☆凛奈ルート 評価

航 B
凛奈 A-
シナリオ A
羨ましさ B+
青春度  A-
Hシーン B+

ストーリーが他ルートと比べても長いので、前半と後半に分けて感想を書きます。

☆前半の感想


思い出の『合わせ石』。
幼かった凛奈に、誰かがくれた『合わせ石』。それを大切に、凛奈は持ち続けていた。
幼かった航が、誰かにあげた『合わせ石』。その記憶は、もはや航の中にはなかった。
記憶の掛け違え。

凛奈は『航に』思い出してほしかった。『思い出してほしい』理由は、時の中で少しずつ推移していく。
『合わせ石の彼』は凛奈の中で、徐々に後退していく。
目の前にいる『航』に恋をしていく。『合わせ石』は二人を結びつける想い出。
想い出は、道具でしかない。
合わせ石の相手に振り向いてほしいんじゃない。航だから振り向いてほしい。『合わせ石』は単なる言い訳、キッカケ作りでしかない。

その『合わせ石』にこだわり続ける航は、エラーを繰り返していく。
ちょうど第1章のマラソン大会で、『勝利』にこだわり続けた結果、凛奈の仲間入りを遅らせたように。

航はそういう男なのだ。『形ある、単純な答え』に手を伸ばしてしまう。
もっとあやふやで、それでいて『大切な、想い』の方に目が行かない。
凛奈はそういう女なのだ。『一度自分から言い出した事』を撤回できない。
『もうそれは大事ではなくなった』とは言い出せず、航に遠回りを強いてしまう。

すれ違いを繰り返した二人は、それでも何とか結ばれる。
というのが前半のストーリーだ。

ここをどう評価するかは、各人の好みや『感情移入度』で差が出そうだ。

僕は、沢城凛奈には感情移入できたが、星野航に感情移入するのは難しかった。
だから、「何で気づいてくれないのよ、バカぁ!」と思って読んでいたし、凛奈の自爆もある種切羽詰まった、ある種痛ましくも真剣な気持ちで読んでいた。
航のミステイクぶりは読んでいてイライラした。

だからまぁ、楽しめたとも言える。
もどかしさこそが、この種の「すれ違い」ストーリーの醍醐味でもあるし、その分ではこの展開はなかなか質が高い。
ただ残念なことに、凛奈の気持ちは解っても、航を恋する気持ちだけは解ってあげられなかった。
そこが、僕の「こんにゃく」評価において、いつまでもこびりつく瑕瑾となっている。


☆後半の感想

後半の物語は『この青空に約束を』全体のテーマでもある、『ネバーランド』を押し出した内容となっている。
『約束の日』に繋がるようにシナリオが設計されている事も含め、凛奈ルートこそがこのゲームのグランド・ルートかもしれない。

「ピーターパンの演劇」で、海己と凛奈が交わす言葉に、このルートの、ひいてはこのゲームのメッセージが凝縮されている。

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『ネバーランド』=『つぐみ寮』(範囲を拡大するなら、南栄生島全体)であり、
『ピーターパン』=『つぐみ寮の学生たち』。

その中で、「永遠のネバーランド住人」であり続けようとしたのが、凛奈であり、静であり、海己だ。
逆に「期間限定のネバーランド」だと割り切っているのが、奈緒子、宮穂の2人。航も基本的にこちら側だ。

さえちゃんは、ある意味『オトナでありながら、ネバーランドに片足を降ろす』立ち位置で、
ある種一番理想的なポジションを確立しているかもしれない。

さえちゃんの有り様(+さえちゃんを受け入れる南栄生島)は、ある意味学生たちのネバーランド以上に、(年齢上)大人になったプレイヤー(僕)にとって心地良いものと感じるけれど、それは余談ではある。


☆その他雑感

羨ましさの項目は航目線でつけた。
エンディングで描かれた、『相変わらず喧嘩ばかり、それも年単位で会っていない恋人関係』。
これは羨ましいのかどうか。
それでも繋がっていられる関係は羨ましいかもしれないけど、自分には無理かなぁと感じてしまう。
つぐみ寮が潰れるまで限定の恋人・羨ましさという意味ではかなり上位ではあるのだが。

しかし本編通して僕が『没入』した対象は航ではなく、凛奈である。
この作品で、恐らく(海己ルートはこれからプレイするので、海己は除くが)僕が最も共感できるキャラクターは凛奈だ。
共感できるというのは、イコール、好きだという事に繋がる。

凛奈を導くのは航よりも、海己の役割が強い。
それは凛奈入寮時から言えることで、航は『思いっきり空回り』しているように映る。
凛奈と同レベルで張り合えるのが航の良いところでもあるが、凛奈を『エスコートする』のはむしろ三田村兄(どうしても名前を覚えられないw)の方で、
個人的には凛奈と航のカップリングよりも、凛奈は三田村兄とくっついた方が幸せになれる気がした。


これで残すところ、海己ルートのみ。
つぐみ寮での生活もいよいよ大詰めに入った。