つぐみ寮は『ピーターパン』のネバーランドに対応している。
しかし、彼らは『純粋なコドモ』ではない。
『酒は飲むし、エッチはするし、ズルだってするけど、オトナにはなりたくない』コドモなのである。彼らの楽園を潰すオトナは無条件で敵であらねばならないし、
彼らの楽園に入ってくるコドモたちは、大事な仲間に『ならねばならない』のだ。

この大前提に則って物語が展開されているため、この『約束事』に違和感を覚えると
作品全体に違和感を持つことになる。


星野航と浅倉奈緒子は、『純粋な(真っ白な)コドモ』として見るには、汚れているように見える。
藤村静、羽山海己、沢城凛奈はコドモだし、六条宮穂や桐島沙衣里(漢字自信ナシ)も半子供半大人と言った感じに映るが、航と奈緒子の2人はネバーランドの住人としては少々厳しい。

むしろ、「ヤンキー・ミニギャングたちの巣窟」として表現されていれば特段違和感も覚えなかっただろうが……。