☆ クロアチア代表 1勝4分1敗 6得点6失点
攻撃 B+ 守備 B+ 面白さ B+
個人的MVP GK ドミニク・リバコビッチ
同組のベルギー同様に、4年前の主軸が年齢を重ねたクロアチア代表だが、
モドリッチに代表されるように力の衰えは感じられなかった。
『試合巧者』という言葉がピタリと当てはまるクロアチアは、
ブロゾビッチ、コバチッチ、モドリッチの盤石の中盤が自在にペースを作りだし、
相手のプレッシングをのらりくらりとかわしていき、気がつくとクロアチアのスローなペースに引きずりこんでしまう。
クロアチア最大の強みは、PK戦の強さ。これがあるからこそ「引き分けでもOK」の戦い方が出来るのだ。
日本、ブラジルを連破したPK戦最大の立役者はGKリバコビッチ。
今大会のベストGK候補にも挙げられるだろう彼の活躍で、クロアチアはしぶとくPK勝利を掴んでいった。
最終ラインではグバルディオルが成長。
ロブレン、ヴィダのベテランCBのうち1枠は後継者が定まった。
唯一前回大会から劣化したと感じたのが前線。マンジュキッチの穴は誰にも埋められなかった。
中盤が優れたゲームメイクを見せても、最後の崩しの場面で怖さを見せられるのはペリシッチだけだった。
それが、「負けないクロアチア」(言い換えれば「勝てないクロアチア」)を作ったとも言える。
余談だけれども、ABEMAの解説で本田さんがしきりにダリッチ監督を批判していたが、
個人的にはダリッチ采配で不可思議なところはほぼなかった。
クロアチアはアルゼンチン戦を除いて「巧く行っていた」上に、「油断できる状況(大量リードなど)は一度もなかった」し、
選手層が薄く、頼れる選手がベンチにほとんどいないのだ。
交代枠5枚を無理に使ってバランスを崩す必要性などどこにもないのだから、それを批判するのは的外れだと個人的には感じた。
☆モロッコ代表 3勝2分1敗 5得点3失点
攻撃 B 守備 A+ 面白さ B+
個人的MVP DH ソフィアン・アムラバット
モロッコは「堅守のチーム」と表現されていた。
しかし、それはイコール、「守備的なチーム」を意味しない。
GKに守護神ボノがいて、身を削って守備をする最終ラインがあって、中盤にも強烈なフィルターであるアムラバットがいたからこそ、失点が少なかっただけに過ぎない。
中盤にはウナイ、ブファル、ジイェフといった足技に長けた優れたテクニシャンを数多く揃え、
所属クラブほどではなかったもののハキミも、そして逆サイドのアラーもオーバーラップを見せていた。
低重心のチームではないし、攻撃にかける人数が少ないわけでもない。
ただ、作りだしたチャンスを決めるストライカーがいなかった事、最終ラインが強固だった事から、そのような印象を与えただけで、モロッコ代表がやろうとしていたサッカーは本質的には『ミニ・スペイン』に近いものだった(本家を食ってしまったがw)
クロアチア・ベルギー・スペイン・ポルトガルを退けて、アフリカ初のベスト4進出。
最後のフランス戦の采配は正直少し残念だったが、レグラギ監督とモロッコ代表は、アフリカサッカーの歴史を作った。
それも、くじ運に恵まれたわけでもなく、見るものを退屈させるわけでもない、胸を張れるサッカーで。
クロアチア、モロッコに共通して言える事、更に言えばスペインやドイツ、スイスにも拡大して言えることだが、パスを丁寧に繋ぐチームに限って、ストライカーに恵まれない。
頼れるストライカーがいれば、大化けするのにと、そう感じるチームが今大会も多かった。
(別のチームの話で恐縮ですが、スペインのビジャ、ドイツのクローゼが偲ばれる……
彼らがいれば、スペインやドイツは確実にもっと上にいけたのになぁ)
☆フランス代表 5勝1分1敗 16得点8失点
攻撃 A+ 守備 B+ 面白さ A
個人的MVP FW キリアン・エムバペ
2018年に続いての決勝進出だったが、中身は全く別のチームだった。
それは皮肉にも、中盤の主軸だったポグバとカンテ(特にカンテ)の負傷が大きく作用していたと思われる。
デシャン監督はもともとリスクを冒さない慎重な監督だ。
リスクを取らずに、いかに勝利するかを目指す監督で、エムバペという飛び抜けた『個』さえいれば、
後はポグバ・カンテを中心にした中盤のフィルター、そして盤石の最終ラインで守り勝てる。
それで優勝したのが2018年ワールドカップだった。
しかし今大会は中軸の2人がいなくなり、中盤の守備力がぐらついた。
更に左サイドバックのリュカの負傷離脱も大きく、代わって入ったテオは攻撃型。
中盤はフィルター(カンテ役)のチュアメ二と、ボックストゥボックス型(ポグバ役)のラビオに完全に依存。
特に後者は控えを見渡しても代えがカマビンガぐらいしかおらず、カマビンガは左サイドバックの控えも兼ねていたため、実質中盤で起用される事はなかった。
(なぜラビオを代えないのかと本田さんがずっと言っていたが、答えは簡単で、同じタイプの選手がいなかったからだ)
そのため、アタッカーでありながらゲームメイクにも拘れる、まるでメッシのようなプレイを見せたグリーズマンに、圧倒的な化け物であるエムバペ、もう片翼には4年前と違ってフィットしたデンベレ、
そして最前線には4年前も頼りになった基準点のジルーという、
4-2-4とも呼べるシステム(グリーズマンを中盤にカウントした4-3-3ではあるのだが)が、
結果的にフランスを爆発的な攻撃力を持つチームへと変貌させた。
今大会、最も破壊的(攻撃に人数をかけ、主導権を握り、迫力のあるフットボールを展開する)だったチームがブラジルだとすれば、2番手は恐らくフランスだった。
前述した3人(ポグバ、カンテ、リュカ)以外にも、
ベンゼマ、ヌクンク、メニャンと野戦病院状態で、パバールは監督との意見の相違でほぼ構想外。
とどめに、カタールで蔓延する風邪(スイスも苦しめられた)にまで苦しみながら、
フランスは再び決勝の舞台に返り咲き、PK戦までもつれこませる素晴らしい戦いを見せた。
決勝は確かにほぼアルゼンチンペースだったが、それまでの戦いぶりは間違いなく準優勝にふさわしいもの。
ここにポグバ、カンテが戻ってきたら更に強くなるのだろうが、
逆にこの2人がいなかったからこその苦肉の策のアタッキング・フットボールだったようにも思う。
どう捉えていいのかわからないが、2年後のEUROに向けて最前線のジルー(ベンゼマ)以外は恐らく現状のメンバーも残れるはず。
基準点の選手は極めて大切なので、その問題をどう解決するかは見ものだ。
現時点で去就が判明していないが、デシャン監督とエムバペがいれば、2年後も4年後も、
優勝はともかく、ベスト8以上は期待しても良いだろう。
最後に、解説の本田さんは「エムバペだけのチーム」のように語っていたが、
正直、試合をほとんど観ていなさそうな本田さん(だって、ブロゾビッチすら知らないんだもの……)
がしたり顔でそう語るのはどうかと思った。
決勝だけに限れば確かにそうだったのだが、戦術・エムバペだったのはむしろ2018年大会の方であり、
今大会は『エムバペだけの攻撃』から脱却できた事こそが、フランスにとって怪我の功名とも言える攻撃力の高さとエンタメ性を高めていたからである。
☆アルゼンチン代表 4勝2分1敗 15得点8失点
攻撃 A₋ 守備 A 面白さ B+
個人的MVP FW リオネル・メッシ
全てが「メッシ」のフィナーレを飾るために用意されたような、そんな印象を受ける大会だった。
初戦はまさかのサウジアラビア戦敗戦。
最終ライン5人(GKと4バック)
中盤のデ・パウル、前線のメッシ、ディ・マリアの3枚は確定していたものの、残り3枠の回答を見つけるのに、スカローニ監督は試行錯誤した。
2戦目のメキシコ戦は激しいバトル(ラフプレー合戦:メキシコの方が汚かった)になったが、この2戦目から先発したのがマク・アリステル。
そして、この試合で途中交代して得点を決めたエンソ・フェルナンデスがデ・パウルの相棒として、
最終的には最優秀新人賞にも選ばれた。
第3戦のポーランド戦から、フリアン・アルバレスがスタメンへ。
チームの完成系がここで確定したかと思いきや、ディ・マリアの負傷によってスカローニ監督の試行錯誤は続く。
トーナメント1回戦のオーストラリア戦では初戦でも全くダメだったアレハンドロ・ゴメスを再起用するがまたしてもダメ。
準々決勝のオランダ戦では、相手に合わせた5バックを採用しオランダを途中までは完封するが、
途中から4バックにシステム・チェンジをしたオランダについていけず、結果的に延長PKまで粘られる。
なお、この試合でのアルゼンチンのラフプレー(特にパレデス)は目に余るものがあり、
個人的にはアルゼンチンVSメキシコのメキシコ側のラフプレーと並んで、
大会ワーストのダーティーパフォーマンスだった。
そのため、「メッシにタイトルを取らせてあげたい」という気持ちよりも、「こんな汚いチームに優勝してほしくない」という気持ちが勝ってしまったのは残念だった。
準決勝のクロアチア戦は、4バックに戻したものの中盤3枚をボランチ型の選手で固める采配で、
スペクタクルよりも手堅さが目立ち……
そして決勝。ようやく、ディ・マリアが戻ってきたアルゼンチンはベストメンバーを揃え、
フランスとの大一番を制したのだった。
選手個人で見るとやはりどうしてもメッシに目が行ってしまうが、それも当然。
主役は誰が見てもメッシであり、2トップの相棒フリアン・アルバレスと、復帰したディ・マリアを除けば、攻撃面で怖さを感じさせる選手はいなかった。
一方、最終ラインは堅く、GKエミリアーノ・マルティネスは大会最優秀GKに選ばれるのも納得の活躍ぶり。
中盤もビルドアップのできるバランス型の選手で固め、アタッカータイプの選手はいなかった。
ただ、ビッグクラブ未所属で今回が初のワールドカップとなるGKマルティネス(はもう30歳だが)、
MFのエンソ・フェルナンデス、マク・アリステル、
そしてFWのフリアン・アルバレス(ビッグクラブ所属だが出番が少ない)といった、
『スーパースターではない好選手』を発掘し、効果的に機能させたスカローニ監督のチーム作りは称賛されて然るべき。
オランダ戦やフランス戦の采配など、勝負師としては正直あまり称賛できないが、2018年あれだけガタガタだったアルゼンチン代表を、南米一、世界一に導いたのだから重箱の隅をつつくような批判にしかならない。
また、カタールまでやってきた大応援団の熱量も素晴らしかった。
ただ、個人的にアルゼンチンは応援していなかったので、
ABEMAだけでなく、他YouTube媒体での『アルゼンチンを応援しようキャンペーン』は正直鬱陶しかった。
後は繰り返しになるが、オランダ戦でのラフプレーさえなければ、もう少し気分良くアルゼンチンの優勝を祝えたと思う。
ともあれアルゼンチン、そしてメッシ。おめでとうございます!
攻撃 B+ 守備 B+ 面白さ B+
個人的MVP GK ドミニク・リバコビッチ
同組のベルギー同様に、4年前の主軸が年齢を重ねたクロアチア代表だが、
モドリッチに代表されるように力の衰えは感じられなかった。
『試合巧者』という言葉がピタリと当てはまるクロアチアは、
ブロゾビッチ、コバチッチ、モドリッチの盤石の中盤が自在にペースを作りだし、
相手のプレッシングをのらりくらりとかわしていき、気がつくとクロアチアのスローなペースに引きずりこんでしまう。
クロアチア最大の強みは、PK戦の強さ。これがあるからこそ「引き分けでもOK」の戦い方が出来るのだ。
日本、ブラジルを連破したPK戦最大の立役者はGKリバコビッチ。
今大会のベストGK候補にも挙げられるだろう彼の活躍で、クロアチアはしぶとくPK勝利を掴んでいった。
最終ラインではグバルディオルが成長。
ロブレン、ヴィダのベテランCBのうち1枠は後継者が定まった。
唯一前回大会から劣化したと感じたのが前線。マンジュキッチの穴は誰にも埋められなかった。
中盤が優れたゲームメイクを見せても、最後の崩しの場面で怖さを見せられるのはペリシッチだけだった。
それが、「負けないクロアチア」(言い換えれば「勝てないクロアチア」)を作ったとも言える。
余談だけれども、ABEMAの解説で本田さんがしきりにダリッチ監督を批判していたが、
個人的にはダリッチ采配で不可思議なところはほぼなかった。
クロアチアはアルゼンチン戦を除いて「巧く行っていた」上に、「油断できる状況(大量リードなど)は一度もなかった」し、
選手層が薄く、頼れる選手がベンチにほとんどいないのだ。
交代枠5枚を無理に使ってバランスを崩す必要性などどこにもないのだから、それを批判するのは的外れだと個人的には感じた。
☆モロッコ代表 3勝2分1敗 5得点3失点
攻撃 B 守備 A+ 面白さ B+
個人的MVP DH ソフィアン・アムラバット
モロッコは「堅守のチーム」と表現されていた。
しかし、それはイコール、「守備的なチーム」を意味しない。
GKに守護神ボノがいて、身を削って守備をする最終ラインがあって、中盤にも強烈なフィルターであるアムラバットがいたからこそ、失点が少なかっただけに過ぎない。
中盤にはウナイ、ブファル、ジイェフといった足技に長けた優れたテクニシャンを数多く揃え、
所属クラブほどではなかったもののハキミも、そして逆サイドのアラーもオーバーラップを見せていた。
低重心のチームではないし、攻撃にかける人数が少ないわけでもない。
ただ、作りだしたチャンスを決めるストライカーがいなかった事、最終ラインが強固だった事から、そのような印象を与えただけで、モロッコ代表がやろうとしていたサッカーは本質的には『ミニ・スペイン』に近いものだった(本家を食ってしまったがw)
クロアチア・ベルギー・スペイン・ポルトガルを退けて、アフリカ初のベスト4進出。
最後のフランス戦の采配は正直少し残念だったが、レグラギ監督とモロッコ代表は、アフリカサッカーの歴史を作った。
それも、くじ運に恵まれたわけでもなく、見るものを退屈させるわけでもない、胸を張れるサッカーで。
クロアチア、モロッコに共通して言える事、更に言えばスペインやドイツ、スイスにも拡大して言えることだが、パスを丁寧に繋ぐチームに限って、ストライカーに恵まれない。
頼れるストライカーがいれば、大化けするのにと、そう感じるチームが今大会も多かった。
(別のチームの話で恐縮ですが、スペインのビジャ、ドイツのクローゼが偲ばれる……
彼らがいれば、スペインやドイツは確実にもっと上にいけたのになぁ)
☆フランス代表 5勝1分1敗 16得点8失点
攻撃 A+ 守備 B+ 面白さ A
個人的MVP FW キリアン・エムバペ
2018年に続いての決勝進出だったが、中身は全く別のチームだった。
それは皮肉にも、中盤の主軸だったポグバとカンテ(特にカンテ)の負傷が大きく作用していたと思われる。
デシャン監督はもともとリスクを冒さない慎重な監督だ。
リスクを取らずに、いかに勝利するかを目指す監督で、エムバペという飛び抜けた『個』さえいれば、
後はポグバ・カンテを中心にした中盤のフィルター、そして盤石の最終ラインで守り勝てる。
それで優勝したのが2018年ワールドカップだった。
しかし今大会は中軸の2人がいなくなり、中盤の守備力がぐらついた。
更に左サイドバックのリュカの負傷離脱も大きく、代わって入ったテオは攻撃型。
中盤はフィルター(カンテ役)のチュアメ二と、ボックストゥボックス型(ポグバ役)のラビオに完全に依存。
特に後者は控えを見渡しても代えがカマビンガぐらいしかおらず、カマビンガは左サイドバックの控えも兼ねていたため、実質中盤で起用される事はなかった。
(なぜラビオを代えないのかと本田さんがずっと言っていたが、答えは簡単で、同じタイプの選手がいなかったからだ)
そのため、アタッカーでありながらゲームメイクにも拘れる、まるでメッシのようなプレイを見せたグリーズマンに、圧倒的な化け物であるエムバペ、もう片翼には4年前と違ってフィットしたデンベレ、
そして最前線には4年前も頼りになった基準点のジルーという、
4-2-4とも呼べるシステム(グリーズマンを中盤にカウントした4-3-3ではあるのだが)が、
結果的にフランスを爆発的な攻撃力を持つチームへと変貌させた。
今大会、最も破壊的(攻撃に人数をかけ、主導権を握り、迫力のあるフットボールを展開する)だったチームがブラジルだとすれば、2番手は恐らくフランスだった。
前述した3人(ポグバ、カンテ、リュカ)以外にも、
ベンゼマ、ヌクンク、メニャンと野戦病院状態で、パバールは監督との意見の相違でほぼ構想外。
とどめに、カタールで蔓延する風邪(スイスも苦しめられた)にまで苦しみながら、
フランスは再び決勝の舞台に返り咲き、PK戦までもつれこませる素晴らしい戦いを見せた。
決勝は確かにほぼアルゼンチンペースだったが、それまでの戦いぶりは間違いなく準優勝にふさわしいもの。
ここにポグバ、カンテが戻ってきたら更に強くなるのだろうが、
逆にこの2人がいなかったからこその苦肉の策のアタッキング・フットボールだったようにも思う。
どう捉えていいのかわからないが、2年後のEUROに向けて最前線のジルー(ベンゼマ)以外は恐らく現状のメンバーも残れるはず。
基準点の選手は極めて大切なので、その問題をどう解決するかは見ものだ。
現時点で去就が判明していないが、デシャン監督とエムバペがいれば、2年後も4年後も、
優勝はともかく、ベスト8以上は期待しても良いだろう。
最後に、解説の本田さんは「エムバペだけのチーム」のように語っていたが、
正直、試合をほとんど観ていなさそうな本田さん(だって、ブロゾビッチすら知らないんだもの……)
がしたり顔でそう語るのはどうかと思った。
決勝だけに限れば確かにそうだったのだが、戦術・エムバペだったのはむしろ2018年大会の方であり、
今大会は『エムバペだけの攻撃』から脱却できた事こそが、フランスにとって怪我の功名とも言える攻撃力の高さとエンタメ性を高めていたからである。
☆アルゼンチン代表 4勝2分1敗 15得点8失点
攻撃 A₋ 守備 A 面白さ B+
個人的MVP FW リオネル・メッシ
全てが「メッシ」のフィナーレを飾るために用意されたような、そんな印象を受ける大会だった。
初戦はまさかのサウジアラビア戦敗戦。
最終ライン5人(GKと4バック)
中盤のデ・パウル、前線のメッシ、ディ・マリアの3枚は確定していたものの、残り3枠の回答を見つけるのに、スカローニ監督は試行錯誤した。
2戦目のメキシコ戦は激しいバトル(ラフプレー合戦:メキシコの方が汚かった)になったが、この2戦目から先発したのがマク・アリステル。
そして、この試合で途中交代して得点を決めたエンソ・フェルナンデスがデ・パウルの相棒として、
最終的には最優秀新人賞にも選ばれた。
第3戦のポーランド戦から、フリアン・アルバレスがスタメンへ。
チームの完成系がここで確定したかと思いきや、ディ・マリアの負傷によってスカローニ監督の試行錯誤は続く。
トーナメント1回戦のオーストラリア戦では初戦でも全くダメだったアレハンドロ・ゴメスを再起用するがまたしてもダメ。
準々決勝のオランダ戦では、相手に合わせた5バックを採用しオランダを途中までは完封するが、
途中から4バックにシステム・チェンジをしたオランダについていけず、結果的に延長PKまで粘られる。
なお、この試合でのアルゼンチンのラフプレー(特にパレデス)は目に余るものがあり、
個人的にはアルゼンチンVSメキシコのメキシコ側のラフプレーと並んで、
大会ワーストのダーティーパフォーマンスだった。
そのため、「メッシにタイトルを取らせてあげたい」という気持ちよりも、「こんな汚いチームに優勝してほしくない」という気持ちが勝ってしまったのは残念だった。
準決勝のクロアチア戦は、4バックに戻したものの中盤3枚をボランチ型の選手で固める采配で、
スペクタクルよりも手堅さが目立ち……
そして決勝。ようやく、ディ・マリアが戻ってきたアルゼンチンはベストメンバーを揃え、
フランスとの大一番を制したのだった。
選手個人で見るとやはりどうしてもメッシに目が行ってしまうが、それも当然。
主役は誰が見てもメッシであり、2トップの相棒フリアン・アルバレスと、復帰したディ・マリアを除けば、攻撃面で怖さを感じさせる選手はいなかった。
一方、最終ラインは堅く、GKエミリアーノ・マルティネスは大会最優秀GKに選ばれるのも納得の活躍ぶり。
中盤もビルドアップのできるバランス型の選手で固め、アタッカータイプの選手はいなかった。
ただ、ビッグクラブ未所属で今回が初のワールドカップとなるGKマルティネス(はもう30歳だが)、
MFのエンソ・フェルナンデス、マク・アリステル、
そしてFWのフリアン・アルバレス(ビッグクラブ所属だが出番が少ない)といった、
『スーパースターではない好選手』を発掘し、効果的に機能させたスカローニ監督のチーム作りは称賛されて然るべき。
オランダ戦やフランス戦の采配など、勝負師としては正直あまり称賛できないが、2018年あれだけガタガタだったアルゼンチン代表を、南米一、世界一に導いたのだから重箱の隅をつつくような批判にしかならない。
また、カタールまでやってきた大応援団の熱量も素晴らしかった。
ただ、個人的にアルゼンチンは応援していなかったので、
ABEMAだけでなく、他YouTube媒体での『アルゼンチンを応援しようキャンペーン』は正直鬱陶しかった。
後は繰り返しになるが、オランダ戦でのラフプレーさえなければ、もう少し気分良くアルゼンチンの優勝を祝えたと思う。
ともあれアルゼンチン、そしてメッシ。おめでとうございます!