怪奇ミステリ色が強い中盤まではなかなか面白い。終盤はなんだかなぁ、という感じ。シリーズで一番好きなのは「神の造りたもうた少女たち」、次点で「忘れな草」と本作です。


学園で頻発する「青蜘蛛の呪い」は、「オカルティックADV」の名にふさわしい質。
犯人がバレバレすぎるという欠点はあるけれど、事件を追いながら皇や月丘との親交を深めていく日々。
そして何よりじれったくなるような、蓮華との甘酸っぱい恋が描かれる中盤までは本当に面白かったです。

延々とびゃっこ氏を描いている生徒たち、これでもか、と畳みかけられる狐のエピソード
「こっくりさん」「玉藻の前」「きつねラーメン」「野干=薬缶」「白狐(びゃっこ氏)」。
学校の怪談チックな、音楽室やプールでの惨事、夜な夜な夢遊病のように出歩く主人公、
見える人にしか見えない神社、執拗に夏彦に迫るもよか。


ただ、面白かったのは、もよかとの対決まで。
『万華鏡めぐり』~『転生』の終盤は、今までほとんどなかったHシーンのオンパレードで、あれほど欲しかったHも食傷気味。
序盤からずっと相思相愛だった蓮華と、遂に結ばれたのは嬉しかったですけどね。
ストーリー上、本編ではHシーンを入れられなかったため、
事件が全て解決してから、後日談として大量のHを用意した、突貫工事的な印象を受けました。


万華鏡めぐりは、一応前作までの舞台背景や音楽などは出てきましたが、
本作で語られるような『愛』の物語だったかなぁ、と首を傾げたくなるところが少々。
(とくに、数日前にクリアした「罪と罰の少女」については、記憶が鮮明だったので、『そんなテーマの作品じゃなかったよなぁ?』と)
最終作なので、無理やりくっつけただけにも思えました。
何より転生話にするなら、『万華鏡世界の主人公たち』も、主人公と蓮華の転生って事にすればよかったのでは?
(「神の造りたもうた少女たち」は、ダブルヒロインなので難しいか)


転生後についても、蓮華とのイチャラブ以上に、皇が夏彦へ抱いてくれていた友情に、心を動かされましたね。
「青蜘蛛の呪い事件」の20年以上後だと思われるので、転生後の年代は、西暦2040年ぐらいなんでしょうか。もよかと高瀬先生がその後、どんなふうに歳を重ねたのかは気になります。
あの旅館はまだあるのかしら。


これにて「美少女万華鏡シリーズ」はおしまい。

ストーリー性の高い「読ませる」シリーズで、エロシーンも多いので好きでしたが、
最終作は逆にエロが物語の足を引っ張った感があって残念でした。
本作に限った事ではありませんが、基本的に本シリーズのHシーンは男性受け身なМ向けのシーンが多いので、
僕の嗜好にはあまり合わないんですよね。


なんか文句ばかり言ってしまった気もしますが、シリーズ通して楽しませていただきましたし、
本作も中盤までは本当に面白かった。蓮華もかわいいし、良作だと思います。