78点。
最後の最後までは完全な『予定調和』だったけど、アインシュタインが死ななかったのは意外でした。
女性主人公のノーラは、伯母の精神的虐待のせいですっかり自信を失った引きこもりの女性。
男性主人公のトラヴィスは、子供の頃から大切な人を失い続けてきた男性。
そして、二人を結びつけるのは第三の主人公アインシュタイン。
有名な天才科学者の名をつけられた彼は、政府が造った諜報用の〈天才犬〉。
このアインシュタインのかわいらしさは、愛犬家には刺さるのではないでしょうか
(愛犬家なら78点に+5点してください)。
他に黒人のレミュエルも、親の『常に気を抜くな』という呪縛にかかっていますし、
何よりラスボスのアウトサイダーは、政府が造った殺人兵器ということもあって、〈造物主=親〉を深く憎んでいます。
このように、主要登場人物のほとんどが〈親〉の影響で〈呪縛〉を受けているという設定で、
アウトサイダー以外のキャラクターは、その呪縛を本編中で解いていくことになります。
中でも印象的なのはノーラでしょうか。
一方、〈親=造物主〉に愛を注がれ、唯一造物主に感謝していそうな陽キャ(?)がアインシュタイン。
〈親=造物主〉に憎しみを注がれ、恨みで凝り固まっているのがアウトサイダーで、この両者の対比はとても鮮やかです。
そのアウトサイダーも、「殺してくれ」とトラヴィスに懇願するように良心のカケラを持っているキャラクター。……というか、普通に考えて割と善良な子なのでは?
自分が他人から〈醜く見える〉というコンプレックスはノーラと共通しており、ここでも愛を注いでもらえないアウトサイダーの哀れさが際立っています。
その他のキャラでは、弁護士のギャリソンさんや獣医のキーンさんは善い人枠ですが、
キモストーカーのアートや、あっさりやられる前座のヴィンセントは……割とどうでもいい感じ。
アートはラスボスのアウトサイダーよりよほど気持ち悪かったし、凶悪だと思ったけどなw
ヴィンセントの潔癖症は一体なんだったんだ……?
ストーリーはクーンツらしく、不幸な人生を送ってきた二人の主人公が結ばれ、敵を撃退するという王道。
死ぬんじゃないか(病気で死ぬと思った)と思わせておいて、アウトサイダーにもボコられた上でのアインシュタイン生存エンドは思わずにっこり。
ただまぁ、最後以外は驚きのない予定調和ストーリーではあったかなぁ。
丁寧に作られているのはわかるし、エンタメとしても外しておらず、暇つぶしには持ってこいの本なので、それなりに高評価はできるけど。
あと、クーンツ先生、〈フランケンシュタイン〉ネタ大好きね。
未読だけど、その名もずばり『フランケンシュタイン』シリーズも書いているし、以前読んだ『ミッドナイト』も〈モロー博士ネタ〉だったし、
遺伝子組み換えによる生物兵器的なテーマが、クーンツは大好きなんだなぁと感じる。
「またかよ」感も、ある。
比較対象が適切かはわからないけど、同じモダンホラー作家ということで、スティーブン・キングと比べると、クーンツはとても〈健全〉。
その分、深みには欠けるし、容赦のなさという点でもだいぶ手加減してくれる。
キングの方が読むのに勇気がいる(ホラーとしての恐怖もだし、後味の点からも)が、90点台もバンバン出してくれる。
クーンツは「ファントム」が80点くらいで、既読の「ライトニング」、「ウィスパーズ」、「ミッドナイト」、本作は70点台。
ただ、クーンツの〈健全さ〉も悪くないな、とも。
本作の〈アウトサイダー〉はなかなかかわいそうな悪役だったけど、それでも悪役に自分を投影してしまうようなことはないし、不当に虐待されて生きづらさを強く感じる事もない
(本作におけるノーラや、「ライトニング」のヒロインにしたって、不当な虐待はあるものの、それを乗り越えていく陽性の力や、周囲からのサポートがある)。
モダンホラーというよりも、勧善懲悪のヒーロー小説の読み口だし、クーンツを読むうえで期待するのはその部分なのかな、とも思った。
最後の最後までは完全な『予定調和』だったけど、アインシュタインが死ななかったのは意外でした。
女性主人公のノーラは、伯母の精神的虐待のせいですっかり自信を失った引きこもりの女性。
男性主人公のトラヴィスは、子供の頃から大切な人を失い続けてきた男性。
そして、二人を結びつけるのは第三の主人公アインシュタイン。
有名な天才科学者の名をつけられた彼は、政府が造った諜報用の〈天才犬〉。
このアインシュタインのかわいらしさは、愛犬家には刺さるのではないでしょうか
(愛犬家なら78点に+5点してください)。
他に黒人のレミュエルも、親の『常に気を抜くな』という呪縛にかかっていますし、
何よりラスボスのアウトサイダーは、政府が造った殺人兵器ということもあって、〈造物主=親〉を深く憎んでいます。
このように、主要登場人物のほとんどが〈親〉の影響で〈呪縛〉を受けているという設定で、
アウトサイダー以外のキャラクターは、その呪縛を本編中で解いていくことになります。
中でも印象的なのはノーラでしょうか。
一方、〈親=造物主〉に愛を注がれ、唯一造物主に感謝していそうな陽キャ(?)がアインシュタイン。
〈親=造物主〉に憎しみを注がれ、恨みで凝り固まっているのがアウトサイダーで、この両者の対比はとても鮮やかです。
そのアウトサイダーも、「殺してくれ」とトラヴィスに懇願するように良心のカケラを持っているキャラクター。……というか、普通に考えて割と善良な子なのでは?
自分が他人から〈醜く見える〉というコンプレックスはノーラと共通しており、ここでも愛を注いでもらえないアウトサイダーの哀れさが際立っています。
その他のキャラでは、弁護士のギャリソンさんや獣医のキーンさんは善い人枠ですが、
キモストーカーのアートや、あっさりやられる前座のヴィンセントは……割とどうでもいい感じ。
アートはラスボスのアウトサイダーよりよほど気持ち悪かったし、凶悪だと思ったけどなw
ヴィンセントの潔癖症は一体なんだったんだ……?
ストーリーはクーンツらしく、不幸な人生を送ってきた二人の主人公が結ばれ、敵を撃退するという王道。
死ぬんじゃないか(病気で死ぬと思った)と思わせておいて、アウトサイダーにもボコられた上でのアインシュタイン生存エンドは思わずにっこり。
ただまぁ、最後以外は驚きのない予定調和ストーリーではあったかなぁ。
丁寧に作られているのはわかるし、エンタメとしても外しておらず、暇つぶしには持ってこいの本なので、それなりに高評価はできるけど。
あと、クーンツ先生、〈フランケンシュタイン〉ネタ大好きね。
未読だけど、その名もずばり『フランケンシュタイン』シリーズも書いているし、以前読んだ『ミッドナイト』も〈モロー博士ネタ〉だったし、
遺伝子組み換えによる生物兵器的なテーマが、クーンツは大好きなんだなぁと感じる。
「またかよ」感も、ある。
比較対象が適切かはわからないけど、同じモダンホラー作家ということで、スティーブン・キングと比べると、クーンツはとても〈健全〉。
その分、深みには欠けるし、容赦のなさという点でもだいぶ手加減してくれる。
キングの方が読むのに勇気がいる(ホラーとしての恐怖もだし、後味の点からも)が、90点台もバンバン出してくれる。
クーンツは「ファントム」が80点くらいで、既読の「ライトニング」、「ウィスパーズ」、「ミッドナイト」、本作は70点台。
ただ、クーンツの〈健全さ〉も悪くないな、とも。
本作の〈アウトサイダー〉はなかなかかわいそうな悪役だったけど、それでも悪役に自分を投影してしまうようなことはないし、不当に虐待されて生きづらさを強く感じる事もない
(本作におけるノーラや、「ライトニング」のヒロインにしたって、不当な虐待はあるものの、それを乗り越えていく陽性の力や、周囲からのサポートがある)。
モダンホラーというよりも、勧善懲悪のヒーロー小説の読み口だし、クーンツを読むうえで期待するのはその部分なのかな、とも思った。