あのね、わたしはただ人を殺したかっただけなんだ
それは透き通るような大気の中で、私がわたしであるただ一つの拠り所だから
こきりと骨が軋む音、荒く吹きつけられる吐息
人差し指と親指の股を、あなたの肉に食い込ませる
そうすることで、わたしはあなたと交信できるから
分かり合う事ができるから
あなたは普段何を感じている? わたしにはわからない
今、あなたは恐怖を感じている わたしにはわかる
だって、それはかつてのわたしと同じだから
それは檻から解放される恐怖 それは新たな旅立ちへの歓喜
あなたはどこかへ行ってしまう
私もまた、気の向くままに歩む
春風に舞う綿毛のように アゲハ蝶がワルツを踊るその先へ