はたらけど
はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり
ぢつと手を見る石川啄木の有名な詩である。
ワーキングプアを思わせる、悲しみに溢れた詩だ。本作「ローマ字日記」は、タイトル通り石川啄木がローマ字で書いた日記。
なぜローマ字なのか。
それは、奥さんに読まれたくないからである!!つまりこれは、現代で言うtwitterの『鍵垢』なのだ。
そして鍵垢で思う存分、啄木先生の『本音』が書き連ねられた作品が本書『ローマ字日記』なのです!本書は1909年4月7日~6月1日の日記なのだが、内容は実にエキセントリック。
啄木は故郷に妻子を残して、東京に単身赴任中。
そして一応、会社員(東京朝日新聞)である。一応と書いたのは、啄木先生はほとんど欠勤しているからw
5月に至っては2日間しか出勤していない。
しかし、給料の前借だけはしていて、そのお金を風俗に使っているのである!
2日しか出勤していないのに、6月分の給料まで前貸ししてくれるとは、なんと素晴らしいホワイト企業なのだろう……ぜひ僕も雇ってほしい(切実)そして、風俗狂いの啄木先生は、8カ月間で17~18回も風俗に行っているw
当時の風俗の相場がいくらかはわからないが、これだけ行けばそりゃお金もなくなって当然である。
24歳の一人暮らしでこの頻度で風俗に行けるサラリーマンはそうそういないと思う。なにが『はたらけどはたらけど』だよ、働いてもいない上に風俗行きまくりじゃないかwwwww
他にも、死にたくなって銭湯に行って、サッパリして帰った、とか、
会社に行きたくなさすぎて大怪我をした事にしようと思って、自分の肌を切ろうとしたが、痛すぎて切れなかったとか、
北原白秋から献本された詩集を売ってしまったとか、もうどこからツッコんでいいのかわからないよwwww
しょっちゅう天ぷら食べてるしww(天ぷらの当時の相場はわからないけど)
その一方で、(啄木先生ほどぶっ飛んでいないにせよ)クズ人間のはしくれとして、多少共感できる部分もあり、それがまた何とも言えない気持ちにさせられるのである。
啄木先生、多分、精神も病んでたんじゃなかろうか。
そう思うと、一見自由にやりたい放題やっているこの日記も、『こういう生き方しかできなかった』ように読めた。
今の世なら心療内科で、休職を薦められているような気がする。毎日のように遊んでくれる金田一君(金田一京助)の存在も心温まるものがあり、
妻子持ちのサラリーマンであるはずが、自堕落大学生の青春日記のようにも読める。他人に(特に女性に)薦めたら、一発で人格を疑われてしまいそうな、本作「ローマ字日記」。
個人的には楽しく読みました。
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