80点。
シナリオゲーというよりは、「シナリオの良いキャラゲー」。危機的状況の割に危機感の無い主人公と、リープ周りのご都合主義が気になる。
【長文はご都合主義への愚痴多めなので、ファンの方は読まないでください】。
日常シーンは良かった。
シナリオゲーというよりは、「シナリオの良いキャラゲー」。危機的状況の割に危機感の無い主人公と、リープ周りのご都合主義が気になる。
【長文はご都合主義への愚痴多めなので、ファンの方は読まないでください】。
日常シーンは良かった。
☆不満点1:主人公の危機感の無さ
「敵もタイムリープを繰り返しており、アポカリプスを食い止めようとする主人公の先手を打ってくる」というのは、割と絶望的な状況。
(これは、某「アぺイリア」と同じ設定だけど、あちらの方がよほど緊迫感があった)
その割に主人公に危機感に乏しく、不用意な行動や無意味なループ、
『引き分け(アポカリプス発動・住民脱出)』ではなく、『完全勝利(アポカリプス封じ込め・犯人特定)』を目指す、よく言えば理想主義、悪く言えば博打的な展開に感情移入するのが難しかった。
個人的な感想としては、キリエルートで地下道を見つけたループ(最短で5ループめかな?)で主人公の勝利。
地下道の安全性を不安視するなら、サクヤと共にノアの箱舟で脱出したループ(最短で6ループめ?)で十分だったように思う。
確かに、『真犯人がわからない』という物語的な不都合は生じるものの、僕が主人公の立場ならあそこでストップする。
次のループで、地下道やオーロラの逆鱗(ノアの箱舟づくり)が成功するかどうかは全くわからないからだ。
幸運にも、敵のタイムリープ者がサクヤという『良心的な敵』だったからまだしも、『容赦のない、爆破テロ犯』だったら、次の周回では真っ先に潰しに来るだろう(それ以前に主人公が監禁されて終わりな気もするけど)。
更に、一度だけ侵入に成功して以来、二度目からは失敗していた地下道にあるモニター・ルーム(本がたくさん置いてあるところ)に、リリィ先生の声紋で入ろうとして三度も(2~4回目)失敗しているのも頭を抱えた。
一度対策されたところはもう無理だって……。
『無文字社会』についても、ストーリーのギミックとしては面白いけれども、
あれだけタイムリープを繰り返して商店街にも出入りしていた主人公が、
それに気づかないのは致命的にアホである……。
サブキャラを疑うルートは断片的な情報がちらっと出るぐらいで、ほとんど無意味だった気がするし、無駄にユネの生命力を削っていただけ(ユネの生命力が削られる設定は、主人公には明かされていないけれども)。
☆不満点2:タイムリープの謎
そのユネが美術回廊で出迎えてくれる、『ループ間のインターバル』についてもかなりの疑問。
まず、ユネ(美術回廊ユネ・略して美ユネとする)は『生命力を削る』という代償を払っていたはずだが、
敵方のギドウ先輩(美ギドウ)にはどんなペナルティがあったのか?
サクヤの発言で、美ギドウがどんどんおかしくなっていった(衰弱していった、という意味かな?)事はわかったが、衰弱が進むと現実世界にすっ飛ばされてくるはず。
しかし、現実界のギドウ先輩に衰弱の色はなく、ごく普通の脱ぎたがりテロリストのままである。
サクヤが美ギドウではなく、隠れて美ユネの『弓』にただ乗りしているのは、
美ギドウの『弓』が使い物にならなくなったからなのか、任意に設定できるのかも気になるところ。
それ以前に、ギドウとサクヤが兄妹連れだってアドベントにユネよりも早くリンゴを飾りに行き、
赤リンゴと青リンゴを食べたというのも割と眉唾ものではあるのだが……。
(先着順ではないのかもしれないが、それにしても)
更に現実界にやってきた美ユネが、突然(ほぼ伏線もなく表れた)黄金のリンゴによって体力全回復したのもご都合主義の最たるもので、ちょっと意味がわからなかったですけど、もうツッコむ気力もなく……。
サクヤがいつ文章を書ける日本語力を身につけたのだろう、というのも謎で、
まぁ、学長に認められたギドウは外世界と繋がりがあっただろうから、それを横流ししてもらったと補完すれば頷ける部分か。
リラの正体も作中では明かされていないし、単なるトリックスターでしかない気がするが、
リリィの姉なのだとは思う。
ただ、それはエンディング・ロールでの『見覚えのない名前』からの推測でしかなく、作中で説明するのではなくエンディングロールで説明するのはどうなのか、と思わなくもない。
最初は、2番目の実験都市(名前忘れた……ドイツ)の卒業生かなと思ったが、1980年代前半に壊されていた(83年だったかな? 作中では言及があったが、僕が覚えていない)事を考えると、リラの実年齢が50代になってしまう。
まぁ、リリィ先生が20代後半~30代前半として、50代の姉がいてもおかしくはないし、そう考えると年の離れた妹をいつまでも「あの子」呼ばわりするのもうなずけるが、なんとなくリラさんが50代説は
僕の気持ち的には微妙(苦笑)。
そんなわけで、キリエルート、サクヤ1周目ルートまでは楽しめたけれど、
コトハルート、そしてメインのサクヤ・ユネルートに至っては
『本来なら既に勝っていた試合を、わざわざやり直してもう一度勝とうとしている』ようにしか見えず、
緊迫感はなかった。
これは僕が郷土愛に乏しい人間なのかもしれないし、結果的には街も救えたからいいじゃないか!と言われそうだけれども、結果論でしかない。
これが、『何とか脱出できたけど、逃げ遅れた人物が毎回死んでしまう』ような犠牲があれば、まだやり直す価値も感じられたのだけども。
☆その他
テキストについては読みにくいところもなく、(主人公のバカさ加減を除いて)ストレス皆無で読むことができた。
特にギャグシーンは楽しく、1周目のドッキリエ作戦では、(その日そもそも咳の症状が酷かったこともあるが)笑い死にしそうになった。
嫌いなキャラは1人もおらず、特にヒロイン勢は全員それなりにかわいかった。
順番をつけるなら1:サクヤ、2:キリエ:、3:コトハ、4:ユネになるかなと思うけど、
ユネだって普通にかわいいし。
ついでに言うとリリィ先生もかわいい。
一方でHシーンに関しては、(これの一つ前にプレイした「ルペルカリア」のHシーンが酷かったので、それに比べればマシだが)あまりエロくはなかった。
というか、主人公がクンニと足コキが好きなのはわかるけど、ワンパターンやな……。
☆総論
基本的に叩きがメインの感想になってしまった気もするが、
『伏線回収が見事』という触れ込みとで期待値が上がっていた点は否めない。
とはいえ、タイムリープものの名作『シュタインズ・ゲート』、ほどではないにしても
せめて設定が似ている『景の海のアぺイリア』とは互角ぐらいに作りこまれているのかなと勝手に期待した僕が悪かった。
ここまで文句を言っておいて、次にプレイする予定のゲームが「さくレット」だったりする。
評判はとても良さそうに見えるが、今回の反省を踏まえてあまり期待はしないでおく……。
テキストが面白いのは「アメグレ」で保証されたし、途中で投げ出す可能性は少ないと思うので、
このゲームで2022年を越そうと思います。
それでは皆様、よいお年を!