S→味わい深く、いつまでも心に残りそうな作品
ゴーストハント7巻/小野不由美……
最終巻にして、一番面白かった巻。怖いし、切ないし、さすが小野さん。
それも、1巻からの積み上げがあればこそで、読み続けて良かったと思った。(反面、1巻からもっと面白いと良いのにとも思った)
幽女の如き怨むもの/三津田信三……
良い意味でタイトル詐欺。
貧しさ故に身売りされ、花魁として働き、幸せな結婚をしたのも束の間、死別し、再び花魁として働く健気な一人の女性を描いた作品。
ホラーではない。感動で心を揺さぶられた。
神は沈黙せず/山本弘……感想はこちら。
アイの物語/山本弘……感想はこちら。
王者の妻/永井路子……感想はこちら。
北条政子/永井路子……鎌倉幕府において、源氏というものは大して重要ではなく。
頼朝以降の2代、3代においては将軍という【お飾り】を【乳母一族】が争い合い殺し合う、権力争いの象徴としての存在と化し、政子が全てを失っていくと同時に、北条家は執権の座を手に入れる。
愛に溺れた女性の悲しい物語だった。
A→読んで良かったと思える作品
はえだまの如き祀るもの/三津田信三……
村ぐるみの殺人に、四つの怪談、谷河の待避所にのみ棲息する真っ黒の塊、執拗に後を追いかけてくる玉砂利の音。面白かったです。
ゴーストハント2巻/小野不由美……
ゴーストハント2巻/小野不由美……
明らかに1巻より面白い。
幽霊屋敷とフランス人形というベタなホラー装置だけど、怖いものは怖い。
ただ、人間関係と、子供のストレスの話だけに少し重苦しい面もありました。
夢幻諸島から/クリストファー・プリースト……
魅力的な群島を舞台にした数々の島(小話)は、緩やかに繋がり連関した群島(エピソード)を紡ぐ。
島に秘められた謎は、複数の島で少しずつ解かれ、一つの連なりを持った長編に仕上がっている。
ゴーレム100/アルフレッド・べスター……
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
ゴーレム100/アルフレッド・べスター……
わけがわからないが、作者の心的エネルギーの強烈さに被曝し、なぜだか先を読んでしまう知能のエナジードリンク的作品。
内容は今一つ理解できず、また読みやすい作品でもないが、読むと頭にエナジーが注がれるため意外とすんなり読める怪作。
プロジェクト・ヘイル・メアリ/アンディ・ウィアー……
プロジェクト・ヘイル・メアリ/アンディ・ウィアー……
遠宇宙で出会った地球人のグレースとエリダニ人のロッキーが、言葉も通じない状態から少しずつ交流を深めていく物語。
ロッキーの
「おい、君の顔から水が漏れてるぞ!」がとても印象的。
流星―お市の方/永井路子……
流星―お市の方/永井路子……
信長に好意的な永井さん。お市を薄幸の美女ではなく、女信長のように書いた点も魅力的。
しかし同著者の「王者の妻」ではお市と勝家はラブラブだったのに、本書では「生理的に無理」扱いされていて泣いた。
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
前作に比べてみゆきの存在感は薄いけど、前作同様、成瀬のアグレッシブな魅力とそれに振り回され、影響を受ける周囲の人々が描かれる、読みやすく元気になれるライトな作品。
B→暇つぶし以上の有益な何かを得た作品
エイダ/山田正紀……
エイダ/山田正紀……
『物語』が『現実』を侵食するというテーマと、多世界解釈を組み合わせたメタフィクション的な作品。
神話の神が集合するSFならゼラズニイの「光の王」があるけど、あちらよりかなり読みやすい。
『フランケンシュタイン』の解釈が作者さんと僕ではだいぶ違う……。
賢者の石/コリン・ウィルソン……
『古き者ども』によって作られた『人間』は、彼らの手足となって働きムー文明を作り上げた。
古き者どもはあまりにも進化しすぎてしまい、自らの能力を制御しきれず文明は滅び、人間は取り残された。
故に人間は、『支配者を望み続ける』というお話。
主人公たちは、いつか目覚める『古きものども』に対抗するため、超能力を身につけようとしているけど、
それだと『古きものども』と同じように、自らの能力を制御しきれず、文明は滅びてしまうような気がするんだけど??
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
成瀬は信じた道をいく/宮島未奈……
前作に比べてみゆきの存在感は薄いけど、前作同様、成瀬のアグレッシブな魅力とそれに振り回され、影響を受ける周囲の人々が描かれる、読みやすく元気になれるライトな作品。
前作が好きだった方は是非! 楽しかったです😊
ゴーストハント1巻/小野不由美……
怪奇現象をミステリ的に解き明かしていく作品。
後の小野さんの名作群に比べると見劣りするもののまずまず楽しめた。
ゴーストハント3巻/小野不由美……
今回はミステリ寄りの巻で、怖さは薄め
民謡ガール/ツキノマコト……民謡を中心に、起承転結がしっかりまとまった堅実な作りですが、主人公のミーナと幼馴染のヨッペイの関係性がとても暖かいです。
ゴーストハント4巻/小野不由美……
ゴーストハント5巻/小野不由美……
シリーズ最恐の巻と評判だったけど、全然怖くなかった。
真砂子と麻衣の仲が進展する友情巻として印象深い。
ゴーストハント6巻/小野不由美……
忌名の如き贄るもの/三津田信三……
正直に言うと、真相よりも、真実から2番目の『呼ばれたから』殺した、の方が好みだったかな。
山魔の如き嗤うもの/三津田信三.……
ホラー要素は薄めでミステリに寄った内容。
よって、ほとんど怖くない。
このシリーズのミステリ形式は、『毒入りチョコレート事件』やコリン・デクスター作品によくある、【下手な推理も数打ちゃ当たる+どんでん返しに次ぐどんでん返し】で、個人的に苦手な形式。
双生児/クリストファー・プリースト……難解、というより答えは恐らく、ない。
双子のジャックとジョー。ジョーはビルギットと結婚するが、ジャックと不倫している。
ジャックが死んだ世界線Aでは息子が生まれ、ジョーが死んだ世界戦Bでは娘が生まれる。
また、世界線Bではおおよそ現実の歴史が展開しているのに対し、世界線Aでは英独単独講和が成立し、ヒトラーは失脚しヘスがナチス首領となり、ソ連を崩壊させ、アメリカはうだつの上がらない国のまま。
世界線Aはジョーが死ぬ間際に見た夢、という解釈は確かに成り立つが、それすらも解とは言いづらい
また、ビルギットの産んだ子供が、双子のどちらの子どもかを特定することは不可能。
二つの異なる世界が重なり、離れていく姿を、
イギリスと、ドイツ、アングロサクソンとゲルマンに分かれた、元は一つの『双子』のような民族の分離と結合になぞらえた作品。ということにしておく。
ビートレス/長谷敏司……
AIが人間をアナログハックできる新時代は、『人間が世界の中心だ』と考えたい人には暗黒時代かもしれないけど、
人間が、自らの機能を拡張させて進化させた被造物が、『新人類=人工知能』として世界の中心になる未来が、暗いものになるのかは何とも言えない。
ただ、どうせ『一部の、力のある人間』がAIを独占する、AI独裁が生まれるんじゃないかと思ってしまうけども。 支配権すらも人間がAIに明け渡せれば良いけれど、人間自身が支配権を握りつつAIを利用するなら、恐らくそうなる……。
まぁ今だって人類はスマホに支配されてるし、電車・自動車・飛行機に支配されてるし、パソコンに支配されてるし、冷蔵庫・冷凍庫に支配されてるし、
モノの奴隷となって生活しているわけだけどもね。
三体2/リウ・ツーシン……
C→暇つぶし程度にはなった作品
もう一つの異邦人/カメル・ダーウド……
ムルソーは母を亡くし、母国から離れた異邦人だった。
一方『僕』の母は『僕』を強固に縛り付けており、母国アルジェリアの独立に『僕』は手を貸さなかった。母の軛から逃げ出しつつも、フランス人のジョゼフを殺した『僕』は、この世のどこにも居場所を持たない、もう一人の『異邦人』だった。
本書は、カミュの「異邦人」を、宗主国フランスからのアルジェリアの独立を軸に再構成し、もう一人の「異邦人=僕」に語らせた物語。
輝石の空/N・K・ジェミシン
ブラインドサイト/ピーター・ワッツ
セルフ・リファレンス・エンジン/円城塔
宇宙消失/グレッグ・イーガン
闇の守り人/上橋菜穂子……
ファンタジー設定はしっかりしているんだけど、あまり心が躍らないんだよな。相性悪いのかな? つまらなくはない。
夢の守り人/上橋菜穂子……
D→自分には合わなかった作品
E→プロ作品として見るにはつらい作品