とても面白かったです。

トッテナムはGKがロリス。
右SBにオーリエ。CBアルデルワイレルド、ヴェルトンゲンのベルギー代表コンビを置いて、左SBにローズの4バック。
中盤は司令塔のウィンクスと、それをフィジカル面で補佐するシソッコ&ヌドンベレ。トップ下にアリ、
2トップにソン・フンミンとケインです。

対するバイエルンはGKがノイアー。
左SBにアラバ、CBはジューレとボアテングのドイツ人コンビで、右SBにパヴァ―ル。
中盤はトリッソとキンミッヒを守備的に置いて、前にコウチーニョ。両翼は左がニャブリ、右がコマン。前線には脅威のストライカー、レバンドフスキ。


この両チームですが、攻撃面での長所と守備面での短所がかみ合いまくっていて、実に面白かったです。前半は完全にノーガードの打ち合いになりました。


バイエルンの攻撃は両翼、特に右サイドのキングズリー・コマンからの突破が多いのですが、
トッテナムの左サイドバック、ダニー・ローズではコマンを止められません。
そこから上がるクロスを、キンミッヒ、トリッソ、コウチーニョ、それにもちろんレバンドフスキが待ち構えます。
1点目はキンミッヒのミドル、2点目もレバンドフスキのミドルと、サイドでの劣勢で守備陣形が崩れたまま中央に折り返され、中央も分厚いバイエルンにゴールを決められる展開でした。


しかし、前半を通じて優勢に進めたのは実はトッテナムの方です。
彼らの縦に速いワンタッチパス、局面を大きく変える、横の揺さぶりにバイエルンの浅い最終ラインは崩壊一歩手前。
トッテナムはダイレクトプレーで、バイエルンの中盤の守備を完全に無効化し、面白いようにソン・フンミンが突破し、シュートを打ちまくりました。
守護神ノイアーやアラバのゴールカバーなどで失点を1に抑えましたが、大量失点してもおかしくない流れ。
バイエルンのジューレ、ボアテングは裏への抜け出しに弱く、ソン・フンミンに走られると追いつけません。そこをカバーするのがノイアーの飛び出しですが、ノイアーも全盛期に比べるとスピードは落ちているように感じられます。これは、この試合だけに限らず、今シーズンのバイエルンにとって『致命的』ともなりうる欠陥のように感じました。

この流れで……なんで1-2で折り返すかなぁ、というのが率直な感想です。
トッテナムのゴール直後にキンミッヒが同点に追いつき、前半終了直前にレバンドフスキが決める。
本当に、ここぞという時間に決めてきました。

☆後半、そして総評

後半は、前半から見えていた……いや、もっと言ってしまえば開幕前から見えていた、トッテナムの最大の弱点を面白いように突かれまくった、トッテナムにとって惨劇とも呼べる内容になりました。

左サイドバックのダニー・ローズ。右サイドバックのセルジュ・オーリエ。CBのヤン・ヴェルトンゲン。中盤底のハリー・ウィンクス。
この4人が今日の戦犯であり、ヴェルトンゲンを除いた3人は、そもそもこのレベルでは明らかに見劣りする選手たちです。

まず、オーリエとローズ。この2人はもはや守備をしておりません。
コマンとニャブリを止めたシーンが、ほとんど記憶にありません。
ローズは恐ろしいほどにスライディングタックルを多用し、たまたまコマンを止められたシーンはありましたが、そもそもスライディングというのは緊急事態における『一か八か』のタックルであって、
多用すべきではないし、何故か審判にお目こぼししてもらいましたが、どう見てもPKのシーンが1回ありました。
オーリエは攻撃面では顔を出していましたが、守備面では惨憺たる出来。
なぜシーズン開幕前にトリッピアーを放出した穴を埋めなかったのか、理解できません。
トッテナムは一昨年カイル・ウォーカーを、去年はキーラン・トリッピアーと2年連続で右SBの主軸を失っているのに、何故補強しなかったのでしょうか? 
オーリエに彼らの代わりが務まると、思っていた愉快な人がフロントにいたのでしょうか? 

若手の司令塔ということで、ウィンクスは辛抱強く成長を見守りたい選手ではあります。
しかしビッグクラブの中盤の底を任せるには、あまりに頼りないと言わざるを得ません。
不用意なボールロスト、流れを相手に渡すミスパス、酷いモノです。
もっと酷いのは、それでもウィンクスぐらいしか、トッテナムの中盤には配給役がいない事です。

ヴェルトンゲンは、普段は特に悪いとは思いませんが、今日の6失点目の気の抜けたようなミス。
2失点目のファウルの原因も、ヴェルトンゲンのパスミスが発端だったように記憶しています(こちらは記憶違いかも)。

と、4人も穴がいるようでは、このクラスでは勝てません。
今年のトッテナムは、いよいよダメみたいです。
シソッコ&ヌドンベレのダイナミズムを活かした中盤から前は、今日も形を作れていただけに
守備組織の再編ができれば良いのですが……。
SBがあまりに脆いので、いっそのことサンチェス、デイビス、アルデルワイレルド、ヴェルトンゲン、シソッコの5バックという案はいかがでしょうか? 
開幕当初から右SBの酷さとウィンクスの物足りなさは感じていましたが、ローズもこんなにひどかったんやね……。