70点。
姉妹編である「アマツツミ」に比べると、シナリオ↓ ヒロイン↓↓ エロ↓↓と、かなり見劣りする。
設定を大きくしすぎ、能力に頼りすぎ。感想は辛口なので、大ファンの方は読まないでください






低評価の理由はいくつもあるが、やはり姉妹編である『アマツツミ』との比較は避けられないだろう。

☆シナリオ全般について

『シナリオ』に関しては徹頭徹尾、『万能能力』で解決されるので白けてしまう。

なるほど、『アマツツミ』にも言霊能力があったが、それなりに『制約』が課されていた。
ところが本作では、そういった制約がほぼない。


『アマツツミ』のテキスト中に、『欠点のない万能な能力じゃ盛り上がらない』(うろ覚え)という文章があったが、まさにそれ。
あかりルートはまだしも、小夜・メアリーの両ルートは酷い。


単品で見た場合はそこそこ面白い理沙ルートは(あかりの次に面白かった)、
他ルートとの整合性が全く取れておらず、これはこれで酷い。
理沙の病気設定・悪魔の性格設定などが、他ルートと全く違っている。
1年経ったあかりトゥルーで理沙が生きているのは、明らかにおかしい。
クリスマス前のホームルームで、生徒の前で律を襲って社会的に死を迎えた理沙先生へのフォローも全くない。
僕は最初、この理沙ルートからプレイした。
そのため、理沙ルートでの悪魔の性格を念頭に置いてメアリー・小夜ルートを読んだため、すっかり混乱してしまった。

そんなわけで、理沙ルートは悪魔の性格も病気設定も『本編』とは違う、夢オチ的な扱いになっている。
酷い。


「演劇」が物語のベースであり、「主演女優」に選んだヒロインと結ばれる仕組みであるにもかかわらず、
小夜ルートでは演劇が中止で中身が不明、理沙ルートでは適当に流されているのも不満が募る。


あかりルートはさすがグランドルートということで盛り上げようとはしているが、やはりループ設定、奇跡設定のせいか感情移入がしづらく、「ふーん」で終わってしまった。


☆エロについて

「アマツツミ」の方がエロかったのは間違いない。

大きな理由として、主人公の律君がアマツツミの誠君よりも「潔癖」だからだろう。
いや、「潔癖」というのも気が引けるが、最序盤以外にはルートヒロイン以外とのHシーンはない。

まぁモラリストとしてはそれでいいのかもしれないが、そのせいで律との触れ合いを増やした
小夜・あかりが衰弱していくというのはあまりにも本末転倒で、
「いいから他の娘も抱けばいいのに」としか思わなかった。

「アマツツミ」の誠君が無節操すぎて感情移入できない、という感想もちらほら見たが、
そういう声に配慮してしまったのだろうか?
個人的には、物語が進んでもヒロインからの来襲があるアマツツミの方がよほどエロく感じた。
誠君は『里の常識』で生きている人だし、律君も『相手の負の感情を食らうため』にHをしていたのに、
それをやめさせた結果があれじゃ、お話にならない。
リアル路線の物語じゃないのに、奇妙な潔癖感を持ち込むなんて、Fu●kでしょ。
これはエロゲだぜ。


さて、全体の話はここまでにして、個別ヒロインで言うなら
陥没乳首の母乳王あかりと、3P大好き赤錆姉妹はエロかった。
しかし、あかりはシナリオ上安心して抜けない感はあるし、
逆に赤錆姉妹はエロは頑張っていたけど夢オチ的な扱いなのでなんだかなー。
織部こころ・水無月ほたるのダブルエロヒロインには勝てず、ここでも敗北。

メアリーは、Hの最中に目がハートマークになるのが苦手でした。


☆ヒロイン

メインヒロインである海野あかりの健闘が光ったが、それ以外のヒロインはやや力不足。
こころん&ほたるんの魅力には敵わなかった。

個人的に理沙先生は結構好きだったが、何度も言うようにシナリオが夢オチ……。
律の初体験という、ある意味大事なキャラクターなのに、それを活かしきれなかったように感じた。
メアリーも悪くはないが、顔かたちが似ているこころんと比べるとどうしても……。
小夜はあまり得意ではなかった(愛もあまり得意ではない)。

というか、小夜よりも赤錆美果子の方が魅力を感じたんだけど……美果子は巧く描けば絶対面白いキャラになったのにな。
『万能の力』なしで、あれだけ人間を超えてるキャラが描けるんだから、奇跡はほどほどにして、
そっちの線でやってほしかったですね。


☆総評

「アマツツミ」で書いた、

【『キャラ抜きゲーの、優等生』。ヒロイン良し(こころんとほたるんは最高)、エロ割と良し、シナリオテキスト割と良し。突き抜けたものはないけれど、丁寧に作られた良作キャラゲー】

に合わせると、ヒロインそこそこ良し(あかりは良い)、エロそこそこ良し(あかりと赤錆姉妹)、シナリオテキスト微妙。突き抜けたものはない、凡作キャラゲーという感じ。


最後に一つ断っておくと、メーテルリンクの「青い鳥」を読んでいません。
なので、実は「青い鳥」に絡めた、深い深いテーマが描かれていたりした場合、そこの部分は評価できません。
あらかじめ断っておきます。