2022年ワールドカップ

2022ワールドカップ ABEMA解説陣 雑評価

ワールドカップをもう一度見返したりしています。

今回はABEMAで全試合見ました(テレビ壊れてるんで)。
ABEMAさんがいなかったら、日本でワールドカップ全試合を観れなかったので、とても感謝しています。

それが大前提のうえで、毎試合お笑い芸人を呼ぶ
(サッカーについてロクに知らなかったり、茶化しを入れるしょうもない奴も多い)、
全般的な実況解説のレベルが低いという、テレビ朝日系列の『悪い伝統』も継承。
普段のサッカー中継に比べてイライラする機会が多かったのも事実です。

実況さんについては、サッカー実況が本職ではないでしょうから個別評価はやめるとして
(それにしても、倉敷さんや柄沢さん、西岡さんが恋しいよ……)、ここからは解説陣について書きます。


☆ 当たり解説者

戸田和幸さん
……恐らく最高峰の解説者だった方。とにかく仕事に対する熱量が凄まじく、知識量も非常に豊富。
戦術面での指摘も多く、信頼して聴ける。ただし、彼が担当した試合は今大会グループBと、最もつまらないグループがメインだったのが悲しいところ。


水沼貴史さん
……優しく時にユーモアを交える語り口に加え、知識、戦術にも詳しく信頼して身をゆだねられる解説者。セネガル応援団に言及した時はクスりとしたw


中西哲生さん
……戸田さんに次ぐレベルで戦術についてしっかり語ってくれる解説者。ただし、今大会は不運にも彼の体調不良により、ベルギーVSカナダが放送事故レベルになってしまったのは残念。
そういう意味ではむしろ悪い解説陣に入れてもいいのだが、まぁ体調不良は仕方ない。
健康にはお気をつけて!


槙野智章さん
……『騒がしい系』の解説者ではあるけれど、しっかり戦術や選手に対してもリサーチしている事が伝わる、今大会のサプライズ解説者。盛り上げ上手なうえ、きちんと解説もしてくれる貴重な存在。


玉田圭司さん
……こちらも今大会で初めて知った(選手としてはもちろん知っていたが)、有能解説者。普段からサッカーが好きで、よく見ているんだろうなぁと伝わる解説で安心感高め。

坪井慶介さん
……同じく今大会で初めて知った有能解説者。DF出身だからか、守備者の位置取りなどの細かい解説が多く、なるほどと思わされた。

北沢豪さん
……普段聴いているwowow解説陣の中ではややハズレ気味なのだが、ABEMAワールドカップ陣に入れれば十分に優秀な部類。ただし担当試合が1試合しかなかった。


鈴木啓太さん
……1試合のみの担当だったけれど、ストレスなく聴くことができた。こちらも初めて聞いたけれど、良かった。


名波浩さん
……今まで知らなかったけど、戦術的な言及も含め安心して聞ける解説だった。

城彰二さん
……可も不可もないが、無難に当たり枠。

☆ハズレ解説者

松木安太郎さん……
2018年ワールドカップの『モロッコ代表のサラー(何度も言ったので言い間違いではない)』
『スイスとスウェーデンは似たスタイル』で、
2018年ワースト解説者賞(fee選定)を受賞し、「こいつ、本当に何もわかってねぇな」と思わせた人。
今大会は大きな失言はなかったが、なにせスイスとスウェーデンのスタイルの違いがわからない人の解説を聞くのは非常に心細い。
スイスはヒッツフェルト体制末期以降、ポゼッションサッカーに取り組んでおり、2018年時点で既に6年以上継続しているというのに(2022年現在もポゼッションサッカーを継続)。
スウェーデンは縦ポンサッカーで全く違う。


本田圭佑さん……
今大会のワースト解説者賞(fee選定)。
試合の流れを見る目はあり、的確なコメントもあるのはさすがなのだが、
言葉が汚い(いくら相手チームでも『ウザい』の連発は不愉快)、
有名選手すら知らない(ブロゾビッチやグバルディオルを知らないのは愕然とした)、
コスタリカの選手名を全く言わない(知らないのだろう)、
なぜか露骨なアルゼンチン贔屓(アルゼンチンあまり好きじゃないです)、
しかも日本戦や決勝など名勝負担当と、マジで迷惑以外の何物でもない。

選手交代をしないと言ってクロアチアのダリッチ監督を批判していたが、
「じゃあ、誰を外して誰を入れるのか」まで言えないのが彼の限界。

(クロアチアは層が薄く、レギュラーと控えの戦力差が大きかった。
更に、カナダ戦を除いて全てが接戦であり、悠長に力の劣る控え選手を起用できる余裕はなかった)
こういう事情は、クロアチア代表について知っていれば普通にわかる事。
松木さんもそうだが、一ファンである僕よりも詳しくない解説者に出られると不快である。

名勝負を見直したいが、本田さんの解説だけは聞きたくない。
ミュートにすると笛の音や、会場の臨場感も感じられない。困っている。


福田正博さん……
こちらも騒がしい系の解説者。
上の2人に比べれば段違いでまともだが、個人的に大嫌いな『ワールドカップは結果が全て』というフレーズを何度か発したので、サッカー観の違いから不快(苦笑)

優勝したのはアルゼンチンかもしれないが、今大会のベストチームは今でもブラジルだと思っているし、
2018年もフランス優勝よりもグループリーグ敗退ながら素晴らしいサッカーをしてくれたモロッコの方が記憶に強い僕にとっては、相容れない価値観。
(そのモロッコは今大会で躍進したし、2018でモロッコを率いていたルナール監督は今大会でもサウジアラビアを素晴らしいチームに仕上げた。
サウジは4年前同様に予選リーグを敗退したが、段違いに優れたチームになっていた)


岡田武史さん……
基本的に、岡ちゃんは好きである。
好きなので批判はあまりしたくないが、既に数シーズンブンデスリーガで活躍している、マルキュス・テュラムを知らないのはダメである(ブロゾビッチを知らない本田さんよりはマシだが)。

また、彼が担当したフランスVSデンマークは実況のレベルも低く、
「アンドレアス・クリステンセン」と「ラスムス・クリステンセン」を、どちらもフルネームで呼ばず「クリステンセン」だけで済ませていたのだが、それを訂正できなかったのもマイナス。
(アンドレアスの方が明らかに有名選手なので、クリステンセンしか言わなければ普通はアンドレアスの方だと思う)


チョンテセさん……
人柄はとても良さそうである。ただし、担当したカメルーンVSセルビアについて、選手やスタイルについてはほぼほぼ触れず、自分の現役時代の思い出話が非常に多かった。
現役時代のチョンテセさんファンには嬉しいかもしれないが、目の前の試合の知識はなく、ただ雑談を聞かされたような解説だった。


中田浩二さん……
外れ、とまでは言えないが微妙な解説。
おかしなことは言わないのだが、踏み込んだ解説もしない、空気のような解説。
実況の言う事に対して、「そうですね!」と賛同を示すのは良い事だとは思うのだが、
延々「そうですね!」を繰り返し聞かされると、気になってしまった。

中山雅史さん……
中田浩二さんのテンションが高いバージョン。
おかしなことは言わないが、あまり踏み込んだ解説もしない感じ。
まぁ、松木さんとかよりはまとも。


☆それ以外

これからまた試合を見直していくので、追加もあるかもしれないが、
とりあえず『初見(リアルタイムで見た時)』にはストレスを強くは感じなかったので、
大外れはいないと思われる。




個人的ワールドカップ・ベスト26

登録枠数が23人から26人に増えたので、26人を選出したいと思いますが、
毎回の事ながら、今回は特に入れたいアタッカーが多すぎて困りました。
ポジションバランスも考えた方が良いのに……悩ましいです。

☆GK

まず、GKは3枠。
ここには自動的に、PK戦に強く、上位に進出した3選手を選びました。
つまり、

エミリアーノ・マルティネス(アルゼンチン)

ドミニク・リバコビッチ(クロアチア


ボノ(モロッコ)

この3人です。次点はヴォイチェフ・シュチェスニー(ポーランド)かなぁ。
アルゼンチン戦で大活躍したアル・オワイス(サウジアラビア)も良かったですし、
ドイツ戦で大活躍した権田修一(日本)も良かったです(権田はコスタリカ戦の失点はミスだと思いますが)

さて、ここからが問題です。




フィールドプレイヤー全ポジションを含めてMVPは2人(2人だとMost Valuable Playerとは言えないですけどw)

☆アタッカー

リオネル・メッシ(アルゼンチン)

キリアン・エムバペ(フランス)

この2人はもう説明不要でしょう。よほどへそ曲がりな人じゃなければこの2人は入るはずです。
この2大エースを支えたオリビエ・ジルー(フランス)フリアン・アルバレス(アルゼンチン)も入れたいですね。アントワーヌ・グリーズマン(フランス)も、中盤の手薄なフランスにおいて、いわばトップ下のような形で破壊的なフランス攻撃陣を支えていました。
最強の攻撃力を誇ったブラジルから、最もインパクトがあったのはヴィニシウス(ブラジル)

リシャルリソン(ブラジル)も入れたいんですが、この調子で入れていくと後が怖いので保留です。
クロアチアのアタッカー陣で唯一怖さがあったイバン・ペリシッチ(クロアチア)も印象的でした。
イングランドでアシスト役に回っていたケイン(イングランド)も2ゴール3アシストとまずまずでしたが、アタッカー陣は日替わりヒーロー状態で……一人を選ぶならサカ(イングランド)になるんでしょうけど、インパクト的に薄め。
オランダの新星コディ・ガクポ(オランダ)も印象的な活躍でベスト8進出に大貢献。

えーと、とりあえず青字はこれで8人か。
5人交代制なのでアタッカー多めでも良い気はしますが、後で考えます。


また、ベスト26に入れない選手で印象的だった選手も少し。

チョ・ギュソン(韓国)は、ガーナ戦の2ゴールとイケメンということでバズりましたね。
前田大然(日本)は前線からのチェイシングが素晴らしかったです。
アルバロ・モラタ(スペイン)はスーパーサブとして、決めるべき時に決めました。スペインの0トップシステムは日替わりヒーロー状態だったので、モラタ以外の選手を選ぶのは難しいですが、全体的には良かったです。
エネル・バレンシア(エクアドル)も3試合3ゴールと大エースの面目躍如。
ニコラス・フュルクルク(ドイツ)はドイツに現れた待望のストライカー、に思えたんですがもっと出場させてほしかったです。
ウスマヌ・デンベレ(フランス)も期待以上のパフォーマンスで、フランスの4トップとして機能していましたが、既にフランスからは3人も入れているし、4人の中で1番劣るのがデンベレなのは明白なのでここでは外します。
ネイマール(ブラジル)とアンヘル・ディ・マリア(アルゼンチン)は、出場試合がもっと多ければ。
ゴンサロ・ラモス(ポルトガル)は突然の先発出場&ハットトリックと、スイス戦で大爆発しましたが、1試合だけじゃなぁ。
エン・ネシリ(モロッコ)のポルトガル戦のヘディングは打点が凄かったですね。
イスマイラ・サール(セネガル)は、マネがいないセネガルを引っ張り、オランダを苦しめました。


☆中盤

モロッコのフィルターとして、どこにでも現れたソフィアン・アムラバット(モロッコ)は文句なし。
モロッコからはもう一人アゼディン・ウナイ(モロッコ)も足技が巧みな好選手でしたが、ここは保留で。
大会を通してもベストなボランチといえばカゼミーロ(ブラジル)。フィルターとしてだけでなく、攻撃にまで参加するなど絶大なインパクトを残しました。
クロアチア黄金の中盤からは、まず壮絶な運動量を誇りながら、プレス回避の技も巧みなマルセロ・ブロゾビッチ(クロアチア)が筆頭候補。クロアチアのシンボル、ルカ・モドリッチ(クロアチア)も選出しましょうか。マテオ・コバチッチ(クロアチア)も素晴らしくて、3人全員入れてもいいんですが、とりあえずそれはやりすぎな気もするので保留で。
手薄な中盤を、グリーズマンと共に必死に支え、最終ラインと中盤を繋いたのがアドリアン・ラビオ(フランス)。準々決勝後、風邪にかかり準決勝は欠場、決勝もコンディションが悪そうでしたが、それまでのパフォーマンスは素晴らしかったです。
ポルトガルの技巧的な攻撃の中心になっていたのがブルーノ・フェルナンデス(ポルトガル)。
もう1枚のジョアン・フェリックス(ポルトガル)も入れても良いのですが、1人だけならブルーノかなぁ。
アルゼンチンからは最優秀新人賞を獲得したエンソ・フェルナンデスも、マク・アリステルも良いのですが、唯一チームの絶対軸として外れる事のなかったロドリゴ・デ・パウル(アルゼンチン)を選出しましょう。
これで7人か……。アゼディン・ウナイ(モロッコ)も入れましょう。これで8人。


選ばなかった選手では、まず
遠藤航(日本)は世界のトップクラスとも渡り合える強さを見せ、さすがはブンデスリーガのデュエル王だと思わせてくれました。
日本人なので日本を贔屓してしまうと、堂安(日本)、三苫(日本)、伊東(日本)のアタッカー陣も素晴らしかったと思います。
そんな日本と対戦したドイツでは、イルカイ・ギュンドアン(ドイツ)がチームを支えていました。また、ジャマル・ムシアラ(ドイツ)の技巧的なドリブルも見ていてとても楽しかったです。ただ予選リーグ敗退だと選びにくいですね。
スペインはガビ(スペイン)が大舞台で初登場。遜色ないパフォーマンスを見せました。ブスケッツ(スペイン)もさすがの安定感。ベスト8に入っていれば間違いなく選出していました。
ジュード・べリンガム(イングランド)も良かったですが、ベテランで落ち目だと思われていたヘンダーソン(イングランド)がここまでできるのも驚きました。さてはおぬし、最近のリバプールでは手を抜いていたな??
オーレリアン・チュアメ二(フランス)は、ただ一人全試合先発出場でフランスに貢献。初めての大舞台という事も含めて大活躍だったと思いますが、前任者のカンテと比較するとつらいのと、フランスから既にたくさん選びすぎているので、ここは我慢してもらいましょう。
アルフォンソ・デイビス(カナダ)は、カナダ初のワールドカップ得点も記録。デイビス個人が、というわけではありませんが、カナダ代表のサッカーは素晴らしかったのでそれも込みでここに名前を残します。


☆最終ライン

まず、今大会最高のセンターバックコンビ、チアゴ・シウバ&マルキーニョス(ブラジル)は入れるべきでしょう。
ブラジルが喫した失点は、2軍のカメルーン戦はこの2人は関係がありませんし、
後は勝負が決まった後の韓国戦とクロアチア戦のみです。
対人ディフェンスで、圧倒的な存在感を感じさせたのはファン・ダイク(オランダ)。
新星グバルディオル(クロアチア)も存在感を見せました。

っと、気づけば選んだのがセンターバックの選手ばかり。サイドバックも選ばないといけません。
まず、最優秀右サイドバックはアシェラフ・ハキミ(モロッコ)でいいのではないでしょうか?
カイル・ウォーカー(イングランド)も捨てがたいですが、チーム成績と、予選リーグ最初の2試合に出られなかったのがマイナス。
最優秀左サイドバックはルーク・ショー(イングランド)かなぁ。クロス精度も抜群でした。ちょっと決め手に欠ける気もするけど……。
もう一人のサイドバックは悩みますが、急遽の出場でリュカの後を継いだ、テオ・エルナンデス(フランス)を選びましょう。決勝は酷い出来でしたが、決勝以外はとても良かったです。
サイドバックの層が薄いですが、これで一応26人になりました!


選ばなかった選手についても。
ハリー・マグワイア(イングランド)のセットプレーの強さは今大会も健在でしたね。いやぁ、凄かった。
マルコス・アクーニャ(アルゼンチン)は突き抜けたものはないものの、守備も良く、それなりに攻撃参加もできるという点で、アルゼンチンの他のサイドバック陣よりも優れていました。
堅守を誇ったアルゼンチンですが、守備組織全体が優れていたイメージで、オタメンディやロメロをここに加えるのはちょっと厳しい気がします。
魂の守備を見せたモロッコは、ロマン・サイス(モロッコ)、ナイエフ・アグエルド(モロッコ)などが奮闘しましたが、怪我で次々といなくなってしまったので大会を通しての選出となると難しいです。
意外な活躍を見せたのがロドリ(スペイン)で、慣れないセンターバックとして特に守備面の弱点になることなく、ビルドアップではいつもの素晴らしさを発揮していました。
ペペ(ポルトガル)は39歳になってもタフですね。39歳で衰えを感じさせないだけでも素晴らしいし、今回はラフプレーもなかったので良かったです。
ドゥムフリース(オランダ)はエクアドル戦の出来が最低だったり、アメリカ戦は最高だったりと波が激しくて、ある意味見逃せない存在でした。
そのドゥムフリースを圧倒したエストゥピニャン(エクアドル)は、ベスト16に進出していれば26人に入れたかもしれないぐらい、このポジションでは目を引いた選手でした。



まだ、他にも言い忘れた選手は絶対いると思いますが、とりあえずここまで。

それと、ネガティブ選手についてはコメントしません。

ゴシップ系については、余裕があれば大会中に触れたかったのですが、大会が終わった後に振り返っても今更感しかないので、まぁもういっかって感じですw


【オナナの帰国事件とか、クリロナの恋人が暴れてた事件とか、
ファン・ハールVSアルゼンチンのラフタックルとか、
日本のゴミ拾いをイギリス系メディアが茶化していて、当のイングランドサポーターはスタジアムを汚くしていってた事件とか、
12年前ふてぶてしくガーナを不当な敗北に追いやったスアレスが、ガーナ戦で予選敗退が決まって流した涙とか(ガーナに負けたわけではないのですが)
カタールで風邪が大流行して、フランス代表とスイス代表を直撃した話とか、
アイスランド代表は今大会出られなかったのに、バイキング・クラップが応援方式として根付いていた事とか、

毎日ABEMAで川平慈英を見すぎたあまり、川平慈英みたいな話し方になりかけた事とか
日向坂46の影山優佳さんはガチでちゃんとサッカーを知ってるなとか
(ぶっちゃけ、本田圭佑さんとか松木安太郎さんより、サッカー詳しいと思った)、
お笑い芸人を呼ぶ文化は一体いつまで続くんだ、とりあえず騒いで茶化すのだけはやめてほしい、とか
まぁその他いろいろですね。




ワールドカップ・ベスト4まとめ

☆ クロアチア代表 1勝4分1敗 6得点6失点

攻撃 B+ 守備 B+ 面白さ B+
個人的MVP GK ドミニク・リバコビッチ



同組のベルギー同様に、4年前の主軸が年齢を重ねたクロアチア代表だが、
モドリッチに代表されるように力の衰えは感じられなかった。

『試合巧者』という言葉がピタリと当てはまるクロアチアは、
ブロゾビッチ、コバチッチ、モドリッチの盤石の中盤が自在にペースを作りだし、
相手のプレッシングをのらりくらりとかわしていき、気がつくとクロアチアのスローなペースに引きずりこんでしまう。

クロアチア最大の強みは、PK戦の強さ。これがあるからこそ「引き分けでもOK」の戦い方が出来るのだ。
日本、ブラジルを連破したPK戦最大の立役者はGKリバコビッチ。
今大会のベストGK候補にも挙げられるだろう彼の活躍で、クロアチアはしぶとくPK勝利を掴んでいった。
最終ラインではグバルディオルが成長。
ロブレン、ヴィダのベテランCBのうち1枠は後継者が定まった。

唯一前回大会から劣化したと感じたのが前線。マンジュキッチの穴は誰にも埋められなかった。
中盤が優れたゲームメイクを見せても、最後の崩しの場面で怖さを見せられるのはペリシッチだけだった。
それが、「負けないクロアチア」(言い換えれば「勝てないクロアチア」)を作ったとも言える。

余談だけれども、ABEMAの解説で本田さんがしきりにダリッチ監督を批判していたが、
個人的にはダリッチ采配で不可思議なところはほぼなかった。

クロアチアはアルゼンチン戦を除いて「巧く行っていた」上に、「油断できる状況(大量リードなど)は一度もなかった」し、
選手層が薄く、頼れる選手がベンチにほとんどいないのだ。
交代枠5枚を無理に使ってバランスを崩す必要性などどこにもないのだから、それを批判するのは的外れだと個人的には感じた。


☆モロッコ代表 3勝2分1敗 5得点3失点


 攻撃 B 守備 A+ 面白さ B+
個人的MVP DH ソフィアン・アムラバット


モロッコは「堅守のチーム」と表現されていた。
しかし、それはイコール、「守備的なチーム」を意味しない。

GKに守護神ボノがいて、身を削って守備をする最終ラインがあって、中盤にも強烈なフィルターであるアムラバットがいたからこそ、失点が少なかっただけに過ぎない。
中盤にはウナイ、ブファル、ジイェフといった足技に長けた優れたテクニシャンを数多く揃え、
所属クラブほどではなかったもののハキミも、そして逆サイドのアラーもオーバーラップを見せていた。
低重心のチームではないし、攻撃にかける人数が少ないわけでもない。

ただ、作りだしたチャンスを決めるストライカーがいなかった事、最終ラインが強固だった事から、そのような印象を与えただけで、モロッコ代表がやろうとしていたサッカーは本質的には『ミニ・スペイン』に近いものだった(本家を食ってしまったがw)


クロアチア・ベルギー・スペイン・ポルトガルを退けて、アフリカ初のベスト4進出。
最後のフランス戦の采配は正直少し残念だったが、レグラギ監督とモロッコ代表は、アフリカサッカーの歴史を作った。
それも、くじ運に恵まれたわけでもなく、見るものを退屈させるわけでもない、胸を張れるサッカーで。

クロアチア、モロッコに共通して言える事、更に言えばスペインやドイツ、スイスにも拡大して言えることだが、パスを丁寧に繋ぐチームに限って、ストライカーに恵まれない。
頼れるストライカーがいれば、大化けするのにと、そう感じるチームが今大会も多かった。


(別のチームの話で恐縮ですが、スペインのビジャ、ドイツのクローゼが偲ばれる……
彼らがいれば、スペインやドイツは確実にもっと上にいけたのになぁ)


☆フランス代表 5勝1分1敗 16得点8失点
攻撃 A+ 守備 B+ 面白さ A

個人的MVP FW キリアン・エムバペ

2018年に続いての決勝進出だったが、中身は全く別のチームだった。
それは皮肉にも、中盤の主軸だったポグバとカンテ(特にカンテ)の負傷が大きく作用していたと思われる。

デシャン監督はもともとリスクを冒さない慎重な監督だ。
リスクを取らずに、いかに勝利するかを目指す監督で、エムバペという飛び抜けた『個』さえいれば、
後はポグバ・カンテを中心にした中盤のフィルター、そして盤石の最終ラインで守り勝てる。
それで優勝したのが2018年ワールドカップだった。

しかし今大会は中軸の2人がいなくなり、中盤の守備力がぐらついた。
更に左サイドバックのリュカの負傷離脱も大きく、代わって入ったテオは攻撃型。
中盤はフィルター(カンテ役)のチュアメ二と、ボックストゥボックス型(ポグバ役)のラビオに完全に依存。
特に後者は控えを見渡しても代えがカマビンガぐらいしかおらず、カマビンガは左サイドバックの控えも兼ねていたため、実質中盤で起用される事はなかった。
(なぜラビオを代えないのかと本田さんがずっと言っていたが、答えは簡単で、同じタイプの選手がいなかったからだ)

そのため、アタッカーでありながらゲームメイクにも拘れる、まるでメッシのようなプレイを見せたグリーズマンに、圧倒的な化け物であるエムバペ、もう片翼には4年前と違ってフィットしたデンベレ、
そして最前線には4年前も頼りになった基準点のジルーという、
4-2-4とも呼べるシステム(グリーズマンを中盤にカウントした4-3-3ではあるのだが)が、
結果的にフランスを爆発的な攻撃力を持つチームへと変貌させた。

今大会、最も破壊的(攻撃に人数をかけ、主導権を握り、迫力のあるフットボールを展開する)だったチームがブラジルだとすれば、2番手は恐らくフランスだった。

前述した3人(ポグバ、カンテ、リュカ)以外にも、
ベンゼマ、ヌクンク、メニャンと野戦病院状態で、パバールは監督との意見の相違でほぼ構想外。
とどめに、カタールで蔓延する風邪(スイスも苦しめられた)にまで苦しみながら、
フランスは再び決勝の舞台に返り咲き、PK戦までもつれこませる素晴らしい戦いを見せた。
決勝は確かにほぼアルゼンチンペースだったが、それまでの戦いぶりは間違いなく準優勝にふさわしいもの。

ここにポグバ、カンテが戻ってきたら更に強くなるのだろうが、
逆にこの2人がいなかったからこその苦肉の策のアタッキング・フットボールだったようにも思う。

どう捉えていいのかわからないが、2年後のEUROに向けて最前線のジルー(ベンゼマ)以外は恐らく現状のメンバーも残れるはず。
基準点の選手は極めて大切なので、その問題をどう解決するかは見ものだ。

現時点で去就が判明していないが、デシャン監督とエムバペがいれば、2年後も4年後も、
優勝はともかく、ベスト8以上は期待しても良いだろう。






最後に、解説の本田さんは「エムバペだけのチーム」のように語っていたが、
正直、試合をほとんど観ていなさそうな本田さん(だって、ブロゾビッチすら知らないんだもの……)
がしたり顔でそう語るのはどうかと思った。

決勝だけに限れば確かにそうだったのだが、戦術・エムバペだったのはむしろ2018年大会の方であり、
今大会は『エムバペだけの攻撃』から脱却できた事こそが、フランスにとって怪我の功名とも言える攻撃力の高さとエンタメ性を高めていたからである。



☆アルゼンチン代表 4勝2分1敗 15得点8失点

攻撃 A₋ 守備 A 面白さ B+
個人的MVP FW リオネル・メッシ

全てが「メッシ」のフィナーレを飾るために用意されたような、そんな印象を受ける大会だった。

初戦はまさかのサウジアラビア戦敗戦。
最終ライン5人(GKと4バック)
中盤のデ・パウル、前線のメッシ、ディ・マリアの3枚は確定していたものの、残り3枠の回答を見つけるのに、スカローニ監督は試行錯誤した。
2戦目のメキシコ戦は激しいバトル(ラフプレー合戦:メキシコの方が汚かった)になったが、この2戦目から先発したのがマク・アリステル。
そして、この試合で途中交代して得点を決めたエンソ・フェルナンデスがデ・パウルの相棒として、
最終的には最優秀新人賞にも選ばれた。
第3戦のポーランド戦から、フリアン・アルバレスがスタメンへ。
チームの完成系がここで確定したかと思いきや、ディ・マリアの負傷によってスカローニ監督の試行錯誤は続く。
トーナメント1回戦のオーストラリア戦では初戦でも全くダメだったアレハンドロ・ゴメスを再起用するがまたしてもダメ。
準々決勝のオランダ戦では、相手に合わせた5バックを採用しオランダを途中までは完封するが、
途中から4バックにシステム・チェンジをしたオランダについていけず、結果的に延長PKまで粘られる。
なお、この試合でのアルゼンチンのラフプレー(特にパレデス)は目に余るものがあり、
個人的にはアルゼンチンVSメキシコのメキシコ側のラフプレーと並んで、
大会ワーストのダーティーパフォーマンスだった。
そのため、「メッシにタイトルを取らせてあげたい」という気持ちよりも、「こんな汚いチームに優勝してほしくない」という気持ちが勝ってしまったのは残念だった。
準決勝のクロアチア戦は、4バックに戻したものの中盤3枚をボランチ型の選手で固める采配で、
スペクタクルよりも手堅さが目立ち……
そして決勝。ようやく、ディ・マリアが戻ってきたアルゼンチンはベストメンバーを揃え、
フランスとの大一番を制したのだった。

選手個人で見るとやはりどうしてもメッシに目が行ってしまうが、それも当然。
主役は誰が見てもメッシであり、2トップの相棒フリアン・アルバレスと、復帰したディ・マリアを除けば、攻撃面で怖さを感じさせる選手はいなかった。

一方、最終ラインは堅く、GKエミリアーノ・マルティネスは大会最優秀GKに選ばれるのも納得の活躍ぶり。
中盤もビルドアップのできるバランス型の選手で固め、アタッカータイプの選手はいなかった。

ただ、ビッグクラブ未所属で今回が初のワールドカップとなるGKマルティネス(はもう30歳だが)、
MFのエンソ・フェルナンデス、マク・アリステル、
そしてFWのフリアン・アルバレス(ビッグクラブ所属だが出番が少ない)といった、
『スーパースターではない好選手』を発掘し、効果的に機能させたスカローニ監督のチーム作りは称賛されて然るべき。
オランダ戦やフランス戦の采配など、勝負師としては正直あまり称賛できないが、2018年あれだけガタガタだったアルゼンチン代表を、南米一、世界一に導いたのだから重箱の隅をつつくような批判にしかならない。
また、カタールまでやってきた大応援団の熱量も素晴らしかった。

ただ、個人的にアルゼンチンは応援していなかったので、
ABEMAだけでなく、他YouTube媒体での『アルゼンチンを応援しようキャンペーン』は正直鬱陶しかった。

後は繰り返しになるが、オランダ戦でのラフプレーさえなければ、もう少し気分良くアルゼンチンの優勝を祝えたと思う。

ともあれアルゼンチン、そしてメッシ。おめでとうございます!








決勝 フランスVSアルゼンチン

       フランス  3-3     アルゼンチン
 PK          2-4
試合内容 S
個人的MOM FW キリアン・エムバペ(フランス)

GK ロリス 8・5      エミリアーノ・マルティネス 6・5
DF ヴァラン 6      ロメロ 5・5          
  ウパメカノ 6・5     オタメンディ 5
  テオ 3        モリーナ 5
  クンデ 6       タグリアフィコ 5
MF ラビオ 4・5       エンソ・フェルナンデス 5・5
  チュアメ二 5      デ・パウル 6
FW グリーズマン 4・5  MF マク・アリステル 6・5
   デンベレ 4      ディ・マリア 8
   エムバペ 10   FW  メッシ 10 
   ジルー 4       アルバレス 5・5

監督 デシャン 7      スカローニ 6・5

欠場者(フ)DFリュカ(負傷・大会絶望)
      DFパバール(監督との確執)

交代(フ)
     デンベレ→テュラム 4・5
     ジルー→コロ・ムアニ 6
     グリーズマン→コマン 6
     テオ→カマビンガ 5・5
     ラビオ→フォファナ 5・5
     ヴァラン→コナテ 5・5
     クンデ→ディザジ ?

  (ア)
    ディ・マリア→アクーニャ 5・5
    モリーナ→モンティエル 4・5
    デ・パウル→パレデス 5
    アルバレス→ラウタロ 6
    マク・アリステル→ペセーラ ?
        タグリアフィコ→ディバラ 5・5

      
開始から75分間はアルゼンチンの試合だった。
フランスの強力4トップに何もさせず、ディ・マリアが左サイドを切り裂き続け、
メッシが魔法のようなスルーパス、シュートで躍動
一方的な試合だった。
ただ一つの懸念点は、アルゼンチンが守りに入るのが早すぎたこと。
64分のディ・マリア→アクーニャの守備固めはいくら何でも早すぎる。

80分、偶発的なプレイからフランスがPKで追い上げると、突然目覚めたエムバペ・ショーが開幕。
立て続けにゴールを決め、試合を2-2の同点に。

延長に入っても、相変わらず中央からのスルーパスが冴えわたるアルゼンチンは、ラウタロのシュートのこぼれ球をメッシが決めて勝ち越し。
しかしここでもまだ時間が8分もあるのにアクーニャは露骨な時間稼ぎをし、相変わらずファウル要員のパレデスはラフプレーでイエローカードをもらいと、アルゼンチンの汚さが顔を出す。

そして、エムバペのシュートを肘で防いだ(正直、顔に向かってくるシュートに肘を上げてしまうのは無理もないと思うけど)モンティエルのハンドでPK。
これを決めたエムバペが、PK2本を含むとはいえハットトリックを達成。
ワールドカップ決勝でのハットトリックは、恐らく66年大会のジェフ・ハースト以来だと思う(調べてないけど)。

ただ、PK戦になればPKストッパー、エミリアーノ・マルティネスを擁するアルゼンチンが俄然有利。
今大会はアルゼンチンのマルティネス、クロアチアのリバコビッチ、モロッコのボノ、ポーランドのシュチェスニー(ポーランドはPK戦の機会はなかったが)が神PKストップ職人なのだが、やはりこうしたGKがいるチームが上位にやってくる。

その予測どおり、PK戦ではマルティネスが職人ぶりを見せつけ、アルゼンチンが、リオネル・メッシが悲願のワールドカップ優勝にたどりついた。

ただ、負けたフランスもグッド・ルーザーだった。

0-2の状況から、一見不可解と思われた(僕は思った)ジルーとグリーズマンの交代、代わって入ったコマンとコロ・ムアニが躍動した。
また、クンデは苦しい最初の75分間でほぼ唯一と言っていい武器として、果敢なオーバーラップを敢行。
あまりにもパフォーマンスの悪かったテオに代わる左サイドバックがおらず、カマビンガを無理やり入れる交代も、彼の頑張りにより事なきを得た。
大会前からの怪我人も含めれば、ポグバ、カンテ、ヌクンク、ベンゼマ、メニャン、リュカが怪我でいないこの状況で、魅力的なチームを作り上げ準優勝に導いたデシャン監督の凄さは決勝で改めて感じる事が出来た。

一方のスカローニ監督も、チームに団結力を植え付け、惨敗だった前回大会からチームを完全に立て直した功績をたたえて10点満点をあげてもいいのだが、
ディ・マリア→アクーニャの交代や、追いつかれた後にも攻撃の駒をほぼ入れなかった事
(ラウタロ投入は103分。というかそれ以前に、サイドアタッカーを入れて勝負に出てほしかった)などを考慮し、この試合の采配だけを考えればデシャンに差をつけられた印象。

とはいえ、メッシと並んで優勝の一番の立役者がスカローニ監督であることは疑いの余地はない。


(後、どうでもいいことだけどやっぱり本田さんの解説、あんまり好きじゃないです。
特に今回は僕がフランスを応援していたので、かなりウザかったです)

準決勝 フランスVSモロッコ

      フランス   2-0    モロッコ

試合内容 A₋
個人的MOM FW キリアン・エムバペ(フランス)


  GK ロリス 7        ボノ 5
  DF ヴァラン 6       サイス 3・5
    コナテ 6・5       エルヤミク 4・5
    テオ 7          ハキミ 6
    クンデ 6・5       マズラウィ 5
  MF チュアメ二 6・5     ダリ 5
    フォファナ 6    MF   ウナイ 7
  FW グリーズマン 7  MF   ブファル 6
    デンベレ 6        ジイェフ 5
    エムバペ 7・5      アムラバット 6
    ジルー 5・5    FW エン・ネシリ 4

監督  デシャン 7・5     レグラギ 4

欠場者 (フ)DF ウパメカノ(風邪)
       DF リュカ(負傷・大会絶望)
       MF ラビオ(風邪)

    (モ)DF アギエルド(怪我)


交代(フ)
   ジルー→テュラム 6
   デンベレ→コロ・ムアニ 6

  (モ)
   サイス→アマラ 5  
   マズラウィ→アラー 3
   エン・ネシリ→ハムダラー 4
   ブファル→アブクラル ?
   アマラ→アブデ ?


結果だけを見れば順当だけれど、モロッコの大善戦がやはり印象に残った。

残念だったのは、レグラギ監督の【恩情采配】。
ここまでチームを引っ張ってきたキャプテンのサイスを外しづらいのは人情的にはわかるが、
そのために今までうまくいっていた4バックを5バックに代え、ジルーにすら走力で負ける状態のサイスを先発させた結果、フランスに前半4分で先制点を奪われたのは明らかに采配ミス。

前半20分にサイスが交代するまで10人で戦っていたようなもので、強豪フランスを相手に
10人で戦うハンディを背負っては勝てるわけがない。
4バックに戻した後は、互角にフランス相手にやれていただけになおさら残念な気持ちになった。



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