Euro2020

euro マイ・ベスト26&記憶に残った選手&ベストマッチ10試合

今回はコロナウイルスの影響で、1チームの登録が26人ということで、26人を選んでみます。


  GK 
  ジャンルイジ・ドンナルンマ(イタリア)
  ヤン・ゾマー(スイス)  
  カスパー・シュマイケル(デンマーク)

GKはドンナルンマは確定。イタリアの守護神の座をブッフォンから受け継ぎ、世界最高峰のGKとして堂々とメジャー大会にデビューした。
2人目からは迷ったが、まずはスペイン戦で脅威の活躍を見せたゾマー。
3人目は、デンマークをベスト4に導いたシュマイケルを選んだ。

他、シュマイケルに代えて、イングランドのピックフォードを選ぶのもあり。
個人的に、ビルドアップ時のキックミスが多かったので外したが、セービング面では問題がなかった。
また、ノイアーはその守備範囲の驚くべき広さで、改めて世界最高峰のGKだという事を印象づけた。


DF レオナルド・ボヌッチ(イタリア)
  レオナルド・スピナッツォーラ(イタリア)
   ハリー・マグワイア(イングランド) 
   カイル・ウォーカー(イングランド)
   ジョルディ・アルバ(スペイン)
   ロビン・ゴゼンス(ドイツ)
   ペペ(ポルトガル)
   ヨアヒム・メーレ(デンマーク)


対人守備の強さを印象付けたのが、ボヌッチ、ウォーカー、ペペの3人。
左サイドバックは今大会タレントが多く、イタリアの左サイドを担ったスピナッツォーラ、
ドイツの攻撃のキーマンとなったゴゼンス、
頼りないセンターの守備を補いながら、オーバーラップでもパーソナリティを見せたジョルディを選出。
マグワイアは、ディフェンスとしてもそうだが、セットプレイ時のヘディングは脅威となった。

もう一人はメーレ、アスピリクエタ、キエッリーニ、キアルあたりで迷ったが、ここはメーレを選んだ。最初の試合からスタメンだったなら、アスピリクエタを選んだと思う。


МF ジョルジーニョ(イタリア)
   ニコロ・バレッラ(イタリア)
   コケ(スペイン)
   ルカ・モドリッチ(クロアチア)
   ステフェン・ズバー(スイス)
   エミル・フォシュベリ(スウェーデン)
   トマス・ディレイニー(デンマーク)
   ミゲル・ダムスゴー(デンマーク)


王者イタリアの最大の武器となった中盤のジョルジーニョ、バレッラに異論はないだろう。
そのイタリア戦で最高の試合を見せたスペインからは、ブスケッツやペドリも選出に値すると思うが、
個人的に他試合も含めた総合的な働きで、コケを選んだ。
フィルター、ゲームメイク、クロス、そしてゴール前に飛び出しゴールを狙うなど、コケの働きはオールラウンドだった。

ベスト4のデンマークからは中盤を締めたディレイニーと、超新星ダムスゴーを選出(ダムスゴーはFWな気もするけど、まぁいいや)
スウェーデンでコンスタントに得点を重ね、唯一最大ともいえる脅威となっていたフォシュベリも迷わず。スイスのサイドアタックを活性化したズバーは、エースのシャキリを上回る武器となっていた。
モドリッチは、現在でも世界最高峰のМFとして、試合を決める活躍を見せた。


選考外の選手についても少し。
まず、イングランドのフィリップスはガツガツ系の潰し屋として、存在感を見せた。
そのフィリップスよりも遥かにクオリティの高さを見せたのは、チームはベスト16で敗退したものの、このポジションでは世界最高、フランスのカンテ。
ドイツのクロースもまた、チームは早期敗退したにもかかわらず、格の違いを見せつけた。レジスタとしてのクオリティでは、ジョルジーニョと双璧だろう。
オランダのヴァイナルダムも、予選リーグでは素晴らしい活躍を見せた。


FW
ロレンツォ・インシーニエ(イタリア)
フェデリコ・キエーザ(イタリア)
ハリー・ケイン(イングランド)
ラヒム・スターリング(イングランド)
ロメル・ルカク(ベルギー)
カリム・ベンゼマ(フランス)
ハリス・セフェロビッチ(スイス)
パトリック・シック(チェコ)


イタリアでラッキーボーイとなったキエーザは、今大会でスーパースターに上り詰めたかもしれない。
「小さな魔法使い」インシーニエは、ナポリで見せてきた魔法をビッグトーナメントでも見せてくれた。
シックはスコットランド戦の超ロングシュートで完全に勢いに乗り、コンスタントにゴールを決めて5得点。
決定力不足に毎回泣かされるスイスの救世主となったのがセフェロビッチ。彼の決定力が本物ならば、今後スイスを背負って立つFWとなるだろう。

基準点としても、ゲームメイクも、フィニッシャーとしても活躍を見せたオールラウンドなFWとして、ケインとベンゼマを選出。前者は説明不要。後者もクオリティは特大だった。
スターリングはデンマーク戦での疑惑のPKの印象が最悪だが、イングランドの数少ない武器として、ぬるぬるとした単独ドリブルは、延長戦になっても衰えず、相手ディフェンスを散々苦しめた。
残り1人は「戦術ルカク」のベルギー。彼がいなければ、ベルギーは何もできなかっただろう。


選ばなかった選手についても少し。
スペインの選手は日替わりヒーローで、選出が難しかった。クロアチア戦で輝いたフェラン、サラビア、イタリア戦の偽9番ダニ・オルモなど、気に入った選手はたくさんいたのだが。

フランスのエムバペのスピードはやはり世界最高。とはいえ、0ゴールでチームもベスト16敗退では選びにくい。
得点王のクリスチアーノ・ロナウドはさすがではあるが、PKが多いので選考せず。


ベストマッチ10

1位 フランスVSスイス

ジェットコースターのようにドラマチックな試合。
天国から地獄へ、そして天国へ。迷うことなく、本大会のベストマッチ。


2位 スペインVSイタリア

1秒たりとも目が離せない、両国の超絶ポゼッション争い。
スペインの神髄と、ポゼッションもカテナチオもできるイタリアの二面性。


3位 スペインVSクロアチア

ドタバタ逆転劇。フランスVSスイスと同夜に起きた、ノーガードの殴り合い。


4位 ドイツVSポルトガル

ドイツの両ワイドアタックが火を噴いた、今大会ドイツのベストマッチ。


5位 デンマークVSロシア

後がないデンマークが見せた、恐るべき爆発力。ベスト4へ進んだ北欧のおとぎ話、ここに開幕。


6位 オランダVSウクライナ

グループリーグ屈指の、派手な打ち合い。


7位 デンマークVSベルギー

圧倒的に押しこむ、チーム力のデンマーク。しかし後半に出てきたのはスペシャルな『個』だった。


8位 ベルギーVSポルトガル

猛攻をしかけるポルトガルと、耐え凌ぐベルギー。良くも悪くも、大会で最も激しかった試合。


9位 イタリアVSスイス

良質なサッカーを見せるスイスに、ポゼッションで格の違いを見せつけたイタリア。


10位 イタリアVSトルコ or スイスVSトルコ orウェールズVSトルコ or デンマークVSウェールズ

9位までは決まったんだけど、10位はどれでもいいや……。






euro2020 決勝 イタリアvsイングランド

イタリア  1-1   イングランド(home) イタリア勝利

МОМ CB レオナルド・ボヌッチ(イタリア)
試合内容 B₋

GK ジャンルイジ・ドンナルンマ 6・5  ジョーダン・ピックフォード 7
CB レオナルド・ボヌッチ 6・5     ハリー・マグワイア 6
   ジュルジュ・キエッリーニ 6  ジョン・ストーンズ 6
RSB ディ・ロレンツォ 5     CB カイル・ウォーカー 6・5
LSB エメルソン・パルミエリ 5  LWB ルーク・ショー 6
CH ジョルジーニョ  3・5     CH カルビン・フィリップス 6
  ニコロ・バレッラ 5      デグラン・ライス 5・5
  マルコ・ヴェッラッティ 5    RWB キーラン・トリッピアー 6
RWG フェデリコ・キエーザ 6   ОH メイソン・マウント 5
LWG ロレンツォ・インシーニエ 6    ラヒム・スターリング 5・5
CF  チーロ・インモービレ 4   ハリー・ケイン 6

監督 ロベルト・マンチーニ 7   ガレス・サウスゲイト 6

欠場者(イタ)スピナッツォーラ
   (イン)フォデン

交代(イタ)ニコロ・バレッラ→ブライアン・クリスタンテ 5
      チーロ・インモービレ→ドミニク・ベラルディ 6
     フェデリコ・キエーザ→フェデリコ・ベルナルデスキ  6
     ロレンツォ・インシーニエ→アンドレア・ベロッティ 5
     マルコ・ヴェッラッティ→マヌエレ・ロカテッリ 5
     エメルソン・パルミエリ→アレッサンドロ・フロレンツィ

  (イン) キーラン・トリッピアー→ブカヨ・サカ 5
       デグラン・ライス→ジョーダン・ヘンダーソン 6
       メイソン・マウント→ジャック・グリーリッシュ 5・5
       ジョーダン・ヘンダーソン→ジェイドン・サンチョ 4
       カイル・ウォーカー→マーカス・ラッシュフォード 4

イングランドの3バックが見事にハマった、前半となった。
ガチムチ系中盤2枚(フィリップス&ライス)を並べた中央の守備は強固で、両ワイドに開いたトリッピアー→ショーから先制ゴールが生まれた。
こうなるとイングランドは強い。ハイプレスとブロック守備の2段構えの守備でイタリアを封殺、
奪ったボールはショートカウンターで、中盤まで降りてきたケインのゲームメイクも効果的だった。

イタリアを応援している身としては正直に言えば楽しめない部分も多かったが(イングランドのサッカーは好きじゃない)、そういう個人的な好みを抜きにして、イングランドの充実度が際立った。
とはいえ、イングランドの攻撃は相変わらず工夫がなく、セットプレイからのストーンズ、マグワイアの強烈なヘッドに頼るものでしかなかったが……。


しかし後半、イングランドがプレスに出られなくなり、ゴール前に引きこもって守備ブロックを作ると、イタリアが完全にボールを支配するようになる。
インシーニエが中盤に顔を出して楔のパスを受け、チャンスメイクに関わり始めると、
セットプレイからボヌッチが同点ゴール。
そのまま試合は延長、PK戦へ突入し、イタリアが優勝を成し遂げた。


しかし、イングランドのPKキッカーはなぜサンチョ、ラッシュフォード、サカだったのだろう。
ヘンダーソンのような重鎮をもっと残しておけば良かったのに。
特にサンチョやラッシュフォードは、投入時間帯を考えてもPKのためだけに入ったようなもので、
それでPKを外してしまっては仕方がない。




euro2020 準決勝 イングランドvsデンマーク

(home)イングランド  2-1   デンマーク

МОМ GK カスパー・シュマイケル(デンマーク)
試合内容 B₋
主審 マッケリー ×

GK ジョーダン・ピックフォード 5・5   カスパー・シュマイケル 7・5 
RSB カイル・ウォーカー 6    CB シモン・キアル 5
CB  ハリー・マグワイア 7      アンドレアス・クリステンセン 6
  ジョン・ストーンズ 5        ヤニック・ヴェステルゴー 6
LSB ルーク・ショー 5・5      RWB ストリガー・ラーセン 5
DH カルビン・フィリップス 6   LWB ヨアヒム・メーレ  5
CH デグラン・ライス 6        トマス・ディレイニー 5・5
  メイソン・マウント 5・5        エミール・ホイビェア 4・5
RWF ブカヨ・サカ  6・5         マーティン・ブライスワイト 5・5 
LWF  ラヒム・スターリング 7      ミケル・ダムスゴー 6・5
CF ハリー・ケイン 7          カスパー・ドルベア 5・5

監督 ガレス・サウスゲイト 6     カスパー・ヒュルマン 6

欠場者(イ)
   (デ)エリクセン

交代(イ) ブカヨ・サカ→ジャック・グリーリッシュ 6
            メイソン・マウント→フィル・フォデン 5
      デグラン・ライス→ジョーダン・ヘンダーソン 5
      ジャック・グリーリッシュ→キーラン・トリッピアー ?

  (デ)ストリガー・ラーセン→ダニエル・ヴァス 5
     ミケル・ダムスゴー→ユスフ・ポウルセン 4・5
     カスパー・ドルベア→クリスティアン・ノアゴー 4
     アンドレアス・クリステンセン→ヨアヒム・アンデルセン 5
     トマス・ディレイニー→マティアス・イェンセン ?

試合の立ち上がりから、イングランドが押し込んだ。
イケイケサッカーでここまで勝ち上がってきたさすがのデンマークも、基本的には引いて、ショートカウンターを狙う展開となったが、イングランドのネガティブ・トランジションが速く、カウンターの芽を摘まれるシーンが多かった。
ダムスゴーの目が覚めるようなフリーキックでデンマークが先制するも、ケイン→サカ→スターリングの流れでイングランドが同点に。

後半もイングランドが攻勢で、特にスターリングのすり抜けるようなドリブルと、
マグワイアの強力なヘッドを活かした攻撃が猛威を振るった。
準々決勝でアゼルバイジャンに飛ばされたデンマークと、ほぼ移動が免除されているイングランドでは、体力的なアドバンテージも大きく、イングランドがひたすら攻めるが、
デンマークがなんとか耐えきり延長戦へ。

しかし延長では、スターリング盗んだ疑惑のPKでイングランドが追加点。
開催国の利を全面に活かし、最後は露骨な時間稼ぎも駆使して、イングランドが決勝へ駒を進めた。

euro2020 準決勝 イタリアvsスペイン

  イタリア 1-1   スペイン   PK イタリア勝利

МОМ FW フェデリコ・キエーザ(イタリア)
試合内容 A

GK ジャンルイジ・ドンナルンマ 6・5   ウナイ・シモン 5
CB レオナルド・ボヌッチ 6・5    エリック・ガルシア  5
  ジョルジュ・キエッリーニ 4・5   エメリック・ラポルテ 5.5
LSB エメルソン・パルミエリ 5・5  ジョルディ・アルバ 5・5
RSB   ディ・ロレンツォ 5・5   セサル・アスピリクエタ 5・5
CH ジョルジーニョ 5      セルヒオ・ブスケッツ 5・5
  マルコ・ヴェッラッティ 5    ペドリ 6
  ニコロ・バレッラ 6      コケ 6
LWF ロレンツォ・インシーニエ 4・5  オヤルサバル 6
RWF フェデリコ・キエーザ 7・5   フェラン・トーレス 5・5
CF  チーロ・インモービレ 5   ダニ・オルモ 7・5

監督 ロベルト・マンチーニ 6    ルイス・エンリケ 7

欠場者(イ)スピナッツォーラ
   (ス)サラビア

交代(イ)チーロ・インモービレ→ドメニコ・ベラルディ 6
     エメルソン・パルミエリ→ラファエル・トロイ 5
     マルコ・ヴェッラッティ→マッテオ・ペッシーナ 5
     ニコロ・バレッラ→マヌエレ・ロカテッリ 5
     ロレンツォ・インシーニエ→アンドレア・ベロッティ 5・5
     フェデリコ・キエーザ→フェデリコ・ベルナルデスキ 5・5

  (ス)フェラン・トーレス→アルバロ・モラタ 5・5
     オヤルサバル→ジェラール・モレーノ 4・5
     コケ→ロドリ 5
     セサル・アスピリクエタ→マルコス・ジョレンテ 5・5
     セルヒオ・ブスケッツ→チアゴ・アルカンタラ 5・5 
     エリック・ガルシア→パウ・トーレス ?


攻撃的なポゼッションサッカーで勝ち上がってきたイタリアを、本家スペインが老獪にいなす会心の前半となった。
スペインの狙いは、ゆっくりと中盤を支配し、イタリアの良さを完全に消してしまうこと。これが見事にはまり、イタリアの中盤は窒息した。
中盤では戦えないイタリアは、ライン裏へのロングボールを狙うも、
最終ライン、キエッリーニのビルドアップ精度も低く、イタリアはほぼ攻撃の形が作れず。
モラタを外した、流動的なゼロトップのエンリケ采配が見事にハマった

後半もスペインが完全にボールを支配するも、一瞬の隙を突き、キエーザがビューティフルゴール。
先制し、残り30分を耐え抜く選択をしたイタリアを相手に、スペインのエンリケ監督はモラタを投入。そのモラタが、今日、再三チャンスメイクで存在感を放っていたダニ・オルモとのワンツーから、見事に追いつき、試合はまたも延長、そしてPK戦へ。

120分、耐えに耐えたイタリアが、「カテナチオ」の原点に回帰するような、鉄壁の守備を見せて
スペインの猛攻を凌ぎきり、見事決勝へ駒を進めた。


敗者となったスペインだが、この日のパフォーマンスは今大会でのベストパフォーマンスと言ってよく、世代交代に成功した事も含め、来年のワールドカップへ向け、貴重な経験を積んだ大会となった。

euro2020 ベスト4進出国

準決勝、決勝が、これから始まる。
チームの総括は大会が終わってからするべきもので、今するべきものではない。
という事を前提にしたうえで、ここまで残った4チームの印象をざっと書いてみる。
順番は、私が応援している順である。


☆デンマーク

今大会最大のサプライズチームはデンマークだ。
それはエリクセンの突然の離脱から始まった。
しかし、私がデンマークを応援するのは当然それだけが理由ではない。

デンマークは代々、美しいサッカーを展開してきたチームだ。
90年代のラウドルップ兄弟の躍動から、グロンキア、ロンメダールの鋭利なサイドアタックを武器にした2000年代。
ところが、2018ワールドカップのハレイデ・デンマークではその姿は見る影もなかった。
自陣からのカウンターだけが武器のチームに成り下がり、ペルーどころかオーストラリアにすら劣勢に立つ始末だった。

しかし今大会、ヒュルマン体制でのデンマークはかつての輝きを完全に取り戻している。
ダムスゴー、ブレイスウェイトが巧みにポジションを入れ替える流動的なサイドアタック、フィニッシャーのドルベア、そして途中投入されるポウルセンと前線の破壊力はスペクタクルで、
そこにサイドバックのストリガー・ラーセンやメーレまでが絡んでくるのだから手に負えない。
ディレイニーとホイビェアが支配する中盤のボール出しも極めて質が高い。

弱みはやはり圧倒的な個のタレントに欠けるところだろうか?
とはいえ、エムバペのフランスも、ルカクのベルギーももういない。
イングランドに勝てる可能性が高いとは言えないが、期待して観たいと思っている。


☆イタリア

恐らく、サッカー観戦人生で初めて、イタリアを応援している。
マンチーニ監督が作り上げたチームは、かつてのナポリを思わせる。
崩しの軸となるインシーニエがタクトを振るえば、逆サイドから売り出し中のキエーザが果敢に攻め立てる。ストライカーのインモービレも好調で、ベンチにはベラルディやベロッティも控えている。

中盤はベスト4に残ったチームの中では間違いなくベスト。
ジョルジーニョ、バレッラ、ヴェッラッティ、そしてロカテッリ。
とりわけジョルジーニョのレジスタとしての能力は、クロースと並んで現役最高だと思っている。
スピナッツォーラの負傷は残念で、大ベテランのキエッリーニが衰えを見せるなど最終ラインにはやや不安も覚えるが、最後尾にはドンナルンマが構えているし、
90分での失点は未だにベルギー戦でのPK1本だけである。

このチームの未来は極めて明るく、ベンチにも一体感・充実感が漂う好チームだ。



☆スペイン (注:イタリア戦で素晴らしい試合をしたので、これを書いた時とはだいぶ印象が変わっている)

ある意味で最大のサプライズチームだ。
ベスト4の中で、唯一、この位置にいることに首を傾げてしまうのがこのスペインである。

確かにポゼッションは圧倒的で、チャンスクリエイト力でもトップの数値を叩きだしている。
しかし、それに反してオフェンス面でそれほど圧倒的なようには見えない。
相手に退場者が出たスイス戦の後半終盤以降やクロアチア戦の延長など、スペースが開いた状態ならば、敵陣を攻略し猛攻を仕掛けることができる。
とはいえ、敵陣にスペースがない状態で、ゴールをこじ開ける力はこのチームにはない。
90分での勝敗は、1勝4分0敗。勝ったのは、スロバキア戦だけだ。
では守りの固い、負けないチームなのかと言われると、とんでもない。
ポーランド戦、クロアチア戦、スイス戦と3試合にわたって追いつかれている(クロアチア戦は2点差を追いつかれた)。
とりわけCBにはタレントが不足しており、パウ・トーレスもラポルテも、そしてもちろんエリック・ガルシアも不安定極まりなく、守勢に回った際の中盤のフィルターも弱い。

長所はフェラン・トーレス、サラビアの先発陣に、オヤルサバル、ダニ・オルモ、ジェラール・モレーノと豊富に繰り出せる両翼の選手層の厚さだろう。
また、相手に体力勝負で勝る事が出来るのは、ポゼッションを徹底する事で体力面の消耗を抑えているためだろう。

しかしベスト4に勝ち上がってなお、「復活」とは言えないのがスペインの現状である。


☆イングランド

ファンの方には怒られるかもしれないが、最も魅力を感じないのがイングランドだ。
守備は固いのだが、とにかく攻撃がつまらない。
シュート数では1位イタリア、2位スペイン、3位デンマーク(90本)と、いずれもベスト4に勝ち上がったチームが並ぶのに対し、イングランドは37本だそうだ。
ケイン、スターリングは好調だが、中央での崩しはほぼ見られず、チームに流動性を感じたのはドイツ戦の、開始15分だけだった。
ただし、失点はしない。速攻を受ける機会が少ないのが大きな理由だろう。
中央でボールを奪われる機会がほぼないのは、同じく超守備的なラ・リーガのアトレティコ・マドリ―を思わせる。
そう、中央での崩しがほぼ見られないのだから、中央で奪われる回数が少ないのも当然だ。
それ故に、得点も失点も少ない。

とにかく固いチームであり、ホームアドバンテージも期待できるイングランドは、
優勝にかなり近いチームだと言う事はできるだろう。
それを私が望むかどうかは、別として。








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